
遠野和紙の継承
伊 藤
7番、いわき市議会拓く会の伊藤浩之です。
私は、この約4年間、地域のみな様の遠野和紙を継承する活動に参加しながら、技術を教えていただくと同時に、地元にも紙漉きができる人材が必要という考えで、いまだにへたくそではありますが、紙漉きの練習もしながら、いまに至っております。
そこで、この間の経験も踏まえながら質問したいと思います。
まず、1点目の、遠野和紙の継承についてです。
最初に、遠野和紙についてですが、歴史は400年とも、500年ともいわれています。古くは棚倉藩の庇護のもと、岩城延紙などとして江戸や上方まで流通し、商家の記録用紙や生活用品などとして使用されていたようであります。
この遠野和紙が本市に果たしてきた役割とはどのようなものであったと認識しているのかお伺いします。
市民協働部長
遠野和紙は、古くからいわき地方の人や暮らし、文化と密接に関わりながら、 地域のなりわいとして栄えてきました。
現在、生産はかなり縮小されたものの、現代まで受け継がれてきた市を代表する伝統工芸であり、 地域住民の郷土愛を醸成する役割も担ってきたものと認識しております。
伊 藤
おっしゃる通りだと思います。
もともと農閑期の副業として農家の収入を支えた遠野和紙は、地域を支える重要な産業だったと思います。紙漉き農家は明治時代でも400戸あったとされております。
ただ、明治時代以降日本でも生産が始まった洋紙、西洋の紙ですが、洋紙との競合や、常磐炭鉱に労働力が移動するなどで、紙漉き農家は減少を続け、1956(昭和31)年には40戸となり、2010(平成22)年に、最後まで紙を漉いていた瀬谷安雄さんが廃業してしまいました。
また、1986(昭和61)年に「いわき和紙制作技術」が市指定文化財に指定されていましたが、2014(平成26)年に指定が解除され、現在に至っております。
現在、ボランティアと地域おこし協力隊が協働しながら、遠野和紙の製造や技術の継承に努めていますが、生産・販売とも、答弁にありましたように、産業というにはあまりにも規模が小さく、産業の側面のみでとらえることは難しい状況になっているものと思います。
そこで、今後、本市の魅力を発信する上で遠野和紙が持つ可能性にどのようなことが期待できると考えているのかお伺いします。
観光コンテンツなどへの期待
市民協働部長
遠野和紙は、丈夫で味わい深い商品としての魅力のほか、作製までの一連の工程作業体験を通し、地域や人、文化とふれあえるといった魅力があります。
特に、紙漉き作業体験については、観光コンテンツとしてニーズが高まっている体験型旅行としての集客効果、地域の子どもたちへの技術継承を通した地域への愛着や誇りの醸成、ブランドカ向上による遠野和紙の販売促進効果などが期待できます。
伊 藤
おっしゃる通り、非常に魅力あるコンテンツだっていうことができると思います。この間のボランティアの取り組みは、以下2つにまとめることができると考えております。
答弁にもありましたが、
1つは、材料と紙づくりの技術継承です。
楮などの栽培をして刈り取り、皮をはいだ後に白皮とする。その白皮を繊維に加工して紙を漉き、湿ったままの紙を乾燥する。この一連の工程を身につけ、技能の向上をはかってきたのが一つです。
2つめに体験の提供です。
大学生等を迎え材料づくりと紙漉きをセットにした紙づくり体験、小中学校やイベントに出かけての紙漉き体験、卒業証書用紙や書道に使うための用紙を自ら漉く高校生の活動も援助してきました。
私は、これらの取り組みに、今後の可能性を展望することができると考えています。
そこで本市としては、遠野和紙の可能性を活かすためにどのような課題があると認識しているのかお伺いします。
市民協働部長
遠野和紙作製までの一連の工程作業や技術継承、 紙漉き体験プログラム等の企画運営および観光コンテンツ化、商品開発や販路開拓のためのコーディネートには、一定数の従事者を確保する必要があります。
このことから、遠野和紙の可能性を活かすためには、遠野和紙に関わる人材を増やすことや、漉き手の確保・育成が必要であると考えております。
伊 藤
そこが悩みなんですよね。
遠野和紙の活動の中で、材料を育て、加工し、和紙をしっかり作るなどの技術をさらに高める研鑽を積むことが前提となりますが、その柔らかく温かい風合いの和紙の可能性は様々あると思います。
