子供の頃、同じ町内に小さな洋裁店があった。
洋裁店とは言っても、作業台とミシンが何台か置かれてるだけで、
服地の陳列はなかったから、仕立てだけのお店だったんだと思う。
縫い子さんがいつも忙しそうにミシンを踏んでいて、板張りの床には色とりどりの布の切れっ端が散らばっていた。
店の前を通る度に、あの切れっ端が欲しいな~!と思ったものだ。
その頃は、縫い物をする祖母の傍らで、ハギレを貰っては人形など作るのが好きだった。
けれども祖母のくれるハギレは古くて地味だったから、洋裁店のカラフルな切れっ端は夢のように見えたのだ。
あれから60年程も経った今、私の部屋にはきれいな生地が山のようにある。
昨年、生地や糸を沢山下さる方がいて、もう一生買わなくていいくらいなのだ。
あの頃の自分に持っていってあげたいと思う。
今日はそんなことを考えながら、直線縫いだけの超簡単キャミソールを作ってみた。