先週紹介した質問の一覧です。
質問設計の基本となるのは、状況質問、問題質問、示唆質問および解決質問です。
事例を参考に、しっかり準備をして、面談よりも難しいウエブ会議等の準備をしましょう。
まずは、質問設計の事例をみていただきましょう。
例えば、LEDメーカーへウェハの検査装置の紹介に行った時の質問設計の例です。
① (状況質問)「最近、他社で耳にするマイクロパイプの問題を貴社ではどのようにして見つけていますか」
<業界情報を使って切り込みます。しかし、実際にはこの会社でどのようにマイクロパイプの問題が扱われているか事前に調査をしておきます。>
予想回答:「顕微鏡を使って目視検査をしていますよ。全数はできないので、サンプリングベースでね」
② (問題質問)「マイクロパイプの問題は、歩留まりにどの程度の影響を与えていますか」
<目視検査でしかもサンプリングベースでは、100%この問題を見つけることはできないという前提での質問です。問題の程度を数字で表せるように質問します。>
予想回答:「前よりも良くなったけど2%くらいかな」
<もちろん、数字で回答してくれない場合もあります。その場合は示唆質問を変えます。>
③ (示唆質問)「貴社の生産量からいうと年間x億円のロスですね」
<事前に生産量を推定できるように情報を仕入れておき、②の回答ベースにロスを計算します。問題質問に対して数字で答えてくれない場合は、「歩留まりに2%影響しているとすると年間でx億円のロスですね」と質問します。
具体的に数字で表現し、事態の深刻さを印象付けます。同時にソリューションのコストとの比較も可能となります。すなわち、ロスの大きさとソリューションとしての検査装置の価格の比較ができるようにすることです。>
予想回答:「確かにでかいロスだね」
④ (解決質問)「工程Aの終わりで全数検査してはいかがでしょうか」
<問題の深刻さを知った顧客はどう反応するでしょうか。無視することはできないはずです。決定権のある人なら営業ステップを一つ進める決断をするはずですね。このため、決断のできる人、キーパーソンを会議に呼ぶ必要があるのです。>
予想回答:「検査装置の検査データを見せてくれますか」あるいは「検査装置はいくらくらいですか」
このように営業は、状況質問を使って、背景となる情報をつかみ、問題質問を使って顧客の潜在ニーズを見つけ出し、示唆質問を用いて、顧客に問題の重要性を認識させ、解決質問で顧客の顕在ニーズを引き出し、顧客自身の口で求めているものの効用を語らせ、商談成立へと誘導します。
このような質問設計は、コンプレックスセールス以外でも役立つことが分かっています。
以下は、私が所属するNPOが行っている「障がい者によるお墓掃除」の事業を依頼する事例です。
ある福祉施設の施設長さんから紹介を受け、別の施設(F園)の施設長さんに事業を紹介にいくことになりました。この活動の背景には、多くの福祉施設で、そこに通う障がい者(利用者様といいます)の工賃が極めて低く、それを向上させる必要があるという事情があります。工賃は、サラリーマンの月給と考えていただければよいです。利用者様は、施設でクッキー作りや組み立て作業などを行い、代価として工賃を貰いますが、全国平均で月に1万2千円程度。とても自立できる金額ではありません。
① (状況質問)「工賃向上はF園の利用者様にとても重要ですね」
<「障がい者による墓掃除」の説明をした後での質問です。どの福祉施設も工賃向上の必要性を認識していることが前提です。>
予想回答:「私も日々努力して工賃向上に努めているところです」
② (問題質問)「東京地区の工賃の平均はXXXX円だそうですが、F園では今、一人あたりの工賃は平均でどのくらいでしょうか」
<事前調査でF園の工賃は平均以下であることが分かっています。その上での質問です。>
予想回答:「YYYY円です」
③ (示唆質問)「墓掃除の事業をやればZZZZ円まで上げられますね」
<ここはコンプレックスセールスとは異なるところです。福祉施設は、利用者様一人当たりXX万円の補助金がでており、極端なことを言えば、何もしなくてもいいのです。つまり「深刻度」を上げることは困難です。>
予想回答:「そうですね」
④ (解決質問)「私自身も来園してお手伝いしますので、トライアルにはご参加いただけますか」
<私自身も来園してお手伝いすることで、実行することの面倒くささの障壁をさげることができます。>
予想回答:「何か準備するものはありますか」
こうなれば一歩前進ですね。
コンプレックスセールスではなくとも、質問を用意して会議に臨めば、成功する確率はかなり高くなるということが判ると思います。
いずれにしても、よい質問は、顧客と話している最中に急に思いつくものではなく、あらかじめ準備に準備を重ねて用意するものです。また、訓練を重ねることにより、優れた切り口の質問を用意できるようになります。
次回は各質問の使用上の留意点について説明いたします。