和紙そのものを記録用あるいは美術作品等の画材、そして日常生活用品として使う、
和紙をみやげ物や日常生活を彩る製品等何らかの製品の素材として活用する、
和紙製造の技術を活かした紙漉き体験などの提供、
紙漉きや紙づくりを学校教育や生涯学習に活用することなどが、これからの活動の方向として考えることができるのだと思います。
そこでお伺いします。
市長は、2022(令和4)年度の遠野地区における地域ふれあいトークで、地域の人口減少・高齢化が進む中における伝統文化の継承や公共交通のあり方、住民支え合い活動の取り組みなどについて懇談しておりました。
このふれあいトークでの伝統文化継承に関する懇談内容を、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
市 長
私も地域ふれあいトークにおきまして、遠野和紙の紙漉き体験をさせていただきまして、本当に素晴らしい伝統芸能だと思っております。
地域ふれあいトークにおける伝統工芸遠野和紙・楮保存会との懇談、そして楮畑などの視察を通しまして、人口減少と高齢化によって、遠野和紙をはじめ、地域における様々なことの継承・継続が難しくなっているということを改めて認識したところです。
こうした中、遠野地区におきましては、保存会を中心に、大学やボランティアとの連携を図りながら、遠野和紙の継承に取り組んでいるということを伺いました。市といたしましても、地域おこし協力隊や中山間地域集落支援員の配置に加えまして、さらに多くの方々が遠野和紙に関わることができるよう、ボランティア人材、副業人材の活用などを検討したいと感じたところです。
伊 藤
実際にボランティアに参加しているみなさん、様々苦労しながらですね、活動しているというのが実態であります。
さて、その遠野和紙を継承する住民の活動についてですが、遠野地区では、遠野町地域づくり振興協議会を中心にしながら、1昨年には長い人で20年以上和紙のボランティア活動を続けてきた方々を母体にしながら伝統工芸遠野和紙・楮保存会を組織し、現在はこの団体で遠野和紙継承の活動が続けられてあります。
地域住民の遠野和紙継承の活動をどのように評価されているのかお伺いします。
和紙の継承だけでなく子どもたちの地域の誇り醸成に寄与
市民協働部長
遠野地区では、地域の有志から構成される伝統工芸遠野和紙・楮保存会が主体となって、和紙の製作のほか、製造道具の保存、原料となる楮、トロロアオイの栽培、小学校等での紙漉き体験や講話などの活動をされています。
これらの活動は、遠野和紙の継承のみならず、次代を担う子どもたちの地域への愛着や誇りの醸成に寄与するものと認識しております。
伊 藤
この遠野和紙継承を図っていく上では、一つは材料づくりや紙漉きの担い手の確保と育成、二つは和紙素材の活用の拡大、三つは活動拠点の整備、以上のようなことが引き続く課題となっていると私とらえていますが、
地域に根差してきた産業文化を未来に継承していくことも含め、今後の遠野和紙継承に本市はどのように取り組んでいくお考えかお伺いします。
担い手確保と育成など和紙継承に取り組む
市民協働部長
市はこれまで、遠野和紙の製作技術の継承を図るため、延べ12名の地域おこし協力隊を導入したほか、集落支援員を活用し、地域おこし協力隊と互いに連携した畑の管理や原料の下準備、中山間地域ボランティア制度の活用による畑の草刈りなどを実施してきました。
また、卒業証書等の利用をはじめ、地域住民、伝統工芸遠野和紙・楮保存会、地域おこし協力隊と連携した、遠野和紙あかり展や紙すき体験、さらには、市内ビジネスホテルにおけるルームランプへの活用などの機会を通じて、遠野和紙の魅力発信を図ってきました。
加えて、保存会と地域おごし協力隊が取り組んでいる商品開発や販路開拓に向けての支援を行ってきました。
今後におきましても、担い手の確保と育成に向けた支援や、商品開発、販路開拓に向けての支援など、遠野和紙の継承に取り組んでまいります。
伊 藤
様々市の方としても取り組みをされているということでありますが、やはり保存会そのものが全体としては高齢化しているっていう状況の中で、どう活動を継承していくのかっていうのは、非常にみなさん悩んでいるっていうことがあります。
同時に、その活動をコーディネートしていく役割を誰が担うのかっていうのも、ボランティアっていう性格上なかなか難しいところもあって、具体的にはそういうところに対する支援っていうのも、非常に大切になっているのかなっていうふうに思います。
