おれは、つよい うり ぼうたろう
おれは、つよい
ぜったいに、まけない
ひとりでも
へいきだぜ
あつさなんて
なんともない
あめだって
へっちゃら
だって
おれは、つよい
でもよう
ほんとはよう
かあちゃんよう
あいたいよう
珍しい子に会いました
普通、日中に会えることなんかないんです
どうやらこの沢に落ちてしまったらしく
ここで暮らすようになってしまったようです
『ぼうたろう』君との出会いは、ご近所の農家さんから教えてもらったところから始まります。
ある日、散歩していると、いつも会う農家の爺さんが、
「ひどいもんだ。」
と言いながら畑を掘り起こしています。と言うよりも、掘り起こされた畑に残ったイモを探していたのです。すぐにピンと来たので、
「イノシシですか?」
と尋ねると、
「んだ。夕べ親子で荒らしに来た。」
「せっかくのイモが。・・・大変ですね。」
「ああ、全部集めても、これしか残ってねえ。」
この辺の畑にはイノシシが出没するとは聞いていたが、見事に掘り起こしてくれたものだ。
「ただよう。1匹、そこの沢さ落ちてよう。逃げ場がなくてウロウロしている。」
そう言って紹介されたのが、『ぼうたろう』君なんです。
「ここには水もあるし、畑のトマトなんかが落ちてくるから暫く生きてっと思う。」
話が続きます。
「めんこいべ。だけど、助けるわけにはいかない。助けっと、来年、子供連れてまた畑荒らしにやってくる。」
なるほど。これは仕方のないことですね。
そして数日後、
まだ元気そうなんですが
こちらの目を見て助けを求めているのが分かります。
ゴメンな。うまく生き延びて、この沢を脱出できる日が来ることを祈っているよ。
それ以来、切なくて、『ぼうたろう』君に会いに行っていません。
うりぼうのぼうたろう。
名前があると、余計に思い入れが入ってしまいます。
ぼうたろうに罪は有りませんが、人間との共存は難しいのでしょうね。。。
助ける訳にはいかないにしても、自分で脱出してくれると良いですね。
コメントありがとうございます。
全く同感です。人間の生業を考えれば、助けるわけにはいかない。それは分かるんですけど、あの目で見つめられると切なくなるし、手出しのできないことが歯がゆくも思われます。
せめて、自力で脱出できることを祈るしかありません。
自然界と人間界の隙間は深い。