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マーケティング研究 他社事例 769 「なぜ行くのかを考える」 ~外食産業の明暗くっきり~

2021-03-12 13:22:56 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 769 「なぜ行くのかを考える」 ~外食産業の明暗くっきり~


「これからの外食は食べたいものが明確な『目的来店』を意識する必要がある」

2020年11月、すかいらーくホールディングスのオンライン決算会見で、谷会長兼社長は語りました。

ファミレスや居酒屋チェーンのトップは異口同音のようです。

「目的来店を促進するためにも高付加価値のセットメニューをアピールする」

「焼肉など特定の料理を食べるという目的来店は強い」

ファミレスや居酒屋はいまだにコロナの影響が強く、ワタミの2020年4~9月期の連結最終損益は71億円の赤字でした。

同様に、ロイヤルホールディングスも2020年12月期に280億円の最終赤字を見込み、12月に全社員の1割弱に当たる200人の希望退職を募りました。

すかいらーくホールディングスは2021年末までに不採算店を中心に200店舗を閉めます。

対照的に好調なのがファーストフードと回転ずし、焼肉などの特定ジャンルの料理を提供する業態です。

マクドナルドの2020年既存店売上高は3月と6月を除いて前年を上回りました。

客単価が上がり、客数減を補っている格好です。

モスバーガーもまとめ買いをするファミリー層の持ち帰り需要をつかんでいます。

回転ずしチェーン最大手のスシローグローバルホールディングスの2020年9月期の売上収益は過去最高の2049億円で前の期比2.9%増えました。

「役肉キング」などを展開する物語コーポレーションは焼肉部門の既存店売上高が6月以降、8月を除いて前年実績を超えています。

回転ずしや焼肉は来店客の食べるものがあらかじめ決まっているので、家で作るのが面倒という消費者に訴求しやすいと言えます。

多くの消費者が「なぜ外食に行くのか」を意識するようになり『なんでも屋』や『総合外食』と言えるファミレスや居酒屋は劣勢に立たされており、コロナによる外出自粛でデリバリーサービス、テイクアウトが広がりました。

『総合外食』でも看板メニューがあればお客様は来ますが、苦戦している業態はそうしたメニューの磨き上げが弱いという実態を現す事になりました。

苦境に陥った大手は専門性の高いブランドへの業態転換を急いでいます。

すかいらーくHDはファミレス「ジョナサン」約70店舗の見直しを進め、多くをカフェチェーン「むさしの森珈琲」やハワイアンダイニング「ラ・オハナ」などに変更します。

「夢庵」や「藍屋」では、これまで取り扱っていなかったすし商品を導入し、ワタミは2022年3月までに『ワタミ』ブランドの居酒屋約330店舗のうち120店程度を焼肉業態「焼肉の和民」に切り替えます。

ワタミの渡邉会長は「レッドオーシャンだが、市場の拡がりが期待できる」と話します。

こうした専門性のある業態には強力な先行者がいます。

「焼肉業態は既存チェーンのブランドが強い。簡単には割り込めない」と大手焼肉チェーン幹部はほくそ笑みます。

『牛角』との客の奪い合いも始まるのは容易に予想できますし、大手外食が業態によりすみ分けることもあった時代から、正面からぶつかるしかない時代へシフトして来ました。

大手外食チェーンと言えど、味と接客、価格といったすべての面で実力を示さないと生き残れないのではないのでしょうか。


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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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