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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 その251 「若手のアイデアと熟練の技で革新を生み出す2」 ~人材育成にもつなげる戦略とは~

2018-10-30 08:16:12 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 その251 「若手のアイデアと熟練の技で革新を生み出す2」 ~人材育成にもつなげる戦略とは~


ターゲットは、老若男女問わずよく食べるカレーに定めました。

全日本カレー工業協同組合の試算では日本人一人あたり年間50皿も食べると言います。

それだけスプーンを使う頻度も高いと判断したのです。

「新しいカレー専用スプーンを作る」

開発が始まったのは2015年でした。

担当者が東京屈指のカレー激戦区と知られる神田と神保町の有名店を何十軒も食べ歩きました。

店内でカレーを食べる様子を観察し、望むスプーンの形を聞き取っていったのでした。

「若手の開発者は何度も出張しカレーを食べ続けて体重が増えたが、おかげでどんな商品が求められているのかがわかった」と言います。

こうしてユニークなカレー専用のスプーンのアイデアが固まったのです。

ところが、先端部分が非対称でヘラ状になるなど、形状が複雑なスプーンで、設計や金型作りはとても難しかったようです。

しかし、そこは長年培ってきた金属加工のノウハウがある山崎金属工業の事です。

熟練した技能を持つ、職人が開発担当者と議論を繰り返し、具材を切りやすい一方で安全で、カレールーとご飯をすくいやすいスプーンの仕様を固めていきました。

こうして完成したカレー専用スプーンは、発売前から注目を浴びたのです。

まず会社の記念品にする洋食器を探しに来た大手メーカーの担当者が、カレー専用の機能と高級品と変わらない研磨回数で磨きこんだ渾身のスプーンに惚れ、すぐに3000本を注文したと言います。

さらにケータリングでカレーを食べる事の多いSUBARUのレーシングチームの目に偶然とまり、チームロゴを刻印した商品に採用されました。

カレー専用というユニークさが発売前から話題になってSNSなどで情報が拡散していったのです。

昨年の7月31日の発売後にはテレビなどのメディアでも取り上げられ、商品は飛ぶように売れていきました。

カレーというと国内をイメージしますが、実は以外なニーズがありました。

シンガポールのチキンライス用に出来ないかと商談が入ってい来ているといいます。

人気の高まりを受け、若手社員の士気も向上していると社長は喜びます。

カレー専用ではなく、洋食器を再発明するぐらいの次のアイデアが若手からどんどん出て来ているというのです。

現在、山崎金属工業ではユニークな機能とデザインを両立させる洋食器プロジェクトが複数進んでいます。

こうした取り組みは人材不足の解消にもつながりそうです。

山崎金属工業は研磨などで高い技術を誇りますが、高齢化が進んでいます。

定年を60歳から65歳に延長するなどしていますが、数十年先までその職人が現役でいる事はありえません。

面白い取り組みをしている会社という評判がたてば、自然と若者が集まって来るのではないかと、期待しているようです。


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