「FLESH&BLOOD」二次小説です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
―ねぇ、また・・
―あそこでしょう、怖いわねぇ。
―呪われているんじゃないかしら?
町民達がそんな事を話していると、そこへ自転車に乗った赤毛の少女がやって来た。
少女の名は、東郷海斗。
二月前に病気療養の為東京から北海道・函館からやって来た伯爵令嬢だった。
―あの子、確か鬼憑きの・・
―目を合わせては駄目よ、頭から喰われてしまうわよ。
海斗の姿を遠巻きに見ながら、町民達はそんな事を囁いていた。
(言わせたい奴には言わせておけばいい。)
海斗がそんな事を思いながら自転車を走らせていると、後方から悲鳴が上がった。
「退けぇ!」
海斗が背後を振り返ると、そこには血走った目で自分を睨みつけている男の姿があった。
「待て!」
海斗が呆然と立ち尽くしていると、突然男の足元に何かが突き刺さった。
「怪我は無いか?」
「はい。」
「そうか、良かった。」
そう言って海斗に微笑んだのは、右目に眼帯をつけた男だった。
(素敵な人だったなぁ・・)
海斗がそんな事を思いながら女学校の門をくぐると、丁度始業の鐘が鳴った。
「また遅刻ですね、東郷さん。」
「申し訳ありません・・」
「次からは気をつけなさい。」
「はい・・」
周囲の生徒達から冷たい視線を浴びながら、教室に入った海斗は自分の席に着いた。
「はぁ・・」
これで何度目の溜息だろう。
海斗は人気のない女学校の近くにある神社で、弁当を食べていた。
家族が暮らす東京から遠く離れた北の大地へ、彼女が来たのは、彼女の“ある秘密”の所為だった。
―薄気味悪い・・
―あの人が、“鬼憑き”というのは本当なの?
教室の片隅の席で座っているだけで、海斗は心無い級友の声を聞くのが嫌で堪らなかった。
(俺だって、こんな力好きで持ったんじゃない!)
“鬼憑き”―それが、海斗が持っている“秘密”の力だった。
彼女には、“人ならざるもの”が視えるのだった。
海斗が弁当を食べ終え、女学校へと戻ろうとした時、誰かが彼女の髪に触れた。
「お前さんが、俺の花嫁か?随分と可愛いじゃないか。」
彼女が振り向くと、そこには金髪碧眼の美男子―九本の尻尾を生やした妖狐が立っていた。
(九尾の狐だ・・初めて見た。)
「あんた、誰?」
「お前の、夫になる男さ。」
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海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
―ねぇ、また・・
―あそこでしょう、怖いわねぇ。
―呪われているんじゃないかしら?
町民達がそんな事を話していると、そこへ自転車に乗った赤毛の少女がやって来た。
少女の名は、東郷海斗。
二月前に病気療養の為東京から北海道・函館からやって来た伯爵令嬢だった。
―あの子、確か鬼憑きの・・
―目を合わせては駄目よ、頭から喰われてしまうわよ。
海斗の姿を遠巻きに見ながら、町民達はそんな事を囁いていた。
(言わせたい奴には言わせておけばいい。)
海斗がそんな事を思いながら自転車を走らせていると、後方から悲鳴が上がった。
「退けぇ!」
海斗が背後を振り返ると、そこには血走った目で自分を睨みつけている男の姿があった。
「待て!」
海斗が呆然と立ち尽くしていると、突然男の足元に何かが突き刺さった。
「怪我は無いか?」
「はい。」
「そうか、良かった。」
そう言って海斗に微笑んだのは、右目に眼帯をつけた男だった。
(素敵な人だったなぁ・・)
海斗がそんな事を思いながら女学校の門をくぐると、丁度始業の鐘が鳴った。
「また遅刻ですね、東郷さん。」
「申し訳ありません・・」
「次からは気をつけなさい。」
「はい・・」
周囲の生徒達から冷たい視線を浴びながら、教室に入った海斗は自分の席に着いた。
「はぁ・・」
これで何度目の溜息だろう。
海斗は人気のない女学校の近くにある神社で、弁当を食べていた。
家族が暮らす東京から遠く離れた北の大地へ、彼女が来たのは、彼女の“ある秘密”の所為だった。
―薄気味悪い・・
―あの人が、“鬼憑き”というのは本当なの?
教室の片隅の席で座っているだけで、海斗は心無い級友の声を聞くのが嫌で堪らなかった。
(俺だって、こんな力好きで持ったんじゃない!)
“鬼憑き”―それが、海斗が持っている“秘密”の力だった。
彼女には、“人ならざるもの”が視えるのだった。
海斗が弁当を食べ終え、女学校へと戻ろうとした時、誰かが彼女の髪に触れた。
「お前さんが、俺の花嫁か?随分と可愛いじゃないか。」
彼女が振り向くと、そこには金髪碧眼の美男子―九本の尻尾を生やした妖狐が立っていた。
(九尾の狐だ・・初めて見た。)
「あんた、誰?」
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