また、学校給食費の第3子以降無料化が導入されましたが、それ以降、それまでの小中学校の卒業証書への和紙の活用が狭まっていたりしております。
市政功労者表彰の用紙への活用など様々な場面で遠野和紙を活用していただくことは歓迎されるところですが、こうした活用が前提となれば、意欲を持って紙漉きに取り組む動機にもなりますので、市にはもっと公的に和紙を活用する場面を増やしていただきたいなというふうに思います。
先ほどのべましたように、人材をどう確保してのかっていうのは非常に大きな課題ですので、ぜひそこのところでは今まで以上に市としても様々な取り組みをしていただきたいと思いますし、例えば、いま遠野和紙製造の活動拠点となっています「学舎」と呼んでいる施設ですが、体験者を迎える活動もしているわけすけど、工房にはトイレさえもなくて、1日の活動の中でトイレにいくのにも大変な思いをしているというのが、実際の問題としてあります。
遠野には、和紙のみならず、野鍛冶、木桶作り、竹かごなど伝統的な工芸品があります。残念ながら、このうち野鍛冶は途絶え、木桶作りもやめてしまったと聞いております。
本市が長く育くんできた伝統工芸を今にいかしながら後世につなげていくことは、本市の文化を豊かにし、本市の魅力を高めることにつながると思いますので、これまで以上に遠野和紙継承へのご支援の拡大・充実をお願いして、次の質問に移りたいと思います。
若者から選ばれるいわきづくり
2点目は「若者から選ばれるいわきづくり」などについて、うかがってまいります。
内田市長は先の市長選時の公約で、いわき再起動のための「人材のちから」を引き出す政策に「給食費値下げ」とともに「妊娠、出産からの切れ目のない支援」を打ち出していました。また、「若者から選ばれるいわきづくり」も掲げております。
一方、4年間の総仕上げともいえる新年度予算案では、学校給食の無償化の範囲を拡大し、新たに「中学校の無償化」を盛り込んでおります。
一方、父子、母子家庭等関連の3条例を統合し、児童1人当たり10万円を支給する「ひとり親家庭等応援金支給条例」の制定を求め、
また、認定された妊婦に5万円、加えて胎児の数を届けた後に胎児1人当たり5万円を給付する妊婦支援給付金を国が新設することにともない、本市独自の「出産支援金」を廃止することを提案しております。
この提案には、若者にいわきを選んでもらうという観点から見たときに、違和感を覚える部分がありますので、以下質問してまいります。
まず、父子母子家庭等への支援策についてです。
これまでの父子、母子家庭等の支援策は、
1つは、要保護世帯対象に、高等学校等の在学期間中に児童一人当たり月額5,000円を支給する「父子、母子等奨学資金」、
2つ目に、被保護世帯、市民税非課税、均等割世帯を対象として、児童の出生から義務教育終了前まで、児童2人までは年額1万円、1人増すごとに1,500円を加算した額を支給する「父子、母子福祉手当」、
3つ目に、ひとり親家庭等全般に、小学校入学時に児童1人につき7,000円、中学校入学時に児童1人9,000円を給付する父子、母子家庭等の祝金があります。
この項1点目の質問は、この3制度での1人あたりの支給総額をただしておりましたが、先の質問で家庭等の状況により支給額がことなるものの、仮にすべて受給した場合には、福祉手当が16万円、入学児童祝金が1万6,000円、奨学資金が18万円で、支給総額が35万6,000円になるという答弁がありましたので、このことを前提にしながら次の2点目、これまでの父子、母子家庭等の支援策について、利用者の受け止めはどのようなものだったのかについておうかがいします。
こどもみらい部長
昨年12月に市内に居住する母子、寡婦等で構成される「いわき市母子寡婦福祉会」の役員12名のみな様と、現行の3手当の統合と、新たに創設する「ひとり親家庭等応援金」の概要についての意見交換を実施いたしました。
この中で、3手当の統合と、「ひとり親家庭等応援金」の創設につきましては、おおむね賛成するとのご意見をいただきました。
伊 藤
それでは、新たに制定するひとり親家庭等応援金は、中学卒業時に10万円を支給する提案としていますが、このように変更する理由はどのようなものなのかお伺いします。
こどもみらい部長
