「SASEBO」の雰囲気は最悪だった。
新チームになってエースになるはずだったリョウタロウが1年ほど前に引越しており、以来、チームは負けが込んでいた。代わりのエース?のマイクは一人で野球をやるタイプで、特に日本人の子供には嫌われていた。
キャッチャーは漁師の息子のタカシ。タカシもマイクが嫌いだった。
タカシはマイクのボールを受けながらいつも思っていた。
「リョウタロウがいれば・・・リョウタロウがいれば・・・全国制覇、そしてワールドシリーズも夢じゃなかったのに・・・こんなヤツのボールなんか、クソッ!」
熊本での遠征(練習試合)がさらに亀裂を拡大させる結果となった。
フォアボールにパスボール、エラー。バッテリーの呼吸は全く合わず、バックもボロボロだった。熊本のゴリン頭のチームにボロッカスにされたのだった。
ひとり気を吐いていたのは2番手ピッチャーのケイ、長身の少女だった。
左からのしなやかな腕の振りと絶妙のコントロールが彼女の持ち味だった。
いつもマイクを心配していた。
チームに転機がおとずれようとしていた。
練習中のことだった。
ケイの強い打球が一塁側ファールゾーンに飛んだ。
そのボールは、スピードを保ったままマサヤの後頭部を襲おうとしていた。
マサヤはレギュラーではなかった。体は小さく、どちらかと言えば、本が似合うタイプの少年だった。だけどチームでは一番の努力家で野球好きだった。
そのとき、マサヤは次の練習のために一塁側から一人でネットを運び出そうとしていた。
マイクはそれに気がついていたが手伝いを躊躇していた。
「マサヤッ!」
子供たちが叫ぶ。
鈍い音がした。続いて地面に人が倒れる音。
ファウルグランドに倒れたのはマイクだった。
子供たちがマイクに駆け寄る。
マイクは右肩に耐え難い痛みを感じながら朦朧とした意識のなかで呟いていた。
「バカヤローが・・」
つづく
新チームになってエースになるはずだったリョウタロウが1年ほど前に引越しており、以来、チームは負けが込んでいた。代わりのエース?のマイクは一人で野球をやるタイプで、特に日本人の子供には嫌われていた。
キャッチャーは漁師の息子のタカシ。タカシもマイクが嫌いだった。
タカシはマイクのボールを受けながらいつも思っていた。
「リョウタロウがいれば・・・リョウタロウがいれば・・・全国制覇、そしてワールドシリーズも夢じゃなかったのに・・・こんなヤツのボールなんか、クソッ!」
熊本での遠征(練習試合)がさらに亀裂を拡大させる結果となった。
フォアボールにパスボール、エラー。バッテリーの呼吸は全く合わず、バックもボロボロだった。熊本のゴリン頭のチームにボロッカスにされたのだった。
ひとり気を吐いていたのは2番手ピッチャーのケイ、長身の少女だった。
左からのしなやかな腕の振りと絶妙のコントロールが彼女の持ち味だった。
いつもマイクを心配していた。
チームに転機がおとずれようとしていた。
練習中のことだった。
ケイの強い打球が一塁側ファールゾーンに飛んだ。
そのボールは、スピードを保ったままマサヤの後頭部を襲おうとしていた。
マサヤはレギュラーではなかった。体は小さく、どちらかと言えば、本が似合うタイプの少年だった。だけどチームでは一番の努力家で野球好きだった。
そのとき、マサヤは次の練習のために一塁側から一人でネットを運び出そうとしていた。
マイクはそれに気がついていたが手伝いを躊躇していた。
「マサヤッ!」
子供たちが叫ぶ。
鈍い音がした。続いて地面に人が倒れる音。
ファウルグランドに倒れたのはマイクだった。
子供たちがマイクに駆け寄る。
マイクは右肩に耐え難い痛みを感じながら朦朧とした意識のなかで呟いていた。
「バカヤローが・・」
つづく
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます