三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

行く年 逝く年

2005年12月31日 09時40分32秒 | 教育 

ゆく年や膝と膝とをつきあわせ    夏目漱石

ゆく年やむざと剥ぎたる烏賊の皮   久保田万太郎

年ゆきぬブルドーザ崖噛みしまま   宮下翠舟

行く年を母すこやかに我病めり    正岡子規

行く年や庇の上におく薪       一茶

漱石がきて虚子がきて大三十日    正岡子規


         よいお年を
  

  

日米地位協定 この屈辱的とりきめ

2005年12月30日 15時17分10秒 | 教育 
東京都の八王子市で、厚木基地に勤務する米軍水兵(23歳・女性)が、小学生の男子3人を車ではね、重軽傷を負わせ、そのまま逃走した。
約1時間半後、警視庁に逮捕されるが、即日釈放される。
ひき逃げは最も憎むべき犯罪である。
何故釈放されたか、日米地位協定があるからである。
この事件につき米軍から「公務証明書」が出された。日本にいる米軍の兵士が、任務を遂行中に犯罪を犯してもその裁判権は、米軍当局が優先する。
日米地位協定とは、
日米地位協定代17条
「合衆国の軍当局は、公務執行中の作為または不作為から生ずる罪などについては、合衆国軍隊の構成員または軍属に対して裁判権を行使する第一次の権利を有する」

刑事特別法第11条
「検察官または司法警察員は、逮捕された者が合衆国軍隊の構成員または軍属で、犯した罪が地位協定17条に掲げる罪に該当すると明らかに認めたときは、刑事訴訟法の規定にかかわらず、直ちに被疑者を合衆国軍隊に引き渡さなければならない」

米軍の人間が犯罪を犯しても、それは「公務中であった」と言えばよいのである。
軍というものは戦争をする集団である。それに所属する者が作為、不作為を問わず、軍としての任務を行っていたという証明書を発行すれば、犯罪を犯しても日本の裁判権が及ばない。彼らはあらゆる武器を待ち、日常的に殺人の訓練をしている。
こういう者が日本の町を闊歩している。恐ろしくはないか。
この屈辱的な取り決めは、奴隷的服従とも思えてくる。
さらに、思いやり予算によって彼らの住まいをはじめ、生活の全般にわたる面倒を日本政府はみている。
日頃、愛国心、愛国主義などと声高に主張している人々はこれをどう思っているんだろう。

思いやり予算 2004年度2441億円、2005年度2378億円。
 

日本はどこへ行く 小泉外交

2005年12月29日 09時06分18秒 | 教育 
いったい日本はどこへ行こうとしているのか。靖国参拝などアジアの近隣諸国の非難と嫌悪を浴び、アメリカべったりの外交政策を続ける小泉政権の外交に対し、不安を感じている日本人は多くいる。
引用する文章は、『毎日新聞』コラム「世界の目」

「小泉首相の近隣外交」
トム・プレート(米カリフォルニア大ロサンゼルス校教授)
《日本は、自衛隊を強化して”普通の国”になる計画を、アジアの近隣国に理解してもらおうと努めている。だが日本人はこれが誰かを不安にさせるとは思っていない。この計画を唯一受け入れたのは、皮肉なことに憲法9条に代表される平和憲法を課した米国である。
 アジアの記憶は簡単には消えない。誰が20世紀の日本の侵略を忘れられるだろうか。しかも自衛隊の強化と任務拡大の動きが出てきたのは、靖国神社への参拝をやめようとしない小泉純一郎首相の任期中のことだ。これは最悪の外交政策である。おそらく今日では、中国による侵略より日本による侵略を恐れるアジア人のほうが多い。
 実際には、現在の日本はアジアを侵略した過去の日本とは違う。外務省の谷口智彦外務副報道官は最近、研究員をしていたブルッキングズ研究所を去るにあたり、論文「どうなる日本? 新憲法と防衛強化」をまとめ、軍事分野で日本が透明性を高めることを呼びかけた。
 「日本の質的な軍備増強は、国家が一層右傾化したり、単独主義化した結果ではない」(谷口氏)のであり、世界の経済大国の一つが政治的、国際的進化を果たした結果なのだ。谷口氏は「日本が情報を公開するほど近隣国が日本の意図を誤解する余地は狭められていくだろう」という。日本は情報公開のモデル国家になるべきだ。彼はこうも指摘する。「日本政府は中国の防衛計画の担当者を東京に招き、日本の防衛強化や発展について調査できるようにすべきだ。道義的優位を確保するため、中国側から見返りがなくとも、この透明性確保の試みは揺るぎなく一方的でなければならない」
 日本は近隣国に対し、新たな侵略への道を歩もうとしているのではない。世界の舞台において、日本の実績に見合った役割を開拓しようとしているのだ。その結果中国との衝突などは避けられないが、全面戦争は抑止できると日本政府は信じている。しかし、日本のまずい外交政策は地域全体の緊張を高めかねない。それがどのような事態を招くのか、誰にもはっきりとは分からない。
                         【訳・大治朋子】   》

