1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

朝は・・・

2007-11-26 10:08:30 | 雑談の記録
毎朝、サッシからの冷たいすきま風で目が覚める。
窓ガラスに付いた水滴が流れおち、ガラスは毎朝泣いている。

6畳一間のボロアパートの一室、そこで毎朝3人の男が目覚める。
ボクと同僚の山ちゃん、そして課長だ。

7年前、熊本県はついに財政破綻した。
公共事業だよりのボクが勤めていた小さい会社は、熊本県の財政再建団体の指定とともに解散。
技術部にいたボクと山ちゃんと課長は、派遣労働者として関東地方の大型都市土木現場の地盤変位計測で食いつないでいる。


毎朝、ボクらは無言で重たい体を起こす。
煎餅布団をたたみ、作業着に着替える。
人が良くて事務員の女性に人気があった山ちゃんは、スッカリ不機嫌な中年男になっていた。
課長はもうすぐ60歳だ。頭はスッカリ真っ白で、酒もズイブン弱くなった。


アパートの階段の手すりは錆びが酷く、その用途をなしていない。
3人の男は、そのボロ階段を降り、近所のコンビニに寄って現場に向かうのが日課になっていた。
空は灰色だった。


リョー坊と最後にキャッチボールをしたのはいつだったろうか。
小学校の10周年記念事業で司会を務め、感動とともにラストを迎えたあの日のことを思い出す。
遠い遠い昔のことのように思える。充足していた日々だった。
本当に懐かしい。あの頃、世話になっていた人々は元気にやっているだろうか。
・・・カミさんに会いたい。

こんな呟きや思い出に何の意味があるというのだろう。
ボクだってスッカリ荒んだ男になってるじゃぁないか。


大通りには、仕事や学校に向かう人と車。
その光景が歪んでいった。そして、熱いものが頬を伝っていった。
アスファルトに、黒い染みが浮かび上がった。

・・・・あの日々が本当に懐かしい。


目が覚めた。
夢だった。朝だった。
カミさんが起こしてくれた。
布団が暖かかった。
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