現行の3手当は、事業開始から 半世紀以上が経過しておりますが、支給対象者や支給時期も手当ごとに異なり、ばらつきがあることなど、市民生活の実態に見合わなくなってきており、給付の効果が薄れております。
また、3手当は申請主義であることから、保護者の負担にもなっていること、さらには、支給要件や添付書類がそれぞれ異なっているため、煩雑な事務処理に時間をとられ、給付まで一定の時間を要しておりました。
このため、国のひとり親家庭を含む子育て世帯への支援の拡充の機をとらえ、制度全般の見直しを行い、ひとり親家庭等に対し、一番必要な時期に、必要な額を支給できるよう、当該3手当を統合し、新たに申請不要のプッシュ型とした応援金を創設するものです。
伊 藤
手続き等煩雑なところがあるにしても、全体でみれば継続的な父子母子家庭の支援になっていた部分もあるっていうところを考えると、なかなか判断が難しいところってあると思うんですね。
この3条例と新しい応援金については、背景に国の児童手当の拡充などもありまして、政策の選択と集中という観点から見ればなるほどなあというふうに思えるところもあるんですが、先に申しましたところから見ると、これは難しいというのが、率直な今の思いです。
同時に、出産支援金についてですが、本市独自の制度であるこの制度は、前市長が出産祝金の実現を公約したことから提案されたものでした。ところが、出産費用と出産一時金との差額で支給額を設定したその経緯から、その支給金の性格をとらえ、名称が「支援金」に修正され、条文には原案通り「祝意」を記載して制定された経過がありました。
目的は出産した家族への経済的支援による少子化対策です。子育て支援の本市の魅力を高める一つだったと思います。
そこでまず、出産支援金の支援金別の支給実績はどのようになっていたのかおうかがいします。
こどもみらい部長
出産支援金の支給実績につきましては、
平成26(2014)年度は、第1子が、1,094件、第2子が、831件、 第3子が、432件の合計2,357件、
平成30(2018)年度は、第1子が、865件、第2子が、730件、第3子が、411件の合計2,006件、
令和5(2023)年度は、第1子が、684件、第2子が、559件、第3子が、307件の合計1,550件です。
伊 藤
先だっての質問の中でも出生数についての質問がありまして、今の実際の出産支援金の給付実績、これから見ても、必ずしも支援金が創設されたからといって、ただちに子どもをもうけてもらうところにつながっているわけではないというのが見えてくるわけですけれども、この出産支援金の予算額はどのように推移してきたのかお伺いします。
こどもみらい部長
出産支援金の予算額につきましては、
平成26(2014)年度が、1億4,327万5,000円、
平成30(2018)年度が、1億4,375万6,000円、
令和5(2023)年度が、1億349万円となっております。
伊 藤
生まれる子どもの数が少なくなるに従って予算額も縮小する傾向にあったということが、今の答弁でうかがえます。
出産支援金についてなんですが、利用者からどのような声が寄せられていたのかお伺いします。
こどもみらい部長
市こども計画の策定にあたり、課題を把握し、新たな事業構築などの対応策を検討するため、令和6年4月に子育て中の3,051世帯を対象に「子どもの生活実態調査」をいたしました。
この調査におきまして、市へ寄せられた要望等について申し上げますと、出産期における支援策の充実よりも出産後の子育て期における各種支援策の充実について求める声が、意見の延べ件数489件のうち約65%お318件と多数寄せられております。
なお出産期における意見は2件となっております。
独自の出産支援金を維持し選ばれるいわきを
伊 藤
子育て全般に対する支援の意見が多かったというふうなお話ですね。
給付実績からは、出産支援金が出生時の増加に直接につながっていないということは、先ほども述べたように見えてきます。
それでも、少子化対策のいわき市独自の魅力という観点を考えたときに、これまでプラスのポイントを持っていたのではないかということは類推できるわけです。
国の制度は、全国の自治体に及びます。本市独自の支援金を廃止すれば、この分野で本市が全国と横一線に並ぶ、こういうことになってくるわけです。
