これからのオキナワマルバネ
もうすぐオキナワマルバネクワガタ
Neolucanus okinawanus Sakaino,1984は
「国内希少野生動植物種」に指定され
その捕獲や譲り渡しなどが禁止されます(2016年3月15日施行)
『指定以前から飼養しているオキナワマルバネを飼い続けることは可能であり
そのための許可を得る必要はありません。
また、指定以前から所有している標本を所持し続けることも可能であり
そのための許可を得る必要はありません。
ただし、飼養している個体や標本を譲渡したり販売することは禁止されます。
例外として、学術研究を目的としたところ(博物館など)への寄贈等は
環境大臣の許可を得れば可能です。
飼養していたオキナワナルバネを殺処分した場合も
譲渡や販売することは禁止されます。』
『 』は、環境省 自然環境局 野生生物課
希少種保全推進室に確認した内容の一部(2016.2.23)
*譲渡や販売=売買・あげるもらう・貸す借りるなど
これまでは飛び飛びで気ままな飼育をしてきたオキナワマルバネ
これからは、そうはいかなくなりました。
マットの準備
昨年秋に採卵した幼虫が2齢後期~加齢すると
まとめ飼いからそのほとんどを単独飼育に切り替えます。
↓こちらは初齢
単独飼育用のマットはそれまで幼虫が育っていた元マット以外に
赤枯れと市販のマットをMixしたものを使いますがそこそこの量が必要になります。
赤枯れに関しては私の行動範囲にあるブナがメインになります。
↓乾燥中のブナ赤枯れ
市販のマットは
以前マキシムスマルバネに使用したカブトマットで対応できると思いましたが
今回は、「ペースト状~超微粒子」と説明されたカブトマットを発注しました。
一方、赤枯れも少ししか取り置きがないので近いうちに調達しに行かなければなりません。
実際の自己流マット作成は次の機会で書いてみたいと思います。
終齢の餌追加
昨日、マルバネに精通した方から譲っていただいた幼虫の
最後のマット追加を行いました。
こちらは目減りしたマットを足して蛹室作りに備えます。
使用したマットは、去年の残りで市販品(マルバネマット)を使いました。
↓強く握って水分が少し滲むくらい
↓今年羽化の見込み
画像の幼虫は2頭とも昨年12月に25g以上ありましたが減量しており
もうすぐ蛹室を作るものと思われます。
管理温度
飼育は、観葉植物用のガラス温室(1機)を使用していますが
熱効率がよくないため、側面・背面・上部にプラ版を貼りつけて
気持ち程度の効率UPと、遮光をしています。
季節の温度管理は、下記のような温度帯を目安としていますが
3段ある棚の最上段と最下段では2度以上の温度差が生じるときもあり
厳密な管理が出来ているわけではありません。
おおよそです。
そして、初夏や秋の一時期は自然温で管理します。
02~03月=19度前後
03~05月=22度前後
05~11月=27度以下
それ以外の冬季=15度前後
また、棚の最下段は底置きのヒーターの熱をまともにくらうので
棚に段ボールを敷き、出来るだけ高い位置に移動します。
そして、過去に多くの初齢を失った教訓として
ヒーター使用期には最下段にマルバネを置かないようにしています。
3年目の幼虫~蛹室
飼育下でのマルバネは多くが2年1化になりますが
中には3年目に突入する個体も出てくるようです。
↓2015年7月に蛹室を作成して蛹化せずオキマル
↑体色や動きなどで生死の判断はつき難い
3月に入り、徐々に温度を上げていくと死亡していることが判明↓
↓ 昨年秋に蛹室作成のマキシムスマルバネ3年1化
↑この蛹室内に
大アゴを動かせる状態の幼虫が入っていることを確認しましたので
このマキシムスは前蛹ではない終齢幼虫の状態で
秋から蛹室の中で暮していることになります。
昆虫の発育零点は普通10度あたりにあるとされ、(発育零点=発育可能な限界温度)
クワガタムシもまた、それに該当するものと考えます。
それからすると、冬季を15度前後の環境にいた幼虫が
完全に休眠をしていたとは思えません。
一時期は31gあったこの幼虫がこのままうまく蛹化~羽化すれば
蛹室内での過ごし方を垣間見ることが出来るかもしれません。
また、マキシムスの中には蛹室を作らず幼虫のまま3年目に突入した個体もおり
それらは現在も摂食中です。
野外においても同腹で発生(出現)年度に違いがあるのなら
よりランダムな遺伝子交流が行なわれていると思われ興味あるところです。
↑↓オキナワマルバネ
参考文献:
田中誠二・槍垣守男・小滝豊美 編著.
2002,昆虫の休眠学 季節適応の謎. 東海大学出版会.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます