定時制高校の演劇部で、文化祭に青森民話の《しがまの嫁っこ》を上演したことがある。
『貧しい若者が、朝日にキラキラ輝くしがま(つらら)を眺めながら、あんな白くて細いめんこい嫁っこが欲しいなー、
と呟いていると、その晩トントンと戸を叩く音がして、めんこい娘っこが「オラを嫁っこにしてけれ」と入ってくる。
この嫁っこ、近所でも評判になるほどめんこくて働き者で、若者の暮らしぶりも良くなるのだが、どういう訳かお風呂に入らない。
若者は思う。あんなにめんこいんだから、お風呂に入ったらもっとめんこくなるはずだ、と。
ある日、風呂を沸かし、嫌がる嫁っこを無理に風呂場に入れる。と、それっきり音がしなくなる。
若者が覗いてみると、嫁っこの着物と赤い櫛が湯舟に浮かんでいるだけだった・・・。』 と、いうお話。
で、この白くて細くてめんこい嫁っこを演じたのが、誰あろう、ワタクシメでございますんですねえ。
当時は細くて色白でしたから、つららの化身にはピッタリだったんでございますよ。
今なら、やまんばの役がピッタリでしょうねえ。
今日は溶けていくつららを眺めながらそんなことを思い出しておりました。