BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

氷上に咲く華たち 2

2025年01月08日 | YOI×天上の愛地上の恋クロスオーバーパラレル二次創作小説「氷上に咲く華たち」


表紙素材は、ソラ様からお借りしました。

「ユーリ・オン・アイス」「天上の愛地上の恋」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

勇利とアルフレートが両性具有です、苦手な方はご注意ください。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

「本気なの?」
「俺が冗談で、こんな事を言うとでも思っているの?」
「もしかして、僕の所為?」
「違うよ、俺自身が考え、俺自身で決めた事だ。ユウリの所為じゃない。」
「でも・・」
「もうこの話は終わりだ、いいね?」
「う、うん・・」
勇利とヴィクトルは、互いに気まずい空気を纏ったまま、バルコニーから去った。
「じゃぁ俺、先にホテルの部屋に戻るから。」
「わかった。」
「ユウリ、浮気したら承知しないよ?」
「し、しないって!」
バンケット会場の前でヴィクトルと別れた勇利は、アルフレートが待っているレストランへと向かった。
『すいません、遅れました。』
『いいえ、今来た所ですので。』
アルフレートがそう言った時、店員が二人の元にやって来た。
『ご注文はお決まりですか?』
勇利はコーヒーを、アルフレートはハーブティーをそれぞれ注文した。
『あの、僕に話したい事って・・』
『ユウリさんは、ヴィクトルさんとはどのような関係なのですか?』
『えっ』
 アルフレートの直球過ぎる質問に、勇利は思わずコーヒーで噎せそうになった。
「ぼ、僕とヴィクトルは、コーチと生徒だけど・・恋人同士かなって・・」
『そ、そうなんですか?ごめんなさい・・』
『い、いえ・・』
アルフレートは少し困ったかのように、首の後ろを掻いた。
その左手薬指に、真新しい結婚指輪が光っている事に勇利は気づいた。
『あの、それは・・』
『これは、ルドルフ様・・あの方から贈られたものです。』
『え、それじゃぁ・・』
『来年の夏には結婚式を挙げるつもりです。』
『おめでとうございます。』
『ありがとうございます。実は、家族が増える予定なんです。』
アルフレートは、そっとまだ目立たない下腹を擦った。
『そ、そうなんですか?じゃぁ、スケートは・・』
『年齢が年齢なので、引退しようと思っています。ユウリさん、あなたとお話出来て良かった。』
アルフレートはそう言うと、勇利に微笑んだ。
『また、会いましょうね。』
『はい。』
勇利とレストランの前で別れたアルフレートは、ホテルの部屋へと戻った。
「お帰り、アルフレート。外は寒くなかったか?」
「はい。」
ルドルフに抱き締められ、アルフレートはそう言った後彼に微笑んだ。
「お前は何故、あのロシア人の恋人と仲良くなろうとしているんだ?」
「それは、彼が・・」
「今日は疲れた、休もう。」
「はい・・」
グランプリファイナルを締めくくるエキシビションで、世界中の注目を集めたのはヴィクトルと勇利ではなく、表情で優雅なワルツを披露したルドルフとアルフレートだった。
「流石ウィンナワルツの国、やるね。」
「やっぱりルドルフさん、カッコよかねぇ・・」
「ユウリ・・」
「ヴィクトル、そんな顔しないでよっ、僕はヴィクトル一筋だからっ!」
「俺もだよ、ユウリ~!」
「あ~あ、バカップルがまたやってるよ~」
エキシビションの後、アルフレートをホテルの部屋に残し、ルドルフはある場所へと車で向かった。
『来ないのかと思っていたよ。』
『彼女は?』
『あの小屋の中さ。』
『そうか。これで‟後始末“を頼む。』
『はいよ。』
ルドルフは、“彼女”が居る小屋を一瞥した後、車でホテルへと戻った。
「お帰りなさいませ、ルドルフ様。今までどちらへ行かれていたのですか?」
「お前は、知らなくていい。」
「はい・・」

アルフレートには、“あの事”を決して知られてはいけない。
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氷上に咲く華たち 1

