茄子の花苦情言ひたし揉めたくなし ひよどり 一平
(なすのはなくじょういいたしもめたくなし)
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「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない」
三十年以上も昔に発表された池澤夏樹の芥川受賞作「スティルライフ」の一節だ。
コロナに振り回され、失望したり怒ったりしているとき、「世界はきみを入れる容器ではない」が、鮮烈に思い起された。
そのあとに続く文章で、しっかりとダメ押しをされた感じだ。
「きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない」
こんな文章を思い起こしても、なんら役に立たないが、怒りが少しは緩和されるかもしれない。
だからと言って、コロナに感染してもいいということではない。感染すれば死ぬ。
今のところ、コロナで死ぬのは勘弁してもらいたい気分に変わりはない。