雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

聖夜

2011年12月25日 | ポエム


 聖夜


 クリスマスと聞いただけで、心の中が暖かくなってくるのは、幸せな家庭で育ち、クリスマスに幸福な思い出がいっぱいある証だろう。
 56歳になった今でも、通勤時の車の中で、12月にはクリスマスのアルバムを聞いて楽しんでいる。
 サンタクロースの秘密を知ったのは何歳の頃だったろうか?
 年々サンタクロースへの疑問が増えて来る一方で、プレゼントをいただく立場としては、いつまでも秘密は秘密のままであって欲しいと願っていたような気もする。それも両親のおかげだと言える。
 母親はオーブンの無い我が家で(どの家庭にも無かった)、ダッチオーブンに似たフタ付きの厚い鍋で、スポンジケーキを作り、これまた手作りのバタークリームで大きなクリスマスケーキを作ってくれた。僕の生まれ育った町は、その頃お肉屋さんも無い田舎だったが、熊本市内に数件あったケーキ屋にさえ生クリームのケーキは売っていない時代である。ツリーは近所の山から切り出した樅の木ならぬ松の木で、僕たち兄弟で一生懸命に飾り付けをした。ツリーの飾りも多分父が遠くの街で求めてきたものだったのだろう。
 あの頃の僕の一番大きな疑問は、サンタさんは煙突から家に入るというのに、我が家にはもちろん暖炉は無く、風呂炊き用の細い煙突しか無かったことだ。とてもおデブのサンタさんが中に入れるとは思えない。今年こそはサンタさんに会うのだとイブの夜は布団の中で眠るまいとするのだが、気がつくと朝になり、枕元にはプレゼントが置いてあった。
 昔は余程のことがないと隣近所も含めて夜の間も戸締まり等しなかったので、我が街に来たサンタさんは、危うい思いをしながら高い屋根や煙突に登らずとも、縁側の障子をヒョイと開けて容易に枕元に達したのだろうと、この疑問も敢えて追求することは無かった。
 サンタクロースと同様に、幼い頃、月にはウサギが住んでいてモチをついているのだと思って、モチ好きの僕は憧れていた時がある。
 さすがに、月のウサギは、サンタさんよりも早く謎が解明するのだが、小さい子どもに、ある程度の年齢までそんなことを信じさせる、ある意味で夢のようなものがあった。
 真実を知ること、科学を否定するつもりはないが、現在の子ども達に、僕たち大人は、そんな幸せな夢を見させてあげられてるんだろうか?
 メリー・クリスマス!
(2011.12.25)






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