本日は彫刻→北大→エッセの3か所。まだ気温の上がらうぬうちにと思って家を出たが、もう手遅れだった。地獄坂でグッタリ。
■本郷新記念札幌彫刻美術館「宮の森 この地が生んだ美術」。宮の森界隈に住んだ芸術家の作品を集めた展覧会。出品作家は八木保次、本郷新、国松登、大本靖、阿部典英、八木伸子、本田明二、国松明日香の8名。
作品はすべて撮影可能だったのだが、それをアップしてしまってはどうしようもない。1点だけ「お、珍しい」と思った作品を挙げると、大本靖「沼の平」か。紙に木版で刷られたものだが、2分割でかなり大きな作品(84.5cm×169.5cm)。彼の展覧会でも見たことのないサイズであった。
1階ロビーには、この美術館で過去に開催された展覧会のチラシが掲示されている。
私の記憶にある一番古いものは2002年の「澄川喜一彫刻展」だろう。
外に出て、記念館に向かう。
■本郷新記念札幌彫刻美術館「100の石膏像」。石膏像を中心に(樹脂、木製のも展示されていた)、物量たっぷりの展覧会。
館内に入り、左手側の部屋へ。照明に趣がある。
「牧野富太郎翁像」:多分、過去に見たことが無いように思う。ちょっと珍しい作品も登場だ。
「漁民の像」(手前)、「漁民の像「オホーツクの塔」」(奥);今回はこの手の似た形の彫刻を並べて展示しているところがいくつかあった。
「遥かなる母子像」(手前)、「遥かなる母子像」(中)、「顔のない母子像」(奥):母子像3連発。
「女性像」:これも見たことが無い気がする、珍しいローマ・ギリシャ調の女性像だ。
見終わって、札幌駅方面へ。
本屋さんに立ち寄ってから、久々に特集展示をやっている北大へ。公共系の施設はいつ休館になるか分からないので、早めに見ておこう。なるべく木陰を選んで歩くが、どうしようもないくらい暑い。
■北海道大学総合博物館「藻類の時間軸ー私たちの始まりへ」。
入場すると、いきなり円筒形の幕がある。ここは後で見ることにして、壁側にある標本展示から。
「ニセモズク」:悲しい名称の海藻だが、そこは置いといて、これは「タイプ」という標本らしい。「タイプ」とは何かというと、「分類学的取り扱いの基準となる唯一の標本」とのこと。すなわち、これと同じ種類であれば「ニセモズク」、そうでなければ違う種類になるという、分類の物差しなのだ。例外的に同時に採取された重複標本の場合「アイソタイプ」というらしいが、通常は世界に一つしかない標本ということができるだろう。
海藻のホロタイプ標本は国内に存在するものほぼすべてが北海道大学総合博物館に収蔵されているということで、地味だがスゴイことらしい。ホロタイプ自体が、きっと名誉あることなんだろうと思えるのだが、その証拠にこの標本には「Type!」と嬉し気に手書き文字が入っているのであった。
ちなみに意外なことだが、「ワカメ」のホロタイプはアイルランド、「アサクサノリ」のホロタイプはスウェーデンにあるらしい。
長坂有希「カムイワッカへ、そして私たちの始まりへ」:知床半島にカムイワッカ湯の滝という高温、強酸性の滝があるが、そこに住むイデユコゴメという藻をテーマにしたインスタレーション。映像作品は何が写っているのか明確に分からず(風景?)、色がどんどん変わっていた。
これはストロマトライトという化石。
そしてこれがイデユコゴメ。藻だね。
この後、初めて入る北大百年記念会館へ。え、何かあるぞ。
土屋富士夫「聖アンデュナ祭」:コート掛けの後ろに悲し気にある、彫金作品。キリスト教の儀式がモチーフなのか…。作家の方も知らないのだが、検索してみると、東京芸大大学院彫金科修了で絵本作家の方がいるようだ。生まれも東京のようだし、なぜ作品がここにあるのか分からない。ネット上にも特に情報はないみたいなのである。
■ギャラリーエッセ「田川基成 見果てぬ海」。長崎県松島出身で、北大農学部に進学した人の写真展。「第20回三木淳賞受賞新作写真展」とあるので、写真家として期待されているのだと思う。
写真はフェリーで松島にわたり、島内を撮影したものだが、キリスト教の歴史があるのか、教会やカトリック墓地などを写したものが多い。それでいて、当たり前だが日本の南の方にある島なので、海や住宅というのも北海道とは一味違って見える。なかなか興味深い展覧会。
→松島は五島列島付近の本土よりの小さな島。
ところで、初めてエッセにミニギャラリーがあるのに気がついた。土日は開いていないので、無理もなかったか。