河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

花火大会の日

2010年08月05日 | 青の妖精と夏への扉
青・・・いやもっと暗い、黒、闇だ・・・

何も無い、この前起きた時は、先生も迦陵頻もいたのに

周りは闇だ、だれも居ない、音もしない

やっぱり僕は一人なんだ、世界には僕ひとりだけだ

寒い、ここはどこか宇宙の果てなんだ

ひとりぼっちはいやだ、孤独はいやだ、誰か僕を助けてくれ

おとうさーーーん、僕はここにいるよーーー、おとーーさーーーん



「おい、二郎、なに泣きながら寝てんだ、早く起きろよ
今日は大川の花火大会だぞ、ほんとに泣いてやがら
なさけないやつだなあ、顔洗ってこい」

「おとうさん!」

夢だったんだ、夢でよかった、ひとりぼっちは苦しい

「ぐずぐずすんなよ、顔洗ったらすぐ出かけるぞ
帰りに、母さんと三人でウナギ食って帰ろうな
メロンのアイスも買っていいぞ
かあさんも支度できたのかー」

「おとうさん!僕うれしいよ」

「突然、変なことを言うやつだなあ
わっはっは、わっはっは

ほれ、新しいUSBメモリだ
おまえは時々夢から覚めるからな
今度のバージョンは改良しておいた
これが夢だって気づかないようにな」

USBメモリー2個目

2010年08月05日 | 青の妖精と夏への扉
「たたた大変です課長」

「もうマスコミが来たのか」

「いや、もっと大変なことです
USBメモリーはあったんですよ
八田二郎というアンドロイドの少年が
わき腹のスロットに挿していたんです」

「じゃあ解決だな」

「いや、その少年にはUSBスロットが2つあって
もう1個USBメモリーがあったんですよ
そして、その中には1000万人がいたんです」

「えっ、どういうことだ」

「つまり日本人全部がUSBメモリーの中にいたんですよ
この私も課長もふくめてね」

「えっ、ますますわからん」

「日本人なんて元々一人もいなかったんですよ
すべて、その八田二郎という一人のアンドロイド少年の頭の中
つまり、妄想の中の存在だったんですよ
日本というより、地球も宇宙も
少年の妄想なんですよ」

「じゃ、今のこの私は本当はUSBメモリの中に居るということかね」

「そうです、悲しいけれど
それが現実というものです」

「じゃ、その少年がくしゃみをして
USBメモリが外れたら
この世界は終わりなのか

まてよ

なんでその少年自身が
少年の妄想の中に居るんだ」

「あれですよ、ロシアのなんとかという人形
人形の中に人形がいるっていうやつ」

「熊がサケをくわえてるやつか」

「そりゃ北海道ですよ
もっと北の、なんだったか」

「稚内か、イクラ丼がうまいぞ」

USBメモリー

2010年08月05日 | 青の妖精と夏への扉
「えっなんだと、日本の人口の約9割が行方不明だと
じゃ、やはり日本の人口は1000万人だったのか
その9000万人はどこに行ったんだ」

「すみません課長、9000万人をUSBメモリーに入れたまま
駅のホームに置いてきてしまって
戻ってみたら、もう無かったんですよ」

「このことはまだ黙っておけよ
いずれマスコミがかぎつけるだろうがな」

八田君とおとうさん

2010年08月05日 | 青の妖精と夏への扉
「おとうさん、誰か来てたの?
ややこしそうな話、してたから」

「ああ、葺合区役所の人だよ
目の前の人間とパソコンの中の人間と
どっちが本当に生きてるかっていう
ちょっとした哲学のお話をしてたんだよ」

「で、どっちが本当なの」

「そら、パソコンの中の人間に決まってるじゃないか
パソコンの中に居ると年金が出るんだぞ
わっはっは、わっはっは、わっはっは」

「で、僕とおとうさんとどっちが本当のお父さんなの」

「変な事を聞く子だなあ
そら、二郎に決まってるじゃないか、わしより年上なんだから」

同じ顔をした親子はそのまま十秒ほど見つめあっていた

「じゃあ、今日はプール登校日だから
お前の代わりにおとうさんが学校に行ってやるよ
お前もその歳で、水泳もしんどいだろ」

朝顔の花の水滴にくっきりと夏空が映っていた
セミたちは今日も暑くなりそうだと泣いていた


八田君のお父さん

2010年08月05日 | 青の妖精と夏への扉
「ごめんください、区役所の住民課です
えーと、君、お父さんは居るかな?」

「私が二郎の父親だ、聡一郎だ」

「えっ、見た目は子供」

「そうだ、見た目は子供、知能は子供以下だ」

「住民基本台帳によると聡一郎さんは今年114歳になられるそうで
ご本人の確認と、お祝いの品をお届けにまいりました」

「114歳は私の父親のほうだ、二郎の祖父だ」

「でもお名前が、聡一郎さん、となってますが」

「そうだ、長男はみんな聡一郎だから、父も祖父も曽祖父も
みんな聡一郎なのだ」

「そ、そうなんですか、まるでバリ島みたいですね」

「で、おじいさまはご健在ですか?」

「わしが父親でもあり、祖父でもある
つまり同一人物なのだ」

「わ、わかりました。ご本人がそうおっしゃるのですから
聡一郎さんは114歳でご健在という事で
引き続き、年金の支給継続という事で処理いたします
末永くおったしゃで
これでまた日本人の平均寿命が世界一に延びました」

「曽祖父もまだ・・・もう何歳か計算できないが
土の中で生きているぞ
その父親もまた、パソコンの中で生きておる
300歳は超えていると思うぞ
デーモン小暮は100047歳とか言ってるし」

日本の人口

2010年08月05日 | 青の妖精と夏への扉
100歳以上はほとんど実在せず
90歳以上も行方不明で
60歳以上は無職で生存不明
50歳以上は居場所が無く
20歳以上はひきこもりで存在不明
10歳以下も虐待で生死不明
1歳以下もどんどん減ってきて
日本の人口は実は1000万人くらいとか
なるほど商店街に人がいないはずである
人間は住基ネットという高度なサーバの中に
バーチャルなアバターとして住んでるらしい
未来世界を先取りしている
しばらくは消えた年金問題に代わって
消えた人間問題が話題になるのか