【 「逆所得政策」
景気拡大が2月で6年目に入る。国内総生産(GDP)だけでみれば2%台半ばで、成熟経済としてはまずまずだ。にもかかわらず、いまだに景気がよいとの実感は乏しい。
大企業が史上最高益を謳歌している一方で、消費は低迷し、賃金も上がらないのだから、それも無理はない。バブル崩壊後の景気低迷からの脱出で設備、雇用、不良債権という三つの過剰の解消が最重要課題だったのだ。リストラの名のもとに、人減らしをし、賃金を抑え込むことを国も推奨した。現状はその帰結だ。
ここ2年ぐらい非正規雇用がほとんどとはいえ、ようやく雇用者は増えてきた。しかし、賃金は昨年半ば以降低下している。これは労働者にとって非常事態だ。ところが、例年のこととはいえ春闘は今年も盛り上がらない。遅ればせながらベースアップ要求する組合も出てきたが迫力に欠ける。経営側のガードは相変わらず堅い。それどころか、ホワイトカラー・エグゼンプション導入や派遣労働の業種拡大など、一段の賃金コスト切り下げを目指している。
経済を強くしようというのであれば、方向が逆だ。今大事なのは需要サイドへのてこ入れなのだ。簡単な話、賃金を上げたり正規雇用を増やしたりすることだ。第一次石油危機後、インフレ収束策として所得政策が脚光を浴びた。賃上げ抑制論である。
デフレで需要不足と、今の経済は当時と逆の状態にある。賃上げを節度ある範囲内で、一定水準以上にする逆所得政策があり得るのかもしれない。経営者が決断すればいいことだ。需要が増えれば供給側も活気づく。いいではないか。
(パイン)】
ワーキング・プア、不安定雇用、ニート、失業者など増える一方。
庶民、労働者は景気がいいと思ってるだろうか。
生活に無関係の好景気って何なんだ。
折しも、就職戦線の時期、今年は超売り手市場とはいうが、新規雇用者の現場はどうか。夢と希望の持てる職場であるか、厳しい競争とノルマとの闘いが待っている。
若者が展望を持てる社会にしなければ。
少子化対策の第一歩もそこであろう。