ちょっとこれは、精神世界系の本をたくさん読んできた私でもわけがわからず最初はあきらめかけた本です。
神はいずこに キリスト教における悟りとその超越 バーナデット・ロバーツ著 日本教文社
普通の書物は「いかにして悟るか」ということが書かれているもののですが、この本が根本的に違うのは「悟ったあと」のことが書かれているのです。それも何段階も悟りの段階があることが・・・いまだ悟りに至ってないものにとっては、文章の意味はわかっても実感としてわからないのです。
作者は1931年生まれの女性。幼少のころから神秘体験をし、15歳で修道院に入り20歳過ぎのころには悟りを得たようです。そして10年の修道院生活の後、俗世間に戻り、大学を卒業し、結婚もし、4人の子供を産み育て、いろんな学校の教師生活もしたようです。
禅の世界に「十牛図」というのがあって悟りを求める10の段階が示されていますが、最後の10番目で悟りを得たものが世俗の世界に戻って大衆を導くようになっています。この本はまさにその10段階目のことが書かれていて、さらにそこにも何段階もあると...
「神人合一」はまだ客体としての神と、自己が存在しており、その先は神も自己も消滅する・・・
あまりにもわからないので、この本より先に書かれた
「自己喪失の体験」 紀伊国屋書店
を読みました。
やはりこちらから読んだほうがよかったようです。こちらには「悟り=自己喪失」に至る段階が書かれていました。
どちらもあくまで平凡な主婦、人間としての目線で書かれており、神秘めかしたり自己神格化や教祖めいたこともなく、そういう点でも驚愕に値します。宗教化せずに団体を作るでもなく、ビジネス化してお金をとるでもなく、本当のことを伝えてくれる書であると思います。