アルト・ハイデルベルク(124)
本日分から新ドイツ正書法で書かれた紙版を使います.
(Heinz-Peter Heilmann 版).大きな変更はありません.
daß がdass になったぐらいのものです.
(短母音の後のßがssになります)規則のことは適宜見る
ことにします.
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前回最後の部分のセリフ
............Käthie: Der Herr Onkel (Pause.) Ich komme nämli a weit her,
..........................aus Österreich. Aber i möcht immer in Heidelberg
..........................bleiben. 's ist hier zu schön. (Schenkt ein.) Trinken Sie doch.
....ケティー: おじさんなんですね.(間) 私ね、遠くから来ています
のよ.オーストリアです.でもいつまでもハイデルベルク
にいたいのです.ここはあまりにも美しいところなので帰る気
になれません.(ワインをつぐ) お飲みくださいな.
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前回学習した最後の部分ですが、紙版と電子版で文章が少し違っていました
ので、電子版をご紹介させていただきました.下記は前回学習した紙版です.
............Käthie: Der Herr Onkel (Pause.) Ich komme nämlich von weit
......................... her, aus Österreich. Aber ich habe vor, in Heidelberg
..........................zu bleiben. Es ist zu schön hier. (Schenkt ein.)
..........................Trinken Sie doch.
アルト・ハイデルベルク(では本日学習分をどうぞ)
————————————【124】—————————————————
Karl Heinrich: Danke schön..
............Käthie: War mein Gedicht schön ?
Karl Heinrich: (lacht). Ja. Es hat mir ausgezeichnet gefallen.
............Käthie: Nein, es war nicht schön.
Karl Heinrich: Nicht ?
............Käthie: Ich habe es zuerst nicht auswendig lernen wollen,
.........................aber der Herr Onkel und die Frau Tante* haben es
.........................gewollt. Wenn Sie nun anders ausgesehen hätten,
.........................als Sie hier rein kamen, dann hätte ich Ihnen den
.........................Strauß wohl gegeben, aber das Gedicht hätte ich
.........................nicht aufgesagt.
Karl Heinrich: (steht auf). Anders ? Wie hätt ich denn anders
.............................ausehen sollen ?
............Käthie: Nun, ich weiß nicht...
Karl Heinrich: Fräulein Käthie, wie hätt ich denn anders aussehen
............................sollen ? (Er zieht sie leise an sich)
............Käthie: Nein ! Nicht !
Karl Heinrich: Käthie.
............Käthie: (macht sich los, fast böse). Ich will nicht ich will nicht !
......................... Denn, dass Sie ein für alle Mal und gleich heute wissen.
..........................Ich bin verlobt, schon bald ein Jahr.
Karl Heinrich: (verdutzt, beschämt). Verzrihung...ich...ich
...........................verzeihen Sie !
————————————— (訳) ————————————————
カール・ハインリヒ: どうもありがとう.
....ケティー: 私のあの詩、よかったかしら?
カール・ハインリヒ: (笑って) ええ、素晴らしく気に入りました.
....ケティー: いいえ、あれはよくありませんでしたわ.
カール・ハインリヒ: よくなかったですって?
....ケティー: あの詩は初めは暗記するつもりはなかったのですわ.
...........................でも伯父も伯母も、あれをとても気に入ってくれて.
...........................あなたがここに入って来られたとき、もっと違った
...........................感じの人だったら、私は花束は差し上げたでしょうが、
...........................詩の暗誦はしなかったでしょう.
カール・ハインリヒ: (立ち上がって) 別のふうにとは? 僕がどういうふう
..........................に見えていたらというのですか? .
....ケティー: さあ、わからないわ...
カール・ハインリヒ: フロイライン・ケティー、僕がどういうふうに見えていたら
..........................というのですか?(彼女を軽く自分に引き寄せる)
....ケティー: だめ!いけませんわ!
カール・ハインリヒ: ケティー.
....ケティー: (王子の手をふりほどいて、半分怒って) およしになって
..........................下さいね、こんなこと.なぜと言って、きょう、あなたに
..........................きっぱりと申し上げておきますが、私は婚約してますのよ、
..........................もうかれこれ1年ですわ.
カール・ハインリヒ: (あ然として、恥入る).ごめんなさい...僕は...その
...........................ごめんなさい!