「若者から選ばれるいわき」という観点から見た時に、支援金の内容に一定の検討を加えるとしても、これまでプラスのポイントとなっていたと類推ができますこの支援金制度を維持して、他の自治体との差別化をするほうが好ましいと考えます。
市長に伺いますが、これを存続するよう再検討する考えはないですか。
出産支援金存続の考えはなし
市 長
存続する考えはございません。
従来のものが良くて、今回の制度が充実っていう部分で低下しているっていうおただしですけれども、むしろ逆でございまして、従来5万円、6万5,000円、8万円第3子っていう部分が10万円っていうことで充実するわけなんで、受給者にとってはありがたい話だと思ってございまして、そういう意味で受け取る側からすると手厚くなるということなので、今までいわき市独自のものということでございましたけれども、
新しい出産子育て応援金、妊婦支援給付金というのが正式名称ですけれども、それは国一律だということなんですけれども、かなり一般財源から持ち出しがありまして、市からも財源が入ってございますので、そこと今回もろもろ子どもみらい部長から申し上げました新しい制度を組み合わせますと、乳幼児から高校まで全部並べますと、すべてのライフステージで、そしてトータルでもかなりの増額になってきますので、そこは今まで以上に充実するものと認識しております。
伊 藤
いままでなかったものを新たに導入しているっていうところでみれば充実した側面があると思うんですが、いま、ここを言っているのは市長が選挙の時に言われていた若者に選ばれるいわき市の魅力っていう観点から見たときに、これっていうのは上乗せのものとして一つ魅力を増すものになるんじゃないですか、そういう観点から見たら残しておくのも一つの考え方になるんじゃないでしょうか。そういう観点からでした。
市長としては再検討する考えはないということでしたけれども、それならばですね、若者から選ばれるために、教育、子育て、産業など多角的な側面から取り組んでいくっていうことが当然必要になりますけれども、当初予算で提案されている学校給食の中学校無償化も、若者から選ばれるいわき市という観点から考えた場合には、本市が選択される一つのプラス要素になるものというふうに考えております。
そこで、今回の措置は選挙の公約である「給食費を安くする」から見た場合、公約の完全実施とみるのか、それとも道半ばとみるのかお伺いします。
市 長
学校給食費の負担軽減につきましては、子ども・子育て支援の充実•強化を図る観点からも重要な取組みであると認識しております。
このような中、先の国会で石破総理大臣が「まず小学校の給食無償化を念頭に、令和8年度以降、できる限り早期の制度化を目指す」旨を表明しました。
市といたしましては、今後、国施策とも相まって、 小中学校共に無償化が図られるよう尽力していきたいと考えております。
従いまして、今回予算案として提出させていただきました中学校での無償化に関しましては、まだまだ道半ばであるというふうに評価しております。
伊 藤
その国会では、自民党、公明党、維新の会が、新年度予算の修正にかかわっていくつかの合意をしたことが先ごろ報道されております。
その中には、学校給食費は2026年度、令和8年度から小学校で無償化する。4月からですね。そしてその後、できるだけ早く中学校にも拡大する。こういう内容が含まれているようであります。
今議会のこれまでの質問で、市長はじめ執行部のみなさん、いま答弁の中にもありましたように、今後国施策とも相まって小中学校ともに無償化が図られるよう尽力していく。そういう答弁でした。
国会での合意内容がこれからどう推移するか予測が難しい側面はありますけれども、本市が少しでも早く小学校の無償化を実現することになれば、物価高に直面する本市の若い世代の市民のみなさんの暮らしを支えることにもなりますし、何より今市長もおっしゃいました国に早期実現を迫るメッセージにもなるもの、このように思います。
そこでですね、市長にお伺いしますが、公約は道半ばであるとの認識をお持ちのようですので、国に先駆けて小学校の給食費無償化に取り組んで、給食に関する公約の完全実施に、年度途中でもですね、取り組む考えはないかお伺いします。
学校給食小学校無償化で国の実施へアピールを
市 長
伊藤浩之議員の再質問にお答えします。