この恥知らず 政党助成金の使い方

2005年12月28日 10時45分16秒 | 教育 
あきれ果てる政党助成金の使い方
構造改革、財政改革、小さな政府、などといい、公務員の削減、福祉切り捨て、増税と国民には痛みを押しつけながら、この税金の使い道の恥知らずぶりはどうだ。
国民一人当たり250円、年間370億円。
2004年分「政党助成金使途報告書」によると、一人当たりの受取額は、概ね自民党1500~2000万円、公明党900~2400万円、民主党1000~2750万円など。

報告書によるその使い道、
自民党常田享詳(参・鳥取)研修旅行159,000円
自民党佐藤錬(衆・比例九州)「くにさき望海苑」へ会場借料83,351円
公明党福島豊(衆・大阪6区)日本料理店に51,800円
民主党福島県連「小名浜オーシャンホテル&ゴルフクラブ」利用代316,800円
民主党園田康博(衆・東海比例)昼食代56,595円
民主党今泉昭(参・千葉)会議弁当代151,000円
民主党小林正夫(参・比例)弁当代139,230円
社民党北信越ブロック協議会食事代146,685円
社民党東京都連弁当代197,050円
自民党吉川貴盛(衆・比例北海道)除雪費420,000円
自民党近藤基彦(衆・新潟)除雪費52,892円
自民党遠藤利明(衆・山形1区)ストーブ代、石油ストーブ購入代69,930円
自民党阿部正俊(参・山形)ストーブ代
自民党吉野正芳(衆・福島5区)ストーブ代
自民党西銘恒三郎(衆・沖縄4区)クーラー代504,000円
自民党金子恭之(衆・熊本5区)浄化槽清掃料・小便器取替124,981円
自民党福岡資麿(衆・佐賀1区)カーテン・カーペット・台所用品62,969円
と、まあ、ほとほとうんざり。
他にも、掃除機・自転車・テレビ・カーナビ・Tシャツ・警備用セーフティコーン・石原伸晃衆院議員は演説会を盛り上げるために煙を吹き出す特殊効果に157,500円など。
連座制で失職した今野東元衆院議員は「法律相談料」百万円、連座制適用が不当だという相談に。
また、人件費というのも多い。人件費は領収書が不要でつかみ金。

献金を少なくしクリーンな政治を実現させることを目的にこの制度ができた。
国会議員数が5人以上であるか、国政選挙での得票率が2%以上の政党のみが受け取ることができる。
政党助成金は、税金から出されるので支持していない政党へも資金を提供しなければならないこと、参政権はないが税金は払っている永住外国人や未成年者も政党の資金を負担しなければならないこと、要件に当てはまらない政治団体は助成金をもらえないことなど矛盾だらけの制度である。また、助成金は年末・年始に支給されるため、年末になると助成金めあての政党の離合集散が起きているという指摘もある。太陽党は1996年12月26日に結党した。
政党では、日本共産党が政党助成金制度の廃止を主張しており、助成金を受け取っていない。その分も他の政党で山分けしている。

