さくら咲くしんしんと咲く人間に 金子兜太
凧作りやる子が居なく卆寿かな 相原左義長
北極星入りしままの寒卵たまご 佃悦男
火の色のにんじん積まれ雪ふりくる 前川弘明
紅茶の神様のよう冬暖か 谷佳紀
遠耳の二人の阿吽冬朝日 野田信章
往く年や色も形も消えていた 瀬川泰之
顳顬の寒気擦り傷のように孤灯 十河宣洋
鍵さがす鍵穴ひとつ冬銀河 野憲子
大寒や真竹叩いて起こす神 松本勇二
駄菓子屋へ初東雲を入れにけり こしのゆみこ
水落ちて石の褶曲去年今年 田中亜美
細胞におよぶ引力年新た 月野ぽぽな
灯すように人参きざむ海の街 たかはししずみ
雲の上の夕陽にとどく雪野かな マブソン青眼
石蕗の花動物園のまるくあり 室田洋子
落鮎は水に私は土になれる 河西志帆
銀河よりうからやからの瀬音かな 五島高資 (佃悦男先生の「共鳴20句」に入選)
カイツブリ自尊感情疼くのだ 桂凜火
菓子ひとつ眺めて飽かぬ初明り 中内亮玄
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