はちみつブンブンのブログ(伝統・東洋医学の部屋・鍼灸・漢方・養生・江戸時代の医学・貝原益軒・本居宣長・徒然草・兼好法師)

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貝原益軒の養生訓―総論上―解説 014 (修正版)

2015-04-11 13:10:40 | 貝原益軒の養生訓 (修正版)
(原文)

生を養ふ道は、元気を保つを本とす。元気をたもつ道二あり。まづ元気を害する物を去り、又、元気を養ふべし。元気を害する物は内慾と外邪となり。すでに元気を害するものをさらば、飲食動静に心を用て、元気を養ふべし。たとへば、田をつくるが如し。まづ苗を害する莠を去て後、苗に水をそそぎ、肥をして養ふ。養生も亦かくの如し。まづ害を去て後、よく養ふべし。たとへば悪を去て善を行ふがごとくなるべし。気をそこなふ事なくして、養ふ事を多くす。是養生の要なり。つとめ行なふべし。

(解説)

 その昔、孟子は公孫丑に、「浩然の気」とは何かと訊かれ、こう答えました。

その気たるや、至大至剛にして直く、養いて害うことなければ、則ち天地の間に塞つ。その気たるや、義と道とに配す。是れなければ餒うるなり。是れ義に集いて生する所の者にして、襲いて取れるに非ざるなり。行い心に慊からざること有れば、則ち餒う。我故に告子は未だ嘗て義を知らずと曰えるは、その之を外にせるを以てなり。必ず事うこと有りて、正とすること勿れ。心に忘るること勿れ。助けて長ぜしむること勿れ。宋人の若くすること無れ

 この孟子の言う所の「浩然の気」、それは最も大きく、最も剛く、そして単純なものです。そして『管子』に、「浩然なる和平は以て気淵と為す」とあるように、天地万物の調和と平衡に深く関っています。これは、養って無駄に消費しなければ、天地の間に充満するのです。また、それは義(仁義)と道(道理)に配合されていて、もしこの気がなければ、人の気力も失せてしまいます。これは義の心によって養われ、無理に奪い取れるものではなく、また、行動する時、心に疚しいことでもあれば、失われるのです。孟子は言います。気を養うには、義と道に従えばよく、気を得ることを目的としてはいけない。心に忘れてもいけないし、宋人のように、無理やり道理に逆らって助長してはいけない、と。

 ここで言う、宋人とは、昔話にでてくる農民です。春秋戦国時代の頃、田の苗の成長が遅れていることを心配した農民が、苗を成長させようとしてそれらを引っ張りました。疲れて家に帰り、そのことを家族に話すと、息子が急いで田を見に行きましたが、苗はすべて抜けて枯れ果てていた、という話です。

 孟子は言います。「天下の苗を助けて長ぜしめざる者は寡し。以て益無しとなして之を舎つる者は、苗を耘(くさぎ)らざる者なり。之を助けて長ぜしむる者は、苗を揠(ぬ)く者なり。ただ益無きのみに非ず、而て又、之を害う」と。益軒も、元気を養うことは「田をつくるが如し」と言い、あせらないで道理に適った養生法をつとめることを勧めました。

(ムガク)

(これは2011.3.16から2013.5.18までのブログの修正版です。文字化けなどまだおかしな箇所がありましたらお教えください)


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