◆寄稿 大原安治
年に数回「NTT退職者の会」がある。
「退職者の会」というと聞こえはいいが、要するに「呑み会」である。ところで、この呑み会に出て来る連中といったら、還暦を過ぎた私たちが一番若者で使い走りをさせられるくらいだから、かなりロートルばかりだ。昭和一桁ハナタレ小僧、大正中期で一人前、明治うまれでやっと長老扱いである。最長老は御歳90ウン歳、矍鑠としてまだ呑 . . . 本文を読む
「去る者日に疎し」
先日、東京駅から歩いて10分ほどのNTT大手町ビルにある逓信総合博物館(ていぱーく)に立ち寄った。その日が平日の昼下がりだったせいか、なかに人影はなく、がらんとしていた。
博物館は25年8月閉館【後記】3参照
久しぶりに展示室の一角に並べられた古武士然としたモールス音響通信機を眺めたり、無線通信機の前にある電鍵を触ったりした。そのうち、目の前に掲 . . . 本文を読む
文藝春秋2013年12月号にエッセイスト・作家・翻訳家の青木奈緒さんが「ツートントンの娘」と題し、幸田露伴の娘である祖母、幸田文さんのことを次のように書いておられる。
《先日、思いがけない経緯でNTTの方からCDを一枚頂いた。私にとっての祖母、幸田文の講演を録音したもので、昭和四十五年五月、旧電電公社中央電気通信学園にてと記されている。
講演は、「ひびき」と題され、祖母は自分のことを「ツート . . . 本文を読む