【パリ五輪】体操ニッポン金メダル絶望的状況から中国を3.267点差大逆転 橋本「あきらめなくてよかった」2大会ぶり団体王座奪還
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https://news.goo.ne.jp/article/hochi/sports/hochi-20240729-OHT1T51093
※以下、引用です。
◆パリ五輪 第4日 ▽体操男子 団体決勝(29日、ベルシー・アリーナ)
男子の団体決勝で、予選2位通過した日本は、259.594点で金メダルを獲得。2016年リオ五輪以来、2大会ぶりに団体で五輪王者に返り咲いた。予選首位通過した最大のライバル・中国との一騎打ちを制し、王座奪還を果たした。
橋本大輝は「あきらめなくてよかった。この金メダルをとれて本当によかった (金メダルは)めちゃめちゃ重い」と語った。
最大のライバルの中国と同じローテーションで演技を行う日本は1種目目の床運動で中国を0.734点リードしたが、2種目目のあん馬で、エースの橋本が落下。前半の3種目を終え、中国が131.364で首位。2位に米国、3位に英国、4位にウクライナと続き、日本は5位で折り返した。
4種目目の跳馬では橋本が14.900の高得点をマークするなど4位に浮上。首位の中国との差も1.799点に詰めた。5種目目の平行棒では、4種目で最初の演技者を務めた萱が14.733、岡が14.866、谷川が14.766と立て続けに14点後半をマークして2位に浮上。中国とは3.267点差に広がって迎えた最後の鉄棒で、中国がまさかの2度の落下。最後に橋本が14.566点をたたき出して逆転。劇的な展開で2大会ぶりの優勝を果たした。
前回21年東京五輪は、ROC(ロシア・オリンピック委員会)に0.103点差で敗れて銀メダル。悔しさを知る主将の萱和磨(セントラルスポーツ)は「1秒たりとも0.103っていうのは忘れてはいない3年間だった」と言う。同じく前回出場した谷川航(セントラルスポーツ)も「『今日あんまり動けないな』という日も、それで(悔しさを思い出して)気合いを入れた。失敗しないだけじゃダメ。自分の一番いい演技を目指さないといけない」と3年前の思いを胸に刻み、パリ五輪まで鍛錬した。
“前哨戦”の2023年世界選手権では日本が団体金メダルを獲得。だが、中国は同時期に開催されていた杭州アジア大会にメインメンバーを派遣していた。本当の意味での「直接対決」はパリ五輪で実現。一方の中国も2016年リオ大会、21年東京大会と連続銅メダルで、パリまでに世代交代を遂げながら進化。「体操王国」のプライドに懸け王座奪還に力を注いできた。
中国は「一つ一つのポテンシャルはおそろしいくらい高い」と水鳥寿思・強化本部長。特に日本の弱点・つり輪に精鋭がそろい、平行棒では異次元の16点台を出すスペシャリストもいる。だが、エース・橋本大輝(セントラルスポーツ)は「僕はデータが大嫌い。選手の可能性を閉じてしまっている。多分、この5人だったら『そんな目標数値全部超えてやるよ』って気持ちで僕はやってる」。
日本は層の厚さとチームワークを最大の武器に中国に対抗。世界トップレベルの選手がそろう「過酷な選考会」を勝ち抜いた5人は、「すごく信頼している」と萱は胸を張る。水鳥氏も「ベストなメンバーが選考された。十分金メダル取れると思う」と自信を持った日本代表が完成した。
個人総合世界王者の橋本、安定感抜群で“失敗しない男”として頼れる主将の萱、跳馬で世界トップクラスの実力を持つ谷川、「日本の宝」として無限大の可能性を秘める岡慎之助、あん馬と鉄棒が武器な大型選手で、遅咲きながら努力で五輪切符を得た杉野正尭(ともに徳洲会)。それぞれの持つ強烈な個性が一つとなり、悲願の団体金にたどり着いた。
パリ五輪を迎えるにあたって掲げたスローガンは「メークニューヒストリー」。水鳥氏は「体操はすごい歴史があるが、僕たちは僕たち。『僕たちにしかできない体操ニッポンっていうのを見せたい』っていうような話があった」と明かす。ここはまだスタートライン。再び、体操ニッポンの黄金時代を築き上げる。
「諦めなければ道が開ける」と口で言っても現実には非常に難しいことです。不調のエースをメンバーがカバーして支え合って辿り着いた頂点を「奇跡の大逆転」とは簡単に言えないほどのドラマを見せていただきました。中国選手がミスをしたときに大きな落胆を態度に出してしまう控え選手の姿と、ミスしたらそれ以上に盛り上げ鼓舞しようとする日本の姿の違いが最後の最後でのどんでん返しを演出したのではないでしょうか?
かつて世界を席巻した体操日本は「ミスをしない正確な体操」を武器に連勝記録を伸ばし続けました。ルールが変わりミスをしないだけの体操では勝てなくなってきたときに、低迷期を迎えた日本が復活の狼煙を上げる根底にあったのが「巨人の星」と「虎の穴」だと思っています。日本の選手が世界を制する為に必要なものが「巨人の星」と「虎の穴」だという説は10年以上前から語られていました。
「巨人の星」型とは、ご存知の通り星一徹が鍛えた飛雄馬のように、幼少期から親が営む体操クラブなどで親子鷹で鍛えられた子供たちが世界に羽ばたき活躍するストーリーです。体操競技や卓球などがその典型例とされていました。
「虎の穴」型とは、秘密組織とは言わないまでもある限られた学校やクラブで共同生活しながら徹底的に鍛え上げられた選手たちが世界を制する姿のことで、女子レスリングがその典型的な形とされていました。
日本のスポーツ形態は良し悪しはあるにせよ親の影響を強く受けています。それが美談になるのは成功した時だけですが、概ねそれは肯定されてきました。体操ニッポンの復活には強く「巨人の星」型を感じてきましたが、近年では「虎の穴」タイプの選手の活躍も顕著になって来ました。その理想的な融合がパリでの金メダルに繋がったとしたら喜ばしいことと思います。
中国は徹底的なスペシャリスト養成で団体金メダルを狙ってきました。日本は2人のオールラウンダーを中心に見事な融合でそれに打ち勝ちました。「世界一美しい体操」はまだまだ世界の頂点に立てる力を持っていると証明できたことが嬉しい限りですね。
個人的には、岡慎之助に森末さんに続く岡山勢2人目の個人種目金メダリストを目指して個人総合に挑んで欲しいと思っています。
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