ジャンクフードを食べてなさい

2005年12月27日 15時41分55秒 | 教育 
 薄目の出汁を、たっぷりと張った鉄鍋の中へ、太兵衛が持ってきた大根を切り入れ、これがふつふつと煮えたぎっていた。
「さ、おあがんなさい」
「これは、これは・・・・・」
「その小皿にとって、この粉山椒をふったがよい」
「こうしたらよいので?」
「さよう、さ、おあがり」
ふうふういいながら、大根を頬張った太兵衛が、
「こりゃあ、うまい」
嘆声を発したのへ、小兵衛が、
「そりゃあ、平内さん。大根がよいのだ。だから、そのまま、こうして食べるのが、いちばん、うまいのじゃ」

 これは、池波正太郎『剣客商売』シリーズの『天魔』のなか、「約束金二十両」に出てくる。池波正太郎得意の食の描写である。
 友人に、見事な大根を二本いただいた。
 さて、どうして食べようか。
 マクドナルドもケンタッキーフライドチキンもアメリカ産輸入牛肉も絶対食うものか。

 「若いときはさておき、人間も六十に近くなると、大根の滋味がわかるようになってきて、その旨さから片時もはなれることができなくなってしまうのだ」
とは、池波正太郎の言である。


   

天下り・寄生虫・パラサイト

2005年12月26日 10時20分56秒 | 教育 
 『朝日新聞』12月24日(土曜日)付 コラム欄「私の視点」ウイークエンドに次のような記事が載った。
 筆者は、吉田達也氏、東京都立大大学院生。
以下引用。
《◆国会図書館・「天下りでない館長選びを」  
 高額との批判を受けていた国立国会図書館長の給与を引き下げる改正国立国会図書館法が今春、成立し話題になった。だが、館長の身分はどんなものなのか、知る人は少ない。改めて国会図書館の存在意義を確認し、館長は官僚の横滑りでなく、創立の理念にふさわしい人物を選ぶべきだと訴えたい。
 18歳以上なら誰でも、それ以下でも支部図書館の「国際子ども図書館」を利用できる国会図書館は、戦後間もない48年に設立された。国会図書館法の前文にある理念「真理がわれらを自由にする」は、同図書館を日本の民主主義建設の礎にしようとした歴史学者の羽仁五郎(当時参院議員)が起草したものだ。
 大学院に入る前、私は彼が書いた「教育の論理 文部省廃止論」に出会い、彼が心血を注いだ国会図書館創設に興味を持った。羽仁は言論と思想の自由を奪った治安維持法で2度逮捕されたが、一貫して官僚支配にあらがった人だ。著書「図書館の論理」の中で国会図書館の使命を「議会政治が官僚政治を打破する」ことだと述べている。
・・・中略・・・
 「国権の最高機関」と言われながら、国会には独自の調査機関すらない。国会質疑で政府官僚が「公務員の守秘義務」を盾によく逃げ腰の答弁をするが、国会図書館が、各省が持つ資料室をその支部として管轄下に置くことが出来れば、行政資料を随時収集できる。議員が国会図書館に資料請求すれば「守秘義務」は隠れみのとして通用しない。
 羽仁がこうした機構の導入を委員会に諮ったとき、旧大蔵省などの官庁は猛反発した。だが実現してみると、たちまち効果を発揮した。第4次吉田内閣のバカヤロー解散(53年)は旧社会党の西村栄一議員が各国防衛省の資料を基に首相を追いつめたこことが発端だが、その資料は国会図書館に出させたものだった。
 創立当時の新聞はその意義を解せず「議員が本を読むと思うのか」と書いた。羽仁は「本を読む図書館じゃなく、立法の基礎をなす資料を官僚の手から議員の手に移すための図書館なんだ」と切り返している。
 このような価値を持つ国会図書館は国民の貴重な財産である。元来その館長に起用される人物には二つ以上の外国語を理解出来る能力が求められた。初代館長は、憲法学者の金森徳治郎であり、副館長は「図書館の未来像」を構想した思想家の中井正一だ。
 しかし、ここ40年以上、国会図書館長といえば国会官僚である衆参両院の事務総長が入れ替わり就く「天下りポスト」になっている。長く政権交代なきに等しい状態が続いたため、「民から官」へ移行してしまっているのだ。国会図書館は国民の財産であって官の私物ではない。創立の志に合った人選をすべきである。》

