三流読書人

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ドングリ小屋住人 

憲法96条を変えてはけない

2013年06月10日 09時58分35秒 | 
 「憲法を変えてはいけない」

自民党をはじめ改憲をいう政党は、ねらいはおそらく9条の改悪にあるのだろうが、にわかに96条の改定を言い始めた。憲法改悪のハードルを低くするということである。
自民党は先の衆院選挙で得票率27%余りで多数の議席を得たことを千歳一遇のチャンスとしてとらえ、一気に憲法を変えようとしている。小選挙区制という今日の選挙制度は憲法違反であることが十六件の控訴審の判決で明らかにされている。憲法違反のもとで得た議席の数で新たな憲法違反を企んでいる。
さすがに最近、さまざまの分野の人々が96条の改悪は大変な問題を持っていることを発言し始めた。
例えば、慶応大学教授で憲法学者の小林節氏は次のようにコメントしている。
今日まで三十年以上にわたって私は、憲法改正を提案し続けてきました。まぎれもない改憲論者の私が憲法観で対立する「赤旗」紙上にコメントを寄せるのは、「憲法そのものが危ない」という差し迫った状況が目の前にあり、からだを張ってでもそれを阻まなくてはいけないとの思いからです。安倍政権と超党派の改憲派議員たちが最近強く主張する憲法96条改悪の動きです。改憲のハードルを低くし、憲法を憲法でなくして、一般法律と同じようにしようというのは、憲法改正のルール以前の「憲法破壊」です。さらにいえば人類の歴史に対する冒瀆です。近代法治国家の基本は六法(民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、憲法)です。六法の筆頭に置かれるのが憲法です。憲法の役割とは何か。国の主権者である国民がみずからの権利を守り、かつ、みずからの幸福追求を守ってくれる機関としての国家権力を管理する基本マニュアル(手順書)といっていいと思います。法律家は、この関係を立憲主義と呼びます。96条改正を主張する人たちは、日本国憲法の改正手続きが世界でも異常なほど厳しいかのようにいいますが、国会の3分の2以上の賛成が必要としている発議要件は先進国では普通です。米国の場合、さらに全州の4分の3以上の賛成が必要で、日本以上に困難なのです。憲法は改正手続きが厳格(硬性)であってこその憲法です。憲法の拘束を受ける政治家(権力者)たちが、憲法から自由になろうとして改憲発議の条件を緩和しようとすることは立憲主義の否定であって、国民主権に対する反逆に等しいことです。しかも怪しげなことに96条改正を主張する人たちは、具体的には安倍首相や自民党などですが、96条を改正してハードルを低くした後に彼らが何をしようとしているかほとんど語っていません。9条改正なのか、愛国(心)の義務を書き込みたいのか。改憲内容に踏み込むと96条改憲派さえも割れてしまう恐れがあるので、そこを避けて改憲派政党の大同団結をはかっているフシがうかがえます。「何に使うかわからないけれど、私に銃を持たせて」というようなもので、何をしでかすかわからないのに危ない銃をわたせるだろうか。・・・以下略・・・】(「赤旗」4月30日付)96条についてわかりやすく書かれていると思うので少し長い引用となった。
次の方々も毎日新聞、「赤旗」などに小林教授と同趣旨の発言をされている。神戸学院大学教授で憲法学者上脇博之さん、東大名誉教授で憲法学者樋口陽一さん、日弁連憲法委員会の笠松健一弁護士、法政大学教授田中優子さん、桜美林大学教授・元防衛研究所の加藤朗さん、日弁連「憲法96条の発議要件緩和に反対する意見書」。作家、放送タレントの永六輔さんが憲法99条について「憲法を変えてはいけないという条文です。天皇陛下といえども変えられない。それなのに国会議員が変えると言い出すのはおかしいでしょう。聖徳太子の『十七条憲法』はそもそも役人に守らせる規則でした。その精神が今の99条に残っている。99条を守ることは9条はもとより、憲法を守ることなのです」(毎日新聞5月28日付夕刊)と語っている。更に驚いたことに古賀誠元自民党幹事長が「96条を変えることは絶対にやるべきではない」(赤旗日曜版6月2日付)と発言している。日本の世論となりつつあるといってよい。

大寒

2013年01月20日 15時34分37秒 | 
今日は、大寒。

大寒の埃の如く人死ぬる     高浜虚子

虚子がどのような思いで「埃の如く人死ぬる」と詠んだのかわからないが、人が生きるということは、埃が舞いあがり、舞いおちるというようなものなんだろうか。
今日のさまざまな出来ごとの中での人の命のあまりの軽さにそう思ってしまう。
莫大な金を使って、ひたすら人を殺すための道具を作り続け、溜め込み、使う訓練をし、組織を作る。
戦争をするために、である。
日本はそういう馬鹿なことはもうしないと誓った。それが日本国憲法第9条であろう。
それをご破算にしようという連中が増えてきた。
「鴻毛より軽き命」の時代を再現しようというのか。
子の命、孫の命、そのまた次の世代の命を守ることを誓おう。