ネットで叩かれまくった“制服でマスク作り”の真相をJAL社員が告白…
自発的に動いた企画なのでネタにされたのは心外
コロナ禍で航空会社は大幅な運休が続き、厳しい経営が強いられている航空業界。緊急事態宣言発令中の5月には、JALのCAがマスクを手作りして大田区の保育園に寄付したというニュースが流れた。マスク不足が叫ばれていた時期だったので賞賛の声があがる一方、ネット上では「わざわざ制服を着させているのは違和感」「なぜ女性だけなの?」という批判も多くあった。
しかし、「実はあの取り組みはJALの若手、中堅社員から出た案だったんですよ」と筆者に教えてくれたのはJALでCAとして働く6年目の佐々木遥さん(仮名・27歳)。彼女も、実際にマスク作りに携わったひとりだ。 「あの“マスク企画”は、10年目くらいの社員が『こういう時間があるときこそ、マスクを手作りして地域に貢献してはどうか』と言い出して始まったんです。JALのハンカチが大量に余っていたので、それを有効活用して地域に貢献しようという提案でした。上から無理やり何か指示されたわけではなかったので、ああいった批判は悲しかったですね」(佐々木さん)
マスク作りでは600人近い客室乗務員が作業をしたという。Twitterでネタにされた“制服でマスクを作っている場面”は報道用に撮ったものだそうだ。 「大半の人は家で作業していましたね。私は作業に参加していないんですけど(笑)」(佐々木さん)
JALは“奉仕”の精神が強い社員が多い
マスク企画以外にも、JALでは従業員が発案した企画がいくつか行われている。 「社員発案の企画の1つは“メッセージカード”です。到着や出発するお客様の手荷物に『JALをご利用いただきましてありがとうございます。コロナが終わったらまた利用してください』という内容の手書きのメッセージカードを一人一人に付けました。ほかにはフェイスシールドを作成や、パイロットはYoutubeで航空教室を行っています。わりとみんな、何ができるかを従業員一人一人が考えて実行している気がします」(佐々木さん)
メッセージカードの企画は、「手書きだからこそのあたたかみが伝わると利用者からの反響が大きかった」という。また、在宅勤務の時間には接客や語学、ワイン検定など、普段の仕事で役立つ知識を勉強している。 「JALは“コツコツとお客様のために考えて実践していく”という社風があって、それを素直に受け止めている人が多い印象がありますね。それを上層部がサポートしてくれる形というか。この間も社長と副社長が羽田空港に来てくださって『君たちの給料と家族の生活は、会社が保証する』と直接声をかけてくださったのは、ありがたかったです」
ANAは気づいたら上から指示がある
JALの制服マスク作成ニュースにやや先んじてANAも、CAが医療用ガウンの縫製を支援するという報道があった。これにもSNSでは「時代錯誤だろ」「戦前の考え方過ぎてキモい」などと批判が噴出。「社員としては報道もネット上の反応も冷静に見ていました」と、ANAでCAとして勤務する小林文さん(仮名・27歳)は語る。 「あの“医療用ガウン企画”はもともと上層部が考えていたという噂です。一応、従業員にも“コロナの時期にできること”というテーマでアンケートが配られてはいましたが、上層部は初めから決めていたんだと思います。結果、4月から計4回程度、医療用ガウンの縫製をしていますが、3密にならないように参加者は30人くらいに限定していたようです。応募者は多数いたようですが、限られた人しか参加できなかったと聞きました」
JALと比べると早い時期に行われたものの、参加できる人数などには制限はあったようだ。また、ANA はCAの約8割に当たる6400人を対象に一時帰休させることを発表している。在宅勤務が休みが長引くことに不安はあるのだろうか?
在宅勤務が続くと「社会から必要とされているのか?」と不安になる
「在宅勤務が非常に増えましたし、ここまでお休みになったことがないので不安です。気持ちが落ち込んでいるので、『社会から必要とされていない仕事をしてたのかな?』と考えてしまうこともあります。あと、フライト手当てがつかなくなったので手取りがマイナス10万円になったのもつらいですね。家賃を払えば残りのお金が数万円になってしまう人も多いと思います。だから貯金はできなくなりましたね。ボーナスも減りますし……」
不安をぬぐうために最近、小林さんも資格の勉強を始めたという。 「CAってなかなかつぶしが効かない仕事なんです。辞めてもマナー講師くらいしか道がない。万が一クビを切られたときのために、ファイナンシャルプランナーなどの金融の勉強はしていますね」 華やかな印象のあるCAたちでも、コロナ禍での不安やストレスは相当なものだっただろう。大変な時期に、周りの人の心配をして社会貢献活動してくれていたことには、本当に頭が下がるばかり。この話を聞いたら、たやすく批判なんてできないはずだ。