河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

八田八郎物語 第何話か忘れた 5話くらい

2014年08月20日 | 八田八郎物語
「八郎君、居候の俺は確かに、君の家族に迷惑をかけた
一日中押入れに閉じこもっていたり、屋根の上にいたり、
日本中の小学校の教科書を全部買ってきてその重さで部屋の床が抜けたり
ピンクのドテラは君の母さんに燃やされた
でも、わかってほしかったんだ
『この世にはそうじゃない世界がある』ってことをね
だから、装甲車のタクシーを呼んだんだよ」

「いや、十分わかってますよ
又三郎おじさんのおかげでウェスモンゴメリーのギター奏法も覚えたし
Fコードの人差指も押さえられたし、白土三平のカムイ伝も読破できたし
自転車にも乗れたし、サーターアンダギーも食べられた」

「でもな、『そうじゃない世界』に長く居ると国民年金ももらえないし
君は上場企業のサラリーマンになって定年までがんばって
少なくても厚生年金をもらうべきだよ
それが安定安心というものだよ」

「でも、あの頃、又三郎おじさんと村上春樹さんの頭上には
同じ風が吹いていたんでしょ、春樹さんとの距離は
わずか数百メートルの差だったと言うじゃありませんか」


又三郎おじさんは何も答えず芦屋浜にたたずみ
松林からのヒグラシの声を聞いていた
夙川の空の色は青の彩度が増して
季節はゆっくりと夏にさよならをしていた

Misty Blue ~ iMonolith(1974)★銀河の舟歌~池田モノリス

2014年08月19日 | 八田八郎物語




フェンダーローズのけだるいトーンと70年代のホーンセクション、細野晴臣のようなベースライン
Cメジャーセブンスの響きと松任谷正隆師による編曲、チャラ男ぽいボーカル、お台場か隅田川の屋形船、どれもが当時の輝きを放っている。
二十世紀の名作。
ひょっとして又三郎おじさん。

玉乃光

2014年08月19日 | 八田八郎物語
「とし子、酒や、酒持ってこい
今日は屋上農園で酒盛りや、ヤケ酒や
トマトも不作、ナスビも不発、唐辛子も発育不良、仕事も無くなった、メダカも全滅や
流星群も見えんかった
何、酒買う金が無いやと
着物を売れ、お前がコープ神戸さんのパートに行け
わしは仕事しとうない
わしは将棋で日本一になるんや」

「あなた、そこはトイレじゃありませんよ」

「わかってる、ここは世界の出口や
ここから木星のエウロパに飛んでスターチャイルドになるんや」

「アーサー・C・クラークのSFを読むのは
もうやめてください
子供が学校でいじめにあいますよってに」

「わかった、もう筒井康隆の初期作品だけにしとくわ」

「それもやめてください、よけいに危ないやないですか」


八田八郎物語 第何話か忘れた 4話

2014年08月18日 | 八田八郎物語
「又三郎おじさんが世界の終りに向かって暴走してる訳が
なんとなく僕にもわかったよ」

「そうか、そうだろ、おじさんの時代じゃ
手塚治虫と藤子不二雄とデビッドボウイだけ知ってりゃ
それが世界の頂点だったんだ
なにしろインターネットやスマホなんて無かったからな
それが、今じゃ、ちょっと検索してみろ
才能あふれるやつは100万人はいるぜ
もう、暴走するしか無いだろよ」

「そうだね、昔は情報源はテレビとラジオと新聞とミュージックマガジンしか無かったもんね
だから、デビッドボウイもユーミンも売れたんだよね」

「でもな、岡本太郎はインターネットが有っても無くてもきっと爆発したと思うぜ
だから俺も世界の終りまで、この装甲車のタクシーの後部座席に乗って
行ってみるぜ」


短い夏の終りを告げるように
西の空の雲も
昨日より少し高い場所を流れていた