伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

道州制反対の緊急集会に参加しました。

2013年02月01日 | 活動日誌
 スパリゾートハワイアンズで、「全国小さくても輝く自治体フォーラムの会」が開いた緊急集会に参加しました。昨年の政権交代で道州制導入の動きが強まっているために開いたそうで、初日の30日はいわき市内の仮設住宅や警戒区域で居住制限区域に指定されている富岡町の現地視察を行い、31日は道州制の学習会、富岡町長、浪江町長の被災状況の説明などが行われました。

 31日の学習会は、立命館大学の平岡和久教授が「道州制と町村の存立問題」と題して講演しました。いわき市は決して小さい自治隊とはいえませんが、話を聞いてみれば道州制の小さい自治体と共通の問題が投げかけられることが分かります。

 平岡教授は、民主党政権下では地域の自主的判断を尊重しながら道州制の検討も射程にいれてすすめるとしていた、すなわち「地方からの道州制推進」だったものが、自民党の選挙公約でも、自公の連立合意でも、また、みんなの党、日本維新の会の公約でも道州制の導入を掲げている現状をみれば、自公連立政権下で「上から」の道州制推進が再び動き始めると説明しました。

 道州制推進の発信源は、2008年11月の経団連の「民主道の経済社会」の実現を求めた提言、2011年4月30日の復興構想会議で経済同友会が「東北復興院(仮称)の創設にいて道州制を視野に入れた制度設計」求めたことを紹介。東北における復興のための規制緩和が、大手企業の拠点として位置づけられるエリア作りとなりかねないことを指摘しました。

 そして自民党の道州制のイメージは、国が財源を移譲すれば、後は地方を支援しないというもので、地方交付税の廃止が大前提のものになっているとして、企業の競争を受け入れるための合併で地方自治を破壊しても良いのか、また広域化が住民の共同を壊すことになるなどと問題提起がされました。

 一方、安倍政権が打ち出した公共事業拡大の補正予算について、期待できるものがあるものの、一過性に過ぎず、それぞれの自治体は冷静に、また長期的な視野を持って受け止める必要があると話したことは印象的でした。

 また、富岡町長と浪江町長は、今回の原発事故を「人災」と認めない国と東電の原発政策を全面的に批判していることが印象的でした。

 富岡町長は、自治体の会議で、「国の政策にそうだけでなく、原発の事故から自分で生命財産を守るための住民コンセンサスをとり、安全に万全を期すことが大切だ」という趣旨の説明をしていることを発言しました。さらに町への帰還に向けた作業がすすむものの、ほぼ半分の住民は帰らないとしている中での自治体運営は難しいとして、「やむを得ず広域行政とならざるを得ない」とも話しました。

 浪江町長は、汚染の状況から「汚染は同心円に広がらない。浪江町は請戸川、高瀬川沿いに山間部に向かって汚染が広がり、同河川の上流では年間被曝量が100mSv を超えていることを説明。現在の町の課題として、住宅などの再取得ができるまでの財物賠償の拡充や精神的損害賠償拡大、徹底した除染と長期的な町民の健康管理などをあげました。また「原発事故が風化させられてきています。原発事故は終わっていないと声を高くしていただきたい」と訴えていたことに共感を覚えました。

 さて道州制となって地方交付税廃止が前提となれば、市町村に対する財源的な措置がどのようになるのか、気がかりなところです。また、国と市町村の間にある県について、批判的な見解があることは事実です。しかし、現在の県によりも広い地域をエリアとする道になれば、地域に目の行き届いた施策の展開は、県以上に困難になるでしょう。

 問題のある道州制の動向に気を配っていかなければならないですね。


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