BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

愛唄 ~君に伝えたいこと~ 1

2025年01月08日 | 天上の愛地上の恋 現代転生パラレル二次創作小説「愛唄〜君に伝えたいこと〜」


「天上の愛地上の恋」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

―ルドルフ様
夢の中で、“彼”はいつも笑っていた。
いつも、自分の隣に居てくれた“彼”は、星空が美しく瞬く中で、静かに逝った。
―ルドルフ様、約束します。何処で何をしても、わたしは必ずあなたの元に戻ります。
(お前は嘘吐きだ、アルフレート。また一緒に居られると思ったのに、お前は―)
朝の光が、カーテン越しに殺風景な部屋を静かに照らし始めた。
「ん・・」
ルドルフは眠い目を擦りながらベッドから出ると、隣に寝ていた筈の女は居なかった。
彼女と何処でどう知り合ったのかさえ、もう憶えていなかった。
所詮、そういったレベルの女だったという訳だ。
ただ、それだけの話だった。
手早くシャワーを浴び、身支度を済ませると、ルドルフは愛車に乗って大学へと向かった。
「はぁ、今日も暑いなぁ。」
同じ頃、アルフレート=フェリックスは自転車を漕ぎながら、そう言って溜息を吐いた。
生まれ故郷である緑豊かな田舎から、極東の島国へとやって来て、数年経つ。
毎年、夏になると日本は酷暑が続き、昼夜問わずアルフレートは何とか暑さを凌いでいた。
日本に来て最初の頃は、日本語がわからずに苦労したが、やがて慣れて来た。
今は日本語も何も不自由なく流暢に話せるし、毎日アルバイト漬けだが、退屈な田舎での生活よりも刺激的な生活を送っていた。
(ふぅ、何とか間に合ったな。)
アルフレートがそう思いながら大学の駐輪場に自転車を停めていると、そこへ一人の学生がやって来た。
「アルフレート、おはよう。」
「おはよう、テオドール。」
「今日も暑いね。」
「あぁ。日本に来て数年経つけど、この暑さは未だに慣れないね。」
「そうだね。」
アルフレートがテオドールと共に大学の構内を歩いていると、向こうから華やかな連中が歩いて来るのが見えた。
「あの人達は?」
「あぁ、あの人達は、この大学の中で一番派手なグループさ。余り関わらない方がいいよ。」
「わかった。」
「あ、もうこんな時間だ、急がないと遅刻するよ!」
「待ってよ、テオドール!」
アルフレートはそう言って友人の後を追い掛けた時、誰かに見つめられたような気がしたが、彼はその事に気も留めなかった。
何とか一限目の講義に間に合ったアルフレートが背負っていたバックパックからルーズリーフを取り出した時、彼は再び強い視線を感じて振り向くと、そこには誰も居なかった。
(気の所為か・・)
「アルフレート君、君って家事出来る?」
「出来るけど、それがどうしたの?」
昼休み、アルフレートがコーヒーを飲んでいると、そこへ同じ学部の学生がやって来た。
「実はさぁ~、家事代行サービスのバイト、人手不足でカツカツでさぁ~、上司から誰か勧誘して来いって頼まれてさぁ・・」
「わかった、やるよ。」
家事代行のバイトは、アルフレートが今やっている配達員のそれよりも待遇や給料が良かった。
“今回の派遣先のお客様は気難しい人だけど、君なら大丈夫そうだ。”
面接の際、上司からそう太鼓判を押され、アルフレートが向かったのは、都内の一等地に立つタワー=マンションの最上階だった。
この部屋に住んでいるのは、自分と同じ大学に通う学生だという。
苦学生の自分とは、天と地程に住んでいる世界が違う人間が居るのだな―そう思いながらアルフレートは、大きく深呼吸してタワー=マンションのエントランスにあるインターフォンの画面に、派遣先の部屋番号を入力した。
『どちら様ですか?』
「家事代行サービスです。」
『どうぞ。』

カチャリと、オートロックが解除される音がしたので、アルフレートはそのままエレベーターで最上階まで向かった。
エレベーターから降りると、美しい装飾が施されたドアが、アルフレートの前に現れた。

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