塗りは良くない

2012-02-23 04:54:32 | Bicycle
京都市の自転車レーン塗り替えの件が物議を呼んでいる。
「京都に合わない」自転車レーン塗り替え批判(読売新聞 2012/2/19)

この件に関して、おいらの意見から言わせてもらえば『塗ること自体が間違えなんじゃないか?』と。

リンク先の読売新聞の記事をご覧いただきたい。
青色にしても、赤茶色にしても、塗ってある。
京都市の画像にある青色塗装は部分的なボックス塗りだが、先日話題にした秦野の自転車レーンも、新潟市水島町の自転車レーンも全面塗り。
京都市の赤茶色塗装も全面塗りで、しかもライン塗装を行ったと見える…塗装全体が全幅に対して6分割されている。

2010 年 11 月 18 日付のおいらのブログ記事『自転車レーン』で、おいらは全面塗りの新潟市水島町の自転車レーンについて『青い部分がカラーアスファルトではなく『塗り』だということ。おそらく自転車レーンだとハッキリわかるようにしたかったんだろうが、濡れたら思いっきり滑ることは、容易に予想される…。道路で滑ると言うのは、決してスピードの問題ではない。四輪と違い、路面と重心が直角に交わることを崩すことで曲がる二輪に対して、敢えてアスファルトとの抵抗が低くなる『塗り路面』を選択した事は致命的なミスだ。今後の自転車レーン設置の道路改修が街中で進むのは大歓迎。その時のために、今のうちに言っておく。二輪は、四輪と挙動が違う。二輪用のレーンを作るなら、二輪の特性に合った路面を作るべき。自転車レーンが出来たから、事故がなくなるなんて、あり得ない。』…と指摘した。

2011 年 3 月 21 日付のおいらのブログ記事『最新式』では、新潟市道紫竹山鳥屋野線(紫鳥線)の自転車通行帯について、『指摘した『塗りは危ない!』という点について、自転車レーンであると分かるブルーラインを入れて、尚且つ危険な塗りを最小限に押さえている。』…と指摘した。



何度も同じ画像出して恐縮なのだが、またこの画像(紫鳥線の自転車通行帯)。
塗りの部位を少なくしたのはコストの問題だったのかもしれないが、これで十分の効果があると思わないか?



最近の塗り路面は、滑りを押さえる材質のものもあるようだが、京都市の赤茶色路面(読売新聞記事より画像転載)の様な小さな画像でも分かるくらい明らかに凸凹があるような塗り方では、間違い無く水たまりができる。

NPO 自活研の小林成基 氏が twitter の中でこんな発言をされている。
『白線と自転車マークで十分じゃないでしょうか?』とのつぶやきに対し、
『充分なんですが、ドライバー教育が進むまでは、カラーリングも有効だとおもいます。』
ここで大事なのは、クルマのドライバーが『自転車は車道を走行する』と当たり前に認識しているか?…ということだ。

前々から何度となく申し上げているのだが、自転車レーンの整備は『より一層の自転車の安全を推進する』ための『ツール』であって、日本中の自転車レーンしか自転車は走れない…とするために考案されたものではない。
だとすれば、自転車の走行が『より安全である』と言いきれる状態を作らなければならないだろう。

自転車レーンがカラーリングされなければならない理由は、小林氏が twitter でつぶやいた言葉に凝縮される。

自転車に良かれと思って施工された…と思われているだろう塗り路面は、青色だろうが赤茶色だろうが、本当のところは自転車の走行を苦しめる。
それが今現在で欠点として表立たないのは『施工された区間が少ないから』と『歩道走行よりも明らかに良いから』だろう。
カラーリングの目的はクルマの運転手に自転車レーンの識別を促すためであって、クルマのために行われている施策だと理解しなければならない。

そういう思考回路を持った上で、今回の京都市の一件を再考察。

①全面塗りの意味があるのか?
 指摘した通り、全面塗りは自転車走行には適さない。
②赤茶色で識別できるか?
 これは、自転車からではなくてクルマのドライバーから見てどうなのか…ということ。
 京都府警は「赤茶色は夜間見えにくい」として反対しているそうだ。
③青・赤茶だけでなく他色の選択肢は無いか?
 紫鳥線のようなライン塗装でも十分に効果を発揮する。
 そうなれば青の全面塗装のようなどぎついイメージも緩和されるだろう。

だから、他の色も選択肢に加えて景観と識別の調和を再考する…というのはどうだろう。

ここでもう少し小林氏が twitter でつぶやいた言葉を紹介。
『別に何色でもいいけど、都市景観と色彩学の専門家に相談すべきだね。道路工学、交通工学の専門家は色の専門家ではありませんよ。』
『わかる、ことと、認識しやすいことは、違うんじゃないでしょうか。ブルー系は、もう他の系統の色が使われてしまっているために引き算で出てきた色です。赤系はバスレーンや路側帯に使われていて、地域によっては戸惑うかも。』

やってしまってから問題が起きれば、取り返すのにまた余計な労力とお金がかかる。
何れにしても、自転車レーンは『塗るのが当たり前』…みたいな発想は良くないと思うんだけどさ。

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