高校生だった頃ギターの上手い友人に
どういう練習をしているのかと訊いたら
「成毛滋のラジオを聞いている。」
と教えてくれた。
土曜深夜の30分番組を毎週欠かさず
聞いた。
そのラジオの主、Dr.シーゲルこと
成毛滋さんの話は衝撃的で
「ギター雑誌に書いてあることは
デタラメです。絶対に信用しては
いけません。」
「悪徳楽器屋は音のいい真空管アンプ
が売れると他に何も売れないので音の
悪いトランジスタアンプを売って他に
ディストーションやコンプレッサー
などを次々と売りつける。」
など世の中の裏を暴く
正義の味方のように聞こえた。
そのラジオから聞こえる成毛さんが勧める
プリアンプ真空管式ギターアンプH&M
30のサウンドはいままで自分の出して
いたトランジスタアンプの音とは全く違う
レコードから聞こえるギターヒーロー達の
出す音にそっくりのサウンドだった。
今聞いてみるとプリアンプは真空管式
でもパワーアンプがトランジスタ式である
H&Mのサウンドはベストとは言い難いの
ですが当時の自分の耳には今まで身近に
聞いたことがないサウンドだったのです。
成毛さんの話が全て正しかった訳では
ありませんが何も知らない小僧だった僕に
“世の中の情報には嘘や間違いが沢山ある”
ということを教えてくれたことは確かです。
成毛さんは2年前の今日まだ60歳の若さ
でこの世を去りました。
僕が今までずっとギターを弾いてきて
一度も腱鞘炎など腕のトラブルを起こした、
ことがないのも成毛さんの勧めるミディアム
スケールのギターを使い続けているから
かも知れません。
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