ケチャップ

昨日は熊本市小学校体育連盟主催の陸上競技大会だった。
愚息は5年生の走幅跳と4×100mリレーに出場。

5年生男子の走幅跳の開始時間は、開会式終了後の9時。
あっという間に始まりあっという間に終わった。
結果は27人中2番目。
3m91cmで1位選手とは5cmの差。

先々週の学童五輪で4m以上を跳んでいることを知っている引率の先生たちは、優勝を期待していたみたいだけど、昨日の結果は昨日の「実力」だったように思う。

ボクは愚息の父親だからよく知っている。
愚息は普通の子供だ。

昨晩の夕食はお好み焼きだったけど、お好み焼きのソースが足りなくなったことに異様なほどに腹を立てて、カミさんに八つ当たりしている愚息の姿を、ボクは風呂上りに見ることができた。テーブルにつき、ビールを口にする前に愚息に話した。

「リョウタロウくん、君は、○○リョウタロウという一人の人間だ。あなたの上にも下にも人はいない、あなたはうちのお父さんとお母さんの子供でお姉ちゃんたちの弟に過ぎない。あなたが学童オリンピックで一位になり、先週は野球で優勝し、今日は2位という結果を収めたことは素晴らしいと思うけど、だからといってあなたがスゴイとかエライとかはお父さんはこれっぽっちも思っていません。あなたが良い成績を収めることができたのは、そこに大会というものがあって、陸上クラブがあって、野球チームがあって、学校があったからだよね。そこのところをしっかり考えてもらいたい。あなた一人で成し遂げたことではないってこと、たくさんの人の関わりによってあなたの成績が作られていることを忘れないで欲しい。
それから、あなたが良い成績を出しているのは他の子たちより長く練習をしているからなんだよ。いま、ようやく花が開いたと、そういうことなんだよ。お父さんはこれまでたくさんの子供たちを見てきたからわかるけど、あなたと同じ量のトレーニングを積めばあなた以上の成績を出せる子供はたくさんいると思っている。あなたは決して特別な子供じゃぁない。お父さんはあなたの活躍を見るのは本当に楽しみだよ。いつまでも活躍してもらいたいと思っている。だけどね、あなたにできることは他の子供にもできると信じている。あなたが頑張ることで他の子供がもっと頑張る姿を見ることができれば、それがお父さんにとってはなによりの幸せのような気がする。お父さんはあなたに勝つことだけを期待していません。勝つために努力することを期待しています。
それから、昔はお好み焼きソースなんてのはなかったよ。とんかつソースにケチャップを混ぜてたよ・・・・・・」

愚息は冷蔵庫からケチャップを取り出した。