シーーーン
「なんだ、だれも来やしないじゃないか、僕に未来は無いのか」
シーーーン
「佐川急便です、アマゾンさまからのお届けものです」
「あんたが未来の精霊か!」
「いや、クロネコヤマトとかと同じ、よくある宅配便です」
「Lenovo IdeaPad Tablet A1 ホットピンク」は思ったより派手な色ではない
むしろ落ち着いたピンクなので、おっさんが持っていても違和感は無いだろう
たぶんピンク色ということで人気がなく少し安くてしかも在庫が有ったのだ
アズキ色とかだともっと良かったのだが
シーーーン
「また寝るとするか」
八田二郎はまた冷たい万年床へともぐっていった
ズンチャカ、ズンチャ、ズンチャカ、ズンチャ
前に聞いたことのあるBGMが流れてきた
「やあ、また来たぜ、未来の精霊はなり手がなくて、おいらが二役だよ
おっと、真っ暗じゃ見えないな、明かりを点けるぜ」
「なんだ、またジャマイカのボブ・マーレイか」
「♪~Get Up Stand Up、さあ起きろ、立ち上がれ、天国があるなんてウソっぱちさ~♪」
「えっ、ここはどこなんだ、何も無い砂漠の真ん中じゃないか
まだ夢の中なのか、それとも未来の風景なのか」
「あんたの心が作り出している世界さ
人は思っているとおりの未来を作り出す
でも、いいんじゃないのか、青い海でも無色の砂漠でも
アンドロイドでも人間でも、どっちでも心配ないさーーー
この世界は、宇宙の遊園地、夏休みみたいなもんだから
おもしろい事を見つけて楽しめばいいのさ
不幸と幸福に大きな違いがあるわけじゃなし
不幸を心からじっくり受け止めることができれば
それはめったに無いすげえ幸福だぜ
じゃ、まっ、いいかー、ってね」
ボブ・マーレイの精霊は最後にオヤジギャグを一発きめてから
ジャマイカの方角へ消えていった
彼が走り抜けた青空には一直線に白い飛行機雲が残っていた
僕にはそれが未来への道案内のように見えた