質問設計の基本となるのは、状況質問、問題質問、示唆質問および解決質問です。
事例を参考に、しっかり準備をして、面談よりも難しいウエブ会議等の準備をしましょう。
まずは、質問設計の事例をみていただきましょう。
例えば、LEDメーカーへウェハの検査装置の紹介に行った時の質問設計の例です。
① (状況質問)「最近、他社で耳にするマイクロパイプの問題を貴社ではどのようにして見つけていますか」
<業界情報を使って切り込みます。しかし、実際にはこの会社でどのようにマイクロパイプの問題が扱われているか事前に調査をしておきます。>
予想回答:「顕微鏡を使って目視検査をしていますよ。全数はできないので、サンプリングベースでね」
② (問題質問)「マイクロパイプの問題は、歩留まりにどの程度の影響を与えていますか」
<目視検査でしかもサンプリングベースでは、100%この問題を見つけることはできないという前提での質問です。問題の程度を数字で表せるように質問します。>
予想回答:「前よりも良くなったけど2%くらいかな」
<もちろん、数字で回答してくれない場合もあります。その場合は示唆質問を変えます。>
③ (示唆質問)「貴社の生産量からいうと年間x億円のロスですね」
<事前に生産量を推定できるように情報を仕入れておき、②の回答ベースにロスを計算します。問題質問に対して数字で答えてくれない場合は、「歩留まりに2%影響しているとすると年間でx億円のロスですね」と質問します。
具体的に数字で表現し、事態の深刻さを印象付けます。同時にソリューションのコストとの比較も可能となります。すなわち、ロスの大きさとソリューションとしての検査装置の価格の比較ができるようにすることです。>
予想回答:「確かにでかいロスだね」
④ (解決質問)「工程Aの終わりで全数検査してはいかがでしょうか」
<問題の深刻さを知った顧客はどう反応するでしょうか。無視することはできないはずです。決定権のある人なら営業ステップを一つ進める決断をするはずですね。このため、決断のできる人、キーパーソンを会議に呼ぶ必要があるのです。>
予想回答:「検査装置の検査データを見せてくれますか」あるいは「検査装置はいくらくらいですか」
このように営業は、状況質問を使って、背景となる情報をつかみ、問題質問を使って顧客の潜在ニーズを見つけ出し、示唆質問を用いて、顧客に問題の重要性を認識させ、解決質問で顧客の顕在ニーズを引き出し、顧客自身の口で求めているものの効用を語らせ、商談成立へと誘導します。
このような質問設計は、コンプレックスセールス以外でも役立つことが分かっています。
以下は、私が所属するNPOが行っている「障がい者によるお墓掃除」の事業を依頼する事例です。
ある福祉施設の施設長さんから紹介を受け、別の施設(F園)の施設長さんに事業を紹介にいくことになりました。この活動の背景には、多くの福祉施設で、そこに通う障がい者(利用者様といいます)の工賃が極めて低く、それを向上させる必要があるという事情があります。工賃は、サラリーマンの月給と考えていただければよいです。利用者様は、施設でクッキー作りや組み立て作業などを行い、代価として工賃を貰いますが、全国平均で月に1万2千円程度。とても自立できる金額ではありません。
① (状況質問)「工賃向上はF園の利用者様にとても重要ですね」
<「障がい者による墓掃除」の説明をした後での質問です。どの福祉施設も工賃向上の必要性を認識していることが前提です。>
予想回答:「私も日々努力して工賃向上に努めているところです」
② (問題質問)「東京地区の工賃の平均はXXXX円だそうですが、F園では今、一人あたりの工賃は平均でどのくらいでしょうか」
<事前調査でF園の工賃は平均以下であることが分かっています。その上での質問です。>
予想回答:「YYYY円です」
③ (示唆質問)「墓掃除の事業をやればZZZZ円まで上げられますね」
<ここはコンプレックスセールスとは異なるところです。福祉施設は、利用者様一人当たりXX万円の補助金がでており、極端なことを言えば、何もしなくてもいいのです。つまり「深刻度」を上げることは困難です。>
予想回答:「そうですね」
④ (解決質問)「私自身も来園してお手伝いしますので、トライアルにはご参加いただけますか」
<私自身も来園してお手伝いすることで、実行することの面倒くささの障壁をさげることができます。>
予想回答:「何か準備するものはありますか」
こうなれば一歩前進ですね。
コンプレックスセールスではなくとも、質問を用意して会議に臨めば、成功する確率はかなり高くなるということが判ると思います。
いずれにしても、よい質問は、顧客と話している最中に急に思いつくものではなく、あらかじめ準備に準備を重ねて用意するものです。また、訓練を重ねることにより、優れた切り口の質問を用意できるようになります。
次回は各質問の使用上の留意点について説明いたします。