 創立の志に合っていないのだ。現館長は。こういうことは知らなかったなあ。しかし、他の天下りポストにも、いっぱいこういうヤツがいるんだろうな。
 

蕗の薹

2005年12月25日 11時07分23秒 | 教育 
豪雪に見舞われている地方もあるというのに、申し訳ないような気がしますが、蕗の薹が顔を出しています。
住まいのそばの蕗の群落には正月前から蕗の薹がでてきます。
ほろ苦くそれほどおいしいとも思いませんが、蕗の薹みそにしたり、天ぷらにしたりで一度は食べます。
春の香りです。




借金800兆円 誰が返すねん

2005年12月24日 10時11分24秒 | 教育 
財務省は22日、国債や借入金をはじめとする「国の借金」の九月末残高が七百九十九兆二百一億円と、六月末に比べ三兆一千八百六十四億円増加し、過去最高を更新したと発表した。

残高を総務省の推計人口(一億二千七百七十万人)で割ると乳児なども含め、国民一人当たり六百二十六万円の借金を抱えていることになる。

同残高は三ヶ月毎に公表しており、次回十二月末時点で八百兆円超える見通しが強まった。一九九〇年代に膨張した公共事業費や毎年五兆円規模に達する軍事費などが「国の借金」を増加させてきた。
財務省が二〇〇六年度予算編成で試算した同年度末の国債残高は五百四十二兆円です。今回の統計は、特殊法人などのために発行している財投債、短期的な資金繰りに用いる政府短期証券、借入金なども含めて計算している。
「借金」の内訳は、財投債を含む国債が六月末に比べて十兆円近く増え、六百五十兆一千二百八十五億円。一方、政府短期証券は九十一兆三百九十二億円、借入金は五十七兆八千五百二十五円でいずれも減少した。
同時に発表した特殊法人などへの政府保障債務残高は五十六兆八千四百二十九億円である。

だそうである。俺は知らんぞ そんな借金!!!!!

米国産牛肉輸入再開・人の命

2005年12月22日 14時05分59秒 | 教育 
 斉藤貴男というジャーナリストがいます。彼の『国家に隷従せず』(ちくま文庫・筑摩書房)のなかに
《鳥インフルエンザとBSE・ビジネスと軽々しく扱われる人命》という文章があります。少し長い引用ですが、読んでみて下さい。先日、米国産牛肉の輸入が再開されました。