—————————————《語彙》————————————————
anders: (副) (~と)異なって、別なふうに
Nun ist alles anders. / 今ではすべてが変わってしまっている.
Ich denke anders als du. / 私は君とは違うふうに考えている.
ausgezeichnet: (形) 優秀な、すばらしい
gefallen: (自) [D格の] 気に入る
Der Film gefällt mir. / その映画を私は気に入っている.
* 主語(気に入っているモノ)gefällt(気に入っている人:D格)
auswendig: (副) 暗記して、
die Beispielssätze auswendig lernen / 例文を暗記する
nun: (副) ❶今、今や、もう; ❷さあ、さて、ところで、
ausgesehen: (過去分詞) <aus/sehen (自) ~のように見える
rein:電子版は 'nein;どちらも南部訛りか?標準ドイツ語ではherein
次のkamen はkommen の過去3単;herein/kommen が元の形.
herein/kommen: (向こうからこちらの中へ) 入って来る
der Strauß:❶[変E式] 花束; ❷[E式]ダチョウ
wohl:(副) このwohl はあとに置かれたaber と呼応して、
「なるほど~だがしかし」という意味になります.
dann hätte ich Ihnen den Strauß wohl gegeben, aber das Gedicht
hätte ich nicht aufgesagt.
それならば、たしかに私はあなたに花束はお渡ししたでしょう
が、詩の暗誦はしなかったでしょう.
aufgesagt:(過去分詞) <auf/sagen (A格を)暗唱する
ein Gedicht aufsagen / 詩を暗唱する.
auf/stehen: (自/s) 起きる、立ち上がる
los/machen:(A格を) 外す、離す、はがす
[犬など⁴を] (鎖などから) 解き放す、自由にする
fast:(副) ほとんど、おおよそ、もう少しで
böse:(形) 怒っている、
(D格と): Er ist mir böse. / 彼は私のことを怒っている.
(auf ∔ A格と):Sie ist auf ihren Mann böse.
彼女は夫に腹を立てている.
(mit + D格と):Ich bin mit ihr nicht mehr böse.
私は彼女のことをもう怒っていない.
(über + A格と):Er ist böse über diesen Scherz.
彼はこの冗談に怒っている.
ein für alle Mal:きっぱりと
und gleich:(おそらく通常の意味はなくein für alle Malの口調を整える
ための添加物だと思います.無視して大丈夫でしょう.)
日本語にも意味のない「金輪際」という添加物があります.
あれは五重塔の先端の鉄輪のことです.
ケティーはちょっと怒って、
「金輪際きっぱりと言っておきますがね.
(私、婚約中ですのよ、プンプン)」
verlobt:<verloben :sich mit + Dat. […³と] 婚約する
Er hat sich mit ihr letzten Monat verlobt.
彼は彼女と先月婚約した.
bald:(副) まもなく、じきに
verdutzt:[フェアドゥッツト](形) あ然とした、 あっけにとられた
beschämt:(過去分詞、形容詞) 恥じた <beschämen (…⁴を)恥入らせる
(…⁴を)恐縮させる
die Verzeihung (単ノミ) 許し
Verzeihung ! すみません; ごめんなさい!
—————————————≪註釈≫—————————————————
*1) Wenn Sie nun anders ausgesehen hätten, das Gedicht hätte ich
hicht aufgesagt.
(もしもあなたが違ったふうに見えていたら、私はあなたに
は詩は暗誦していなかったでしょう).
過去の事実に反する仮定は、接続法Ⅱ式で行ないます.
接続法Ⅱ式は、動詞の過去形.強変化動詞にあっては幹母音
a, o ,u はウムラウト.人称変化は過去形に準じます.
強変化動詞は接続法Ⅰ式の人称変化.
接続法Ⅰ式の人称変化語尾:
ich ——e...................wir——en
du ——est.................ihr ——et
er ——e...................sie——en
*2) der Herr Onkel und die Frau Tante:Onkel は伯父、叔父どちらの意味に
もなります.なのでぼかして「おじ」とした方がうそはないのですが、
日本語は不思議なもので、おじと平仮名にすると、さんをつけて
「おじさん」にしたくなりました.それで漢字にしてみました.もち
ろん叔父の可能性も残ったままです.伯母も然り.