義母のお誕生祝いに伺いました。
義母はわずか16歳で発症した糖尿病が原因で、高血圧、白内障、認知症など様々な合併症をもっています。
毎回、いつまで覚えていて下さるか、と思いながらの訪問ですが、昨日は私の名前も、こひつじちゃんの名前も、呼ぶことはありませんでした。
ドアを開けてくださった時、一瞬戸惑った表情を見せたので、私達は記憶の扉の向こうへとしまいこまれてしまったのでしょうか。
一日早くお誕生日のお祝いをしたと義父がいうのですが、こひつじちゃんが「お誕生日おめでとう」と渡した花束を「ありがとう。母の日のお花。」と喜んでいました。
前日の記憶だけでなく、わずか3秒前の記憶も留めておけず、誕生日という言葉の認識も危ういようです。
脳の海馬という組織は、記憶に深く関係すると言われています。
海馬はタツノオトシゴの別名ですが、大脳辺縁系中のくるりと尻尾を巻いたような組織は、確かにタツノオトシゴに似ています。
ローズマリーは記憶を呼び覚ます精油として有名ですが、高血圧の人には不向きです。
認知症は、生活になじみの薄い地中海の芳香植物よりも、日本の植物の香りの方が生活や記憶により密接で、効果的に働きかけると経験から感じます。
お誕生日のお祝いに、ひつじ君が届けておいてくれた小さな小さなクッキーを食べました。
まだ、自分で咀嚼、嚥下できるのが幸いです。
以前よりずっと口数少なくなりましたが、穏やかに日々を重ねる母と、静かな時間を過ごしました。