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マーケティング研究 他社事例 765 「本当にESGを経営の中心に据えていますか?1」 ~手段を選ばない認知症患者への貢献~

2021-03-08 09:32:29 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 765 「本当にESGを経営の中心に据えていますか?1」 ~手段を選ばない認知症患者への貢献~


『Creating Shared Value(共有価値の創造)』

エーザイは、以前から注目している会社です。

患者が発する暗黙知(簡単に言葉で説明できないこと等)を社員間で共有する取り組みや、クリエ―ティング・シェアード・バリューを経営に積極的に取り入れているからです。

そんなエーザイは、ESGにも積極的です。

2020年8月7日、アメリカ食品医薬品局(FDA)はエーザイがバイオジェン(アメリカ)と世界で共同開発しているアルツハイマー病治療薬候補、アデュカヌマブの承認申請を受理したと発表しました。

両者の株価はその直後にそれぞれ一時15%、12%上昇し、人類共通の敵であるアルツハイマー病克服への光明に、投資家から期待の声があがった事を示しました。

エーザイが世界に先駆けて供給したアルツハイマー病治療薬、アリセプトは10年前にアメリカでの特許が切れました。

その後、症状を抑えるアリセプトと異なり、進行を遅らせるという、これまでにない作用が望めるアルツハイマー病薬の開発に取り組んで来ました。

FDAが実際に承認するかどうかはまだ分かりませんが、それでも開発に成功すれば年間売上高を1兆円と予想する声もあります。

治験が不調だったと公表した2019年3月にエーザイの株価は急落し一転して「データを精査した結果、有効性が認められた」と開示した2019年10月には急騰しました。

アデュカヌマブがエーザイの未来を決めると市場はみていますが、同社はその成否と関係なくアルツハイマー病と向き合い続けると言います。

華々しい治療薬開発の裏で進めるアルツハイマー病への取り組みは、ESGを体現するような、社会性の高いモノです。

「患者に寄り添い、課題解決に貢献できることがあるなら、手段を選ばずに貢献していきたい」

エーザイ幹部は語ります。

2020年7月、エーザイは歩数と睡眠、体重、食事などを記録し、生活習慣の改善を提案するとして認知症に備える為のスマホアプリ『Easiit(イージット)』を提供し始めました。

また、2020年3月にはオーストラリアの医療機器メーカーのコグステートが欧米で認知症診断用機器として販売しているコグニグラムを日本に持ち込み、自治体や企業に販売を始めました。

日本ではこのシステムを医療機器ではなく、脳の健康度をセルフチェックするツールとして提供しています。

医薬品の研究開発や製造、供給とは関係がなさそうなこうした取り組みは、2010年に開始した地域連携協定に端を発し、全国の自治体と協定を結び、本社から全国の市区町村にスタッフを派遣して、地域における認知症予防などの取り組みを支援してきました。

現在は、全国170の自治体と協定を結び、市民向けに脳の健康度のテストを実施したり、体操教室を開いたりしています。

脳の健康度のセルフチェックツールやイージットはこの協定から派生してきたものですが、連携協定自体は単なる社会貢献活動のようにも映ります。

この取り組みを投資家はどう見ているのでしょうか?

「企業価値向上につながらない社会貢献は議論する意味が乏しい」

あるアナリストな言います。

一方でエーザイを評価するアナリストは「地域連携協定などの認知症関連の活動はうまく展開出来れば将来の企業価値につながるかもしれないという点で評価できる。もっと力を注いでも良いのではないか」とも語ります。

(続く)



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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/

成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 





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