椅子直しの女(62)
LA REMPAILLEUSE
———————————【62】——————————————
Il s' était levé; il marchait à grands pas derrière
la table, le bonnet grec chaviré sur une oreille.
..———————————(訳)——————————————
ご主人は立ち上がりました.大股でテ-ブルの背後をトル
コ帽を耳の上まで傾かせながら歩き回っていました.
———————————〘語句〙——————————————
bonnet:(m) 縁なし帽
grec(que):[グレック](形) ギリシャの、ギリシャ風の、
ギリシャ語の、ギリシャ人の; (m) ギリシャ語
chaviré:(p.passé) < chavirer (自) 転覆する、ひっくり返る;
ぐらぐら揺れる
——————————≪学習後日記≫———————————
le bonnet grec を当然、「ギリシャ風の帽子」と訳して対訳書
の訳を見に行くと、何と「トルコ帽」となっていました.
トルコ帽をフランス語で書け、と言われたら、le bonnet turc
だと思うのですが、とりあえず、和仏で逆引きしてみると、
fez (m) となっています.le bonnet grec からは、あの電気ス
タンドの傘のようなあのトルコの帽子が、イメージできませ
ん.fez [発音フェズ]をさらに仏和で引き直すと、「トルコ帽」
なのですが、grec には「トルコの」という意味は見当たりま
せん.そこで困ったときの「大仏和辞典」をひっぱり出して
きました.するとle bonnet turc には、支柱など、円柱状のも
のをターバン状に巻きつける結節(タークスヘッド)という
意味があるらしい.今度は「結節、タークスヘッド」という
意味がわからない.最後に「仏和大辞典(白水社)」を引いた
ら、le bonnet grecは確かに「トルコ帽」と載っておりました.
トルコ帽って赤い色なのだそうです.フェズですがモロッコ
の都市、フェズに由来しており、その帽子が流行したのが、
オスマン帝国(トルコ)だったため、トルコ帽子と呼ばれた
らしい.
【結論】le bonnet turc=結節(タークスヘッド)
le bonnet grec=トルコ帽
トルコ帽=電気スタンドの傘型(洗面器型)の赤い帽子
ところでタークスヘッドって何?
turk's head かな?英和辞典を引いてみた.
turk's -head:[海事] 索につけた飾り結び.
あの、トルコ人って頭にターバンを巻きます?
アラブの人も巻いているから、そうかも知れないですね.
タークスヘッドをネットで検索したら、何も海事だけでなく
日常生活の小間物にも紐で巻きつけている画像がたくさんあ
りました.これらはパラコードという編み方のひとつのよう
です.知っていると面白そうです:
https://www.pinterest.jp/pin/822821794389534130/
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