 京都府丹波町で養鶏場を経営する浅田肇・千佐子夫妻が二〇〇四年三月八日に自殺した。「たいへんご迷惑をおかけしました」の遺書がのこされていた。鳥インフルエンザに感染した鶏を大量に発生させたことに端を発した騒動に耐えかねて、心中を選んだものと見られる。
 彼らはそれほどまでに追いつめられていた。
 保健所への届け出の遅れや、感染のおそれのある鶏の出荷を企てていたらしいなどと言った情報が次々に発覚し、全国のマスコミが殺到。こてんぱんに叩かれて、業界団体の副会長職を解任された。浅田夫妻の自殺後も、農水省は後継者で長男の浅田秀明氏を家畜伝染病予防法違反の疑いで京都府警に告発する方針であるという。
 一方、同じ食肉獣の伝染病でも、二〇〇三年末に米国で発見されたBSE(牛海綿状脳症)の扱われ方はまるで違った。まさに米国牛を使用していた「吉野家」や「松屋」といった牛丼チェーンの苦境に対する面白おかしい、同情的な報道が繰り返された挙げ句、ついには日本側の禁輸措置について、ゼーリック米通商代表部(USTR)代表にこんな発言をさせるに至らしめた。
「日本は牛肉不足で、大好物のビーフポット(牛丼)が食べられなくなって大騒ぎだ」(二〇〇四年三月九日、上院財政委員会)
 何しろ茨城あたりの吉野家では、牛丼が売り切れていたのに腹を立てた客が店内で暴れて逮捕される事件まであったほどである。彼ら消費者の思い入れが、日本政府に早期の禁輸解除を促すに違いないとの見方を、ゼーリックUSTR代表は示したのだった。
 さて、鳥インフルエンザとBSEの間の、この落差はいったいなんだろう。ちょっと、おかしすぎはしないか。
 ・・・中略・・・
 鳥インフルエンザは通常、直接接触しなければ、人には感染しない。感染した鶏肉をを食べても平気である。だからどうでもよいことだとも言わないが、本来、一般の消費者にとっては、それほどの危機でもなんでもないのだ。
にもかかわらず騒がれつづける理由は、大きく二つあると見てよいのではないか。
①イラクへの派兵を肇とする戦争への道行きから国民のめをそらさせる情報操作、②副作用が恐れられ接種者が激減したインフルエンザワクチンの市場を再びの活性化させたい医療品業界、医療関係者らの思惑を受けた、これまた情報操作、の二点である。
 一方のBSEはどうか。運悪く感染した牛肉なり肉骨粉を摂ってしまったら、かなり危ない。だからこそ二〇〇一年九月、汚染された牛肉が市場に出回っていると報じられた際にはパニックに近い状況に陥り、すべての牛を対象にした全頭検査と危険部位の除去が続けられてきた。
 ところが今回は、一般の関心が牛丼に集中した。あと何日で食べ収めなどとテレビのワイドショーや大衆紙はもちろん、ハイグレードが売り物の全国紙までがカウントダウンではしゃいでいた牛肉の在庫だって、BSEに汚染されていた可能性は決して小さくなかったはずなのに。
 何もかもその場の空気、ムード次第の日本社会、そのような文明論的に説明しようとする論調はすでに散見されるし、なるほど失業率の上昇が続いて閉塞感があふれ、戦争への道行きへの不安が募る一方の日本社会に生きる人々は、BSEのような重大問題までも冗談のネタにしてシャレのめしていなければやりきれない、ということなのかも知れない。
 だがそれだけでもないと思う。私は一連の騒動、あるいは鳥インフルエンザとBSEに関する報道、人々の反応に、より恐ろしい歴史的な変化を見ている。
 要は、人の命というものがとことん軽々しく扱われる現実。逆に企業、ビジネスの論理が最高の価値を認められる社会が、今、まさにやってきてしまっているということだ。

焚き火 焼き鳥 木久蔵

2005年12月21日 10時29分31秒 | 教育 
林家彦六という噺家がいました。飄々とした芸風ながら硬骨漢でありました。
その彦六について弟子の林家木久蔵がその著『昭和下町人情話』(生活人新書・NHK出版)の中でこんな話を書いています。

《ある時、師匠が長火鉢の前に座っていて、ポツンとこんなことを言い出しました。
「旨い焼き鳥っていうのは、なかなかないもんででねェ・・・」(中略)
「千葉の外房のほうじゃ、旨い焼き鳥を食わせるところがあってねェ・・・。そこじゃあ、庭に鶏を放し飼いにしてるから身がしまっていて、貝殻なんかもついばんでいて肉がしっかりしてるんだが、そいつを捕まえて、庭に穴を掘って、首だけ出しといて土の中に埋めちまうんだ・・・」
「・・・それで、その鶏の後ろでどんどんたき火をすると、鶏のヤツはうしろが暑いから、とにかく喉が渇いて仕様がない。・・・そこをみはからって、ミリンと醤油を半々に入れたドンブリを鶏の目の前におくとノドが渇いてるから鶏がそれを夢中になって飲んじまう。・・・この鶏を食うと、醤油とミリンがしみて、これが旨ェんだ。・・・でもこの話、あてにならないけどねェ・・・」》

どうです。どなたかやってみませんか。

     ※林家彦六 1982年88歳で没
  

12月にあえて

2005年12月20日 10時27分28秒 | 教育 
12月にあえて「八月の残酷」を、いまの情勢の中で思う。


壺井繁治 「八月の残酷」あるいは平和について

八月にだけ
残酷だったというのか、彼らは?
ヒロシマと
ナガサキの
上空でだけ
残酷だったというのか、彼らは?