できることであればですね、私も気持ちとしてはやりたい思いは同一でありますが、前回議会でも同趣旨の給食に関しては伊藤議員からもご質問をいただいたところですけれども、その時も申し上げましたとおり、やはり小学校まで無償化ですでにできているようなところは、長年にわたりまして行政改革だいぶ進んでおりまして、平成の一桁ぐらいからですね、たいぶ個別施設計画とか公共施設の見直しとかが進んできて財源が捻出できている自治体だと思っております。
残念ながらいわき市はそのあたり非常に遅れてきているというふうに私思っておりますので、まずは中学校のところは財源捻出できたところでございますけれども、小学校に関しましても、なかなかそこまでの財源をいっぺんにですね、次年度から始めるっていうのは非常に厳しい状況であることをご理解たまわればというふうに思いますけれども、私も思いは伊藤議員といっしょでございますので、これからもよろしくお願いいたします。
伊 藤
ぜひよろしくお願いしたいと思うんですが、そならばですね、国に働きかけるという答弁、これまであったんですけれども、具体的にこれから国に働きかけていきますか。
市 長
全国市長会とかですね、中核市市長会におきまして、私も他の首長といっしょに国の担当部局と膝をつき合わせて議論するような場面ございますので、本市の厳しい財政状況も訴えながらですね、ただ小学校の給食の無償化というような声もあるというようなこと、生の声もお伝えしていきたいと思っています。
あと私も文部科学省出身ですので、もともとの出身省庁に行くことは度々ありますし、担当部局の幹部と会うようなこともございますので、そういった場面におきまして、伊藤議員の生の声をはじめですねいわき市の実態をお伝えさせていただければと思っております。
伊 藤
私の生の声を伝えるというよりも、市民のみなさんの生活の実態であるとか、子どもたちの実態であるだとか、そういうことをしっかり訴えていただいてですね、国は早期に小学校の給食費の無償化を実現していただく、こういうことを訴えていただきたいなうふうに思います。
で次の質問ですが、「若者から選ばれるいわき市」づくりという選挙時のスローガンは、提案された予算と施策の中でどのように展開されているのかおうかがします。
市 長
本市における人口減少に歯止めをかけるためには、 将来に向けた地域活力の源泉となる若者や女性等の流出を防ぐことが畫要です。
このため、魅力的な働く場を創出し、若者や女性等をとどめる、呼び戻す、呼び込む必要があります。
今回、「若者・女性等への雇用・産業強化パッケージ」 として、約11億円の予算を計上し、重点的に取組みを推進していきます。
具体的には、1つに、市内で未活用となっております土地・建物の現状調査や立地企業の雇用確保の現状調査を実施いたしまして、企業立地環境のさらなる充実に向けた方策について検討を進めます。
2つといたしまして、デジタル技術の活用や脱炭素に挑戦できる将来人材、次世代を担う経営者の育成など、産業界が主体となった多様な人づくりの支援を進めていきます。
3つ目といたしまして、首都圏等からの移住を促進するため、 移住対策担当員を配置し、IWAKIふるさと誘致センターの体制を強化します。
4つ目といたしまして、若者や女性が活躍する国際的なまちづくりも見据え、本年度新たに設置した「CIFALジャパン国際研修センター」と連携し、国連基準の質の高い教育プログラムを実施します。
こうした取組みを進めながら、新たな若者や女性を呼び込み、好循環を生み出すまちづくりを実現していきます。
再生可能エネルギー発電施設の規制条例案
伊 藤
その施策の展開がですね、新年度うまく進むことを願っています。
次に3点目です。再生可能エネルギー発電施設の規制条例についてうかがいます。
私は、2018(平成30)年の定例会に再生可能エネルギーに関して、何らかの規制を加える条例の制定を求め質問をしておりましたが、当時は「必要性について研究する」程度の答弁でした。ですから、このたび市が条例案をまとめたことに隔世の感を覚えています。
条例案は、昨年末にパブリックコメントを実施し、その内容については取りまとめ中と伺っております。
そこでまず、本市が市民に示した再生可能エネルギーに関して規制する条例であります仮称いわき市再生可能エネルギー発電施設の適正な導入及び管理に関する条例案の概要について、うかがいます。
生活環境部長
本条例案の目的としては、脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの利用を推進するにあたって、市内の再エネ発電施設の適正な設置や管理を促すこととしています。
