はちみつブンブンのブログ(伝統・東洋医学の部屋・鍼灸・漢方・養生・江戸時代の医学・貝原益軒・本居宣長・徒然草・兼好法師)

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貝原益軒の養生訓―総論下―解説 031 (修正版)

2015-07-21 16:16:44 | 貝原益軒の養生訓 (修正版)
(原文)

爰に人ありて、宝玉を以てつぶてとし、雀をうたば、愚なりとて、人必わらはん。至りて、おもき物をすてゝ、至りてかろき物を得んとすればなり。人の身は至りておもし。然るに、至りてかろき小なる欲をむさぼりて身をそこなふは、軽重をしらずといふべし。宝玉を以て雀をうつがごとし。

心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過すべからず。凡わが身を愛し過すべからず。美味をくひ過し、芳うんをのみ過し、色をこのみ、身を安逸にして、おこたり臥す事を好む。皆是、わが身を愛し過す故に、かへつてわが身の害となる。又、無病の人、補薬を妄に多くのんで病となるも、身を愛し過すなり。子を愛し過して、子のわざはひとなるが如し。

(解説)

 「総論上―解説 010」にも出てきました。「薬は皆気の偏」なのであり、「参芪朮甘の上薬といへども、其病に応ぜざれば害あり。況、中下の薬は元気を損じ他病を生ず」るのです。病気でもないのに薬を飲んではいけません。

 子供への愛情。どんな愛も過剰になれば害となります。貝原益軒は『和俗童子訓』という育児書を残していますが、この中で以下のように述べています。

凡、小児をそだつるに、初生より愛を過すべからず。愛すぐれば、かへりて、児をそこなふ。衣服をあつくし、乳食にあかしむれば、必、病多し。衣をうすくし、食をすくなくすれば、病すくなし。富貴の家の子は、病多くして身よはく、貧賎の家の子は、病すくなくして身つよきを以、其故を知るべし。小児の初生には、父母のふるき衣を改めぬひて、きせしむべし。きぬの新しくして温なるは、熱を生じて病となる。古語に、凡そ小児を安からしむるには、三分の餌と寒とをおぶべし、といへり。三分とは、十の内三分を云。此こころは、すこしはうやし、少はひやすがよし、となり。最古人、小児をたもつの良法也。世俗これを知らず、小児に乳食を、多くあたへてあかしめ、甘き物、くだ物を、多くくはしむる故に、気ふさがりて、必脾胃をやぶり、病を生ず。小児の不慮に死する者は、多くはこれによれり。又、衣をあつくして、あたため過せば、熱を生じ、元気をもらすゆへ、筋骨ゆるまりて、身よはし。皆是病を生ずるの本也。からも、やまとも、昔より、童子の衣のわきをあくるは、童子は気さかんにして、熱おほきゆへ、熱をもらさんがため也。是を以、小児は、あたためすごすが悪しき事を知るべし。天気よき時は、おりおり外にいだして風日にあたらしむべし。かくのごとくすれば、はだえ堅く、血気づよく成て、風寒に感ぜず。風日にあたらざれば、はだへもろくして、風寒に感じやすく、わづらひおほし。小児のやしなひの法を、かしづき育つるものに、よく云きかせ、教えて心得しむべし。

 今も昔も過保護な親はいるものです。愛することは大切な人情。しかし自身の身体へも子供へもそれが過剰にならないように気をつけましょう。

(ムガク)

(これは2011.3.16から2013.5.18までのブログの修正版です。文字化けなどまだおかしな箇所がありましたらお教えください)


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