彼らはつねに信心深く、
原爆投下の出撃前にすら、
うやうやしく祈りをあげたという。
   天なる神よ、
   われわれの聖なる任務が
   無事果たされますように、
   アーメンと。
そしてあの閃光一瞬!
地上にこの世の地獄が出現した。

一切の物を焼き尽くす夏!
思いもかけぬ、それは八月の残酷だった。
炎の都市の真ん中で、
姿を見せぬ残酷な執行者によって、
火刑に処せられた数十万のひとびと。
生き残った者は、
どんなに美しい肉体もボロ切れとなり、
そのボロをひきずりながら、
息絶えだえに蠢き続けた。
ただ水を求めて。
その八月にだけ
残酷だったというのか、信心深い彼らは?

八月十五日に
やっと平和が来た、僕らの国にも。
戦争が終わったのだから
たしかに平和はきたのだ。
その日から
僕らの国には戦争が起こっていないのだから、
たしかにつづいているのだ。
平和は十八年間も!
平和!
誰もが口にする一つの言葉。
そうだ原爆を投下した国の軍事基地を、
今なお許しつづけている者どもの、
牙を隠した大きな鰐の口からさえ、
白い鳩の翼にも似せて
滑らかに飛びだす言葉  平和!

僕らの国に軍事基地を許すのも、
僕らの国の港々に
核武装の原子力潜水艦を寄港させるのも、
ぼくらの国の空に
F105D水爆戦闘爆撃機を飛ばさせるのも、
これ、すべて「平和」のため!

青い空が
青い空であるように、
一つの意味しかもたぬ
僕らの国の平和が、かきみだされている、
おお、なんと「平和」の名において!

焼け焦げる八月だけが
残酷だったというのか、僕らの国で。
馬鹿な!
春も、夏も、秋も、冬も、
四季を通じて
いつも危険で、残酷なのだ、
アメリカの将軍どもが、
僕らの立ち入りを禁止する基地の中で、
戦略地図をまんなかに、ずるい額を寄せ集め、
たえず会議にふけっているかぎり!

ぼくらのやさしさ、
僕らの平和は眠れない、
やさしい母親の腕に抱かれて眠る
赤ん坊のようには!
昼となく、夜となく
僕らの国の空を、
原爆を投下した国の軍用機が
わがもの顔に飛んでいる限り!

ぼくらのやさしさと
僕らの平和の守り手は、
不寝番として立つ、
僕らの国の
夜の暗さの真ん中に。
暗さを透して射してくる
光の帯を見とどけるまで。

   ※「二十四の瞳」を書いた壺井栄は、繁治の妻
  

イラクの破壊がはじまって2年9ヶ月

2005年12月19日 08時08分56秒 | 教育 
2003年3月よりアメリカ政府のイラクへの爆撃がはじまって2年9ヶ月。イラクの国土は壊滅的打撃を受けた。
米軍の占領下でイラク情勢が泥沼化するなかで、イラクに派兵した「有志連合」38カ各国中、11カ国がすでに完全撤退。この後、ブルガリアが撤退を年内に完了する。ウクライナも年内撤退。イタリアは、9月に300人撤退、来年1月に300人撤退、現在の2900人から、2300人に、現在3260人駐留している韓国は、約千人を来年前半から削減だという。
一方で、
日本政府は13日の閣議で、自衛隊のイラク派遣1年延長に伴い、来年3月までに使う現地滞在経費として、05年度予算の予備費86億円を支出することを決めた。
しかし、自衛隊は戦闘行為に参加することはないのだろう。日本国憲法が壁になっているからだ。現行日本国憲法が邪魔になっているのはアメリカである。
アメリカの属国としてアメリカの要求で憲法を改悪することは、永遠に属国として生きることを意味する。
「押しつけられた憲法」と改憲論者は言うが、「押しつけられた改憲論」ではないか。



雪 富有柿

2005年12月18日 10時15分46秒 | 教育 
雪が赤を際立たせます。
おいしい柿ですが、早く食べないと熟柿になってしまいます。
今年はまだ、ヒヨドリ、ツグミなどが少ないようです。
彼らがきはじめるとつつかれます。

  柿の朱に亡びざるもの何々ぞ   加藤楸邨

この句の意味は良く分からないのですが。