対象とする事業は、発電出力10キロワット以上、これは家庭より若干大きい位ですけども、発電施設としています。
事業開始前にあたっては、事業計画の概要の提出や、住民説明会の開催義務化などを規定しております。
また、建設着工後、事業者においては、再エネ発電施設の安全かつ適切な維持管理に努める規定を盛り込んでいます。
さらに、市による行政指導としての立入検査をはじめ、施設の運営に関する「指導・勧告」や勧告に従わない場合の「国等への通報」、勧告に従わない場合の「事業者名等の公表」などの規定も位置付けています。
伊 藤
本条例のとりまとめに先立って、市議会が提言を提出しておりました。この提言は条例にどのように反映しているでしょうか。
生活環境部長
条例の制定に関する昨年4月の市議会からの提言では、政策提案の項目として5点示されております。
1点目の「持続可能な維持管理」に対しては、条例案において、事業計画書の提出を義務化するとともに、修繕や撤去の計画を確認する規定を設けています。
2点目の「住民説明の徹底」、3点目の「地域共生型再生可能エネルギーの導入」に対しては、住民説明会の開催を義務化し、説明会の開催状況について、市に報告する規定を設けています。
4点目の「環境の保護」に対しては、関係法令の適合に係る書面の提出を求め、事業の適法性を確認するとともに、不適切な事案に対しては、行政指導により是正を求める規定としております。
5点目の「規制対象の拡大」に対しましては、先ほど申しました10キロワット以上の再エネ発電設備を対象とすることとしております。
このようなことから、議会の提言については、おおむね反映できたものと認識しております。
伊 藤
時間の関係がありますので、次のかっこ2として通告しておりました質問は、申し訳ないですが割愛させていただき、住民の不安解消がどう図られるかについて質問をすすめさせていただきたいと思います。
新しい計画が地域に持ち込まれるとき、住民が不安に思っても整備が進んでしまう点に住民はなんとかしてほしいという思いを募らせてまいりました。
条例案では住民が反対の声を上げるなど、問題がある計画について、どのような形で認めない仕組みになっているのかお伺いします。
生活環境部長
再エネ発電事業の実施にあたっては、電気事業法や再エネ特措法などの関係法令の許認可を適切に取得することが前提となります。
すでに許認可を適切に取得した事業計画に対し、後発の条例において、法の範囲を超えた上乗せ規制を行うことは、条例の適法性に疑義が生じる可能性があります。
また、再エネ発電事業の実施に向けて、用地取得や測量などに着手している案件に対し、事業活動の制限を課す場合には、相当の補償を求められるおそれがあります。
市といたしましては、条例による規制を設ける際には、これらを踏まえた検討が必要になるものと考えております。
市民の安心・安全確保にどう取り組む
伊 藤
つまり、この住民が不安に思っても整備が進んでしまう点に何とかしてほしいというところには、直接的に応えることは難しいというふうに答弁を伺いました。
それならばですね、市民の安心・安全を確保するために市としてどのように取り組んでいくのか、この点についてお伺いします。
生活環境部長
再質問にお答えします。
本市の条例案では、市民の安心安全の確保に関連して4つの規定を設けております。
1つとして、情報の把握です。
事業開始前の事業計画書の提出や、住民説明会の開催の義務化、事業計画の透明性を確保することとしております。
2つとして、適切な維持管理です。
事業者に対しては、施設の安全かつ適切な維持管理に関する責務を規定するほか、災害などによる損壊が発生した場合の報告義務を課すこととしております。
3つとして、行政指導です。
不適切な事案に対しては、報告の聴取や施設の立ち入り検査、是正勧告といった行政指導を行います。
4つとして、国等への通報です。
行政指導に従わない場合には、国・県等に通報するほか事業者名の公表など、毅然とした対応を行います。
これら取り組みを通じて、再エネ発電施設の適切な導入及び維持管理と市民の安心・安全の確保に努めてまいります。
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