2025年01月08日 | YOI×天上の愛地上の恋クロスオーバーパラレル二次創作小説「氷上に咲く華たち」


表紙素材は、ソラ様からお借りしました。

「ユーリ・オン・アイス」「天上の愛地上の恋」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

勇利とアルフレートが両性具有です、苦手な方はご注意ください。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

ロシア・ソチで行われたグランプリファイナルシリーズは、ロシアのヴィクトル=ニキフォロフの優勝によって幕を閉じた。

「ヴィクトル、金メダルおめでとう。」
「ありがとうユウリ。ユウリもあと少しで俺に勝てたのに、惜しかったね。」
ヴィクトルの隣を歩きながら、彼の恋人である勇利は、この大会で銀メダルを獲得した。
「まぁ、ユウリが金メダルを獲っても獲らなくても、もう俺達は夫婦だから関係ないね?」
「もう、ヴィクトル・・キスはホテルに戻ってからにしてって言ったでしょう?」
「相変わらずシャイだな、ユウリは。」
ヴィクトルがそう言いながら笑って勇利に抱きついた時、向こうから金髪碧眼の青年と黒髪翠眼の青年がやって来た。
「ハイ、ルドルフ。銅メダルおめでとう。」
「貴方に祝ってもらえるほどのものではない。」
金髪碧眼の青年―オーストリアの“皇太子”ことルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフは、慇懃無礼な口調でそう言うとロシアの“皇帝”を睨みつけた。
「そんなに睨む事ないだろう?」
「申し訳ありません、ニキフォロフ様。」
ルドルフの隣に立っていた黒髪翠眼の青年―ルドルフの恋人であるアルフレート=フェリックスが、そう言ってヴィクトルに頭を下げた。
「アルフレート、行くぞ。」
「ではわたし達はこれで失礼いたします。」
去り際アルフレートは、勇利に軽く頭を下げると、慌ててルドルフの元へと駆けていった。
「彼、ちょっと苦手だな・・恋人の方は良い子なのに。」
「ヴィクトル、またそんな事言って。でもルドルフさんもカッコよかねぇ。」
「ユウリ、もしかして年下がタイプなの?まさか浮気を・・」
「する訳ないじゃん、馬鹿!」
そんな会話をしながら、ヴィクトルと勇利は会場を後にした。
大会の後、ホテルの宴会場で開かれたバンケットで、勇利はピチットとクリス、そしてユーリと共に楽しく酒を飲んでいた。
「ユリオももう20歳か・・時の流れって案外早いもんだねぇ~」
「何ジジィみたいなこと言ってんだよ、カツ丼!」
「え~、だって僕達の競技人生は短いんだよ?僕だってもうすぐ30になるし、体力的に選手として競技を続けていくにはそろそろ限界かなぁ・・」
「30手前なのに、ユウリはまだティーンみたいだよね。その美貌の秘訣は、やっぱりヴィクトルとのセックス?」
「ク、クリス、いきなり変な事言うのやめてよ!」
クリスの言葉を聞いた勇利は思わず飲んでいたシャンパンを噴き出してしまった。
「え~、だってユウリ、ヴィクトルと結婚してから演技の幅が変わったよね?なんかこう・・人妻感溢れるっていうか・・いやらしくなったよね。」
「ピチット君まで~!」
「カツキさん、先程はルドルフ様が失礼な態度を取ってしまって、申し訳ありませんでした。」
勇利がクリス達とそんな話をしていると、シャンパングラス片手にアルフレートが彼らの方へとやって来た。
「アルフレートさん、別にいいですよ、気にしてないんで。」
「そうですか。カツキさん、この後少し話したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「はい、構いませんよ。すいません、ちょっと失礼します。」
勇利は会場にヴィクトルの姿が無い事に気づき、アルフレートにそう言うとそのまま人気のないバルコニーへと向かった。
「ヴィクトル、こんな寒い所で何してるの?」
「少し考え事をしていたんだよ・・俺達の、未来について。」
「え?」
「ユウリ、もし俺が現役を引退するって言ったら、君はどうする?」
「ヴィクトル、何言って・・」

ヴィクトルの言葉を聞いた勇利が驚いて彼の方を見ると、ヴィクトルのライトブルーの瞳が微かに揺れていることに気づいた。
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