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BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

綺羅星の如く 第1話

2025年01月10日 | F&B×天愛 異世界転生ファンタジーパラレル二次創作小説「綺羅星の如く」

表紙は、黒獅様からお借りしました。

「天上の愛地上の恋」「FLESH&BLOOD」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

海斗とアルフレートが両性具有です、苦手な方はご注意ください。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

「申し訳ないけど、もう来なくていいから。」
「え?」
店主からの、突然の解雇通告は、アルフレートにとってまさに青天の霹靂そのものだった。
「うちも厳しいから、ね・・」
「そうですか、お世話になりました。」
アルフレートはそう言うと、更衣室に入り、ロッカーに入れてあった私物をリュックに詰め込むと、4年間働いていたダイナーを後にした。
警察を辞めてから、貯金とダイナーで働いた給料で何とか食い繋いできたが、それも限界に来ている。
今更大学時代に取った資格を活かして仕事をしようかとアルフレートが交差点で信号待ちをしながら考えていると、信号無視をしたトラックが彼の元に突っ込んで来た。
遠のく意識の中、アルフレートは誰かが自分を呼んでいる声を微かに聞いたような気がした。
「それにしても、今日は嵐が来そうだな。」
「えっ、こんなに天気が良いのに?」
“グローリア号”の船長・ジェフリー=ロックフォードの言葉を聞いた彼の恋人・東郷海斗は、そう言って蒼く澄み切った空を見た。
「わかっていないな、坊や。俺位の年になると、雲の動き一つで天気がわかっちまうのさ。」
「へぇ・・」
海斗が恋人の言葉に感心していると、何かが“グローリア号”の近くに漂っている事に気づいた。
「ジェフリー、あれ見て!人が浮いているよ!」
「ボートを下ろせ!」
二人はボートに乗り、海に浮いているアルフレートを救出した。
「大丈夫ですか?」
「う・・」
「カイト、ナイジェルとキットを呼んで来い!」
「わかった!」
アルフレートが目を覚ますと、そこは船長室のような部屋にある、ハンモックの中に自分が寝かされている事に気づいた。
「あの、ここは・・」
「あんた、海の中を漂っていたんだよ!俺達が見つけていなきゃ、死んでたぜ!」
「助けて下さり、ありがとうございます・・」
「ジェフリー、入るぞ。」
船長室に入って来たのは、ブルネットの髪をした男と、鳶色の髪をした男だった。
ブルネットの髪をした男はナイジェル=グラハム、鳶色の髪をした男はクリストファー=マーロウとそれぞれアルフレートに名乗った。
「これ、あんたの荷物だろ?海水に浸かったが、一応中身を確認してくれ。」
「は、はい・・」
アルフレートは、部屋の床に広げられた自分の私物をひとつずつ確認した。
運転免許証、IDカードなどのカード類は海水に浸かっていたが、乾かせば大丈夫そうだ。
「そのメダイは?」
「これは、亡くなった祖父の形見です。これだけは無事で良かったです。」
「そうか。ここで会ったのも何かの縁だ。あんた、名前は?」
「アルフレート=フェリックスと申します。」
「俺はジェフリー=ロックフォード、こっちは俺の恋人の、東郷海斗だ。」
「よろしくお願い致します。」
こうしてアルフレートは、“グローリア号”の一員となった。
「アルフレートさん、ちょっといい?」
「は、はい・・」
アルフレートが“グローリア号”の一員となってから数日後の事、海斗に呼び出され、彼と共にアルフレートは船長室に入った。
そこには、ナイジェルとクリストファー=マーロウことキットの姿があった。
「あの、わたしに話したい事って・・」
「実は、今朝こんなものが届いたんだ。」
そう言うとキットは、一枚の紙をアルフレートに見せた。
「それは・・」
「この国の皇太子の許婚が、行方不明になっているみたいでな。その許婚とあんたの顔が、そっくりなんだよ。」
「確かに・・」
アルフレートは、その紙に描かれていた女性の顔が、自分と瓜二つである事に気づいた。
「そこでだアルフレートさん、俺を助けると思って、俺に協力して欲しい。」
「協力?」
キットは、皇太子に命じられて失踪した彼の許婚を捜していたが、一向に見つからない。
丁度いいころ合いに皇太子の許婚と瓜二つの顔をしたアルフレートと出会い、キットの頭の中にある作戦が閃いた。
「わたしが、皇太子の許婚の振りをしろ、と?」
「あぁ。知り合ったばかりのあんたにこんな事を頼むのはなんだが、俺に協力してくれないか?」
「わかりました・・」
キットに協力する事になったアルフレートは、皇太子の許婚を演じる為の“レッスン”を彼から一週間、みっちりと受けた。
「さてと、これから色々と大変な事になるだろうが、その覚悟は出来ているか?」
「はい。」
「アルフレートさん、頑張って!」
「ありがとう、カイトさん。」
キットと共に“グローリア号”から降りたアルフレートは、ドレスの裾を摘み、慣れないハイヒールで歩きながら馬車に乗り込んだ。
「そうか、アンジェラが・・」

ハプスブルク帝国皇太子・ルドルフは、そう言うと持っていた羽根ペンをペン立ての中にしまった。

彼の前には、許婚の死亡通知書が置かれていた。




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