7月を迎え、梅雨明けを迎え、真夏日が連続する日々。前回のH沢探訪で確認出来たことは、これからは、真夏の山菜と秋の山菜採りのために、マタギの心構えも切り替えなければならないということ。
今年の天候を考えると、これは自然の摂理であって、山菜好きなオヤジが一人わめいても騒いでも、抗いようのない現実である。
ただですねえ、先月来、『行かねばならぬ』と思っていた採り場に行けていないんですよ。その名もN沢、月山筍の名産地です。
本年度は、2回訪れており、その結果から、『次は上の平ら』と決めていたんです。だけど、前回マタギが行けなかった日に来訪したA氏が言うには、
「上の平らの雪は、殆どなくなっている。人も多いし、採れるポイントは少ないかも。」
とのこと。
じゃあ、どうすればいいの?
今回もA氏が同行してくれるので心強い限りなのだが、コースの選択は、
「マタギに任せる。」
だって。
これは、かなり悩ましい課題です。どうする?
深夜2時半過ぎ、検問所のおじさんに聞くと、
「今日は、少ねえのお。2組しか通っていね。」
最盛期には、百台もの車が集うタケノコ採り場だが、既にピークは過ぎたということだろう。
森林組合でも、間もなく入山を止めるという情報も入ってきている。
これは、間違いなく、今年最後のタケノコ採りになりますね。
これが最後ということは、ちょっと気合いが入るけど、既に大収穫は見込めないということでもあるので、肩の荷が軽いと言うことも出来る。
「ゆっくり登ろう。」
「賛成!」
焦りがない分、マイペースで行動出来そうだ。この辺を合い言葉にして採り場に向かう。
歩き始めて感じた前回との違いは、蒸し暑さ。気温だけでなく、湿度もかなり高そうだ。
「これは、熱中症に注意だな。」
「賛成!」
これは持ってきたアルカリ飲料を惜しまずに飲むべきだ。ついでに、手ぬぐいを沢水にさらして首に巻き付けると、非常に気持ちよい。
「上の平ら」と「下の渓」とにコースが別れる手前の休憩点に辿り着く。午前4時10分過ぎ。夜も明けてきた。
山肌の雪渓が完全に消えている
対岸のS山の雪渓が消えたのを見たのは、初めてかもしれない。これは、思っていた以上に季節が進んでいますね。だったら、上の平らの雪が消えているというのも頷けるし、入山者が少なくなったことにも納得出来る。
これは、雪の消え際を探すしかないでしょう。だとすると、目指すは渓底です。なぜ海抜の低い渓底かというと、一番分厚い雪渓が、一番遅くまで残る場所だからです。
何てったって、渓の上の斜面何百メートル分の雪崩を受け止めて出来た雪渓。しかも、渓底が最も日が当たらない。今までの経験からいけば、一番可能性が高いのが渓底なのだ。
「最初に行った採り場の雪渓まで行って、そこから次を考えよう。」
「OK!」
こんな合意を交わして、渓側を進むことにした。
渓を覆っていた雪渓はほとんど消えていた。
だが、
最後の雪渓
我々の『陣地』の雪渓は、僅かに残っていました。
この雪の消え際を探っていくと、
やっぱり出ているじゃない
雪渓の上下左右をあたるとそれなりに出ている。ただ、ちょっと離れると伸びすぎ状態。雪渓に近づきすぎず離れすぎずに採る。暫くするとハケゴの半分ほどになった。結構、いいのが採れましたよ。
「どうする?」
「ここから上の様子は分からないんだよなあ。」
「下流に雪渓がもう一つ残っていたから、それをあたって終わりにするか。」
「OK!」
渓を下り始める。
下流の雪渓周りはお花畑でした
「そんなに欲たげねで、ゆっくりしてけ。」
それは見事なミズバショウとリュウキンカの花畑でした。竹藪もあるにはあるんだけど、あまり太くない。
「あと、いいんねがい。」
どちらからともなく、本年度のタケノコ採りの終結を確認し、帰路に就く。
雪渓が落ちると、いい渓相が姿を見せます
雪渓の消えた淵では、イワナの走る姿が見られました。渕尻の、夏場のポジションで、餌を待っていました。
ギンリョウソウに
ツガザクラ?
「もう夏だよ。」
そう語りかけているように感じます。
最後の急坂から見えるはずの庄内平野が霞んでいた
この景色も、今年は見納めになりますね。
N沢の山の神様、今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
それから、なんと言ってもA氏。毎回付き合ってくれて、情報提供してくれてありがとうございました。
こちらも同じく、これからもよろしくね!