
タイトルは。「傷あればこそ熟す」です。
真偽のほどは置いといて、もうすぐ干し柿を作る季節になりました。
傷は勲章です。大事に付き合いましょうかね。
亡きお袋からたくさんの野菜が届いた。
良かれと想う母の気づかいでした。
半分は潰れて、半分は多すぎて食用になったのはわずかであった。
今日のタイトルは、「気づかぬ傷」です。
熟れたもの(美味しいもの)を食べさせたい。
家族が多い我が家を喜ばせたいと、大量の野菜でした。
何度も届いた宅急便の惨状を報せました。
我が家の冷蔵庫で順番に傷んでいく野菜を見て嘆きました。
結婚式の引き出物が、カタログ注文になっていった。
お返しの習慣が変わったのである。
かつては、お返しにいただいた皿やお盆で押し入れがいっぱいになった。
先輩が、後輩に自分の経験を話すのが飲み会の常識であった。
今では、セクハラやパワハラに気を付けながら話さなければならない。
社員旅行に行きたいという社員が減ってきたので、旅行そのものが取りやめになった。
先輩も会社も「良かれ」との思いから出る活動です。
今度は送る側になった。
中には、見たこともない食材も混じっている。
料理方法と保存方法も付け加えている。
食材の中には、筍やとうもろこしのように、採れたてから時間が経つごとに味が落ちていくものがある。
筍は、4時間以内に茹でたものを冷蔵で送る。
大量にいただき送るので、もらってくれる人も捌ける人を選ぶ。
渋柿を500個いただいた。100個ずつ都会の知人に送った。
ご主人も手伝って、干し柿にしたそうである。
良かれと思い言った言葉で、他人を傷つけることもある。
反対に、励まされてさらに落ち込むこともある。
励ましは、まことに難しいのである。
黙って聞いてあげるくらいでちょうど良い。
傷が癒えたら、その人はまた自力で歩き出します。
「気づかぬ傷」にどうすれば思い至るのか。
ある人は、相手を想う「愛」だという。
小説でも漫画でも作者がいる。
作中の人物は、書き手の思うようにはならない。
勝手にしゃべりだしたり動いたりする。
この主人公やったら、このくらいは言うなと代弁するように書き留める。
果物などが鳥につつかれる。その果物はさらに美味くなる。
木が風にあおられ枝が折れる。折れた個所はさらに強くなる。
植物は、傷を治そうと糖を送り再生するのである。
だから、美味しくなり丈夫になる。
「気づかぬ傷」は、人が生きていくうえでの試練のようなもの。
自分で気づかぬうちに、相手を傷つけたとしても心配はないのである。
相手も初めて気づいた傷である。気づかせてくれたことを暗に感謝するのである。
そして、さらに強くなろうとする。あなたに近づかなくなるのも防衛本能であろう。
腐りかけ 美味しんやで 三十路かな
2019年10月19日