古川さんと二人だけになった時の話。
ほとんど話しかけない彼なのだが、ちょっと、教会とか、宗教的な話になった。
彼が「どれだけ人を集めれるかが、どれだけ成功しているかなどの秤になってませんか。」と言われていた。
私は「そうなんですよね。人を見てしまうと、人の影響を受けてしまいがちですね。」と言った。
古川さんはこの道40年、弟子も取らずにただこれだけをずっと続けて来ている。
ボロいバラックの様な建物で、里山を望む斜面で打ち続ける事35年。
良くはわからないが、応援してくれる人たちが、まわりにいなかったら経済的には破たんしていたのではないかと思うほど質素だ。
「これしか出来ないから転職きなかっんですよ。」とも言い。
自慢も気負いも無く、ただ淡々と続けている。何となく応援したくなる人柄。
彼の話では弟子志願者が最近は変わってきたような話だった。
断られるとすぐ「あ、そうですか」とその日で帰ったり、大学受験で失敗したからとか、中には電話で「弟子にしてください。」と、、。
「どれくらいやる気があるのかすら分からないですから。」という。
日本刀と言う今の時代、全く必要の無い物。日本刀というモノはもともと出来た時からそうだったと彼は言う。
確かに技術は必要かもしれないが、それよりも地道に、ひた向きに、堅実に、効率を考えず、やれば、どれも出来そうな事の積み重ねなのだ。
携帯も持たないそんな当たり前の事が、当たり前で無くなっている今という時代は、本来必要な物を忘れて来ているのだろう。
帰り道は綺麗な夕焼けだった。