7月1日からコンビニでプラスチック製レジ袋の有料化がスタートした。これはプラスチックごみ削減などに向けた取り組みで、容器包装リサイクル法の改正に伴い義務化されたものだ。 環境保全のためには素晴らしい取り組みなのかもしれないが、店員にとってはまったく歓迎できないことだった。レジのオペレーションがさらに面倒になってしまったのである。
7月1日よりコンビニでレジ袋が有料化(※写真はイメージです。以下同)
僕は普段、日雇い派遣の仕事をしているが、1日だけのコンビニバイトを探せるアプリを使ってときおりコンビニのバイトをしていた。レジ袋の有料化が始まった7月1日も都内のある店舗で働いていたのだが……。
聞かねばならないセリフが増えて大変
7月1日、レジでいつもどおりの要領で商品のバーコードをスキャンしていき、それからお客さんに訊いた。 「レジ袋はご利用ですか?」 「あ、そうか。今日から有料でしたね」 「はい、そうなんですよ。1枚3円です」 「お願いします」
僕はタッチパネル画面のレジ袋必要のボタンをタッチする。すると、合計金額に3円がプラスされる(※セブン‐イレブンは特大サイズが5円でそれ以下は3円、ローソンとファミリーマートは一律3円)。その金額をお客さんに伝え、商品をレジ袋に詰めていった。
今までですらレジ打ちのたびに毎回「ポイントカードはお持ちですか?」と訊かなくてはならないことにうんざりしていた。混雑時は尚更。塵も積もれば山となる。今後はそこへさらに「レジ袋はご利用ですか?」という質問も加わってくるのかと思うと、少し気が重くなった。
店側からも推奨オペレーションとして言われているから、いちアルバイトとしてはやらざるを得ない。
お客さんの声が聞き取れない

特に今の時期はお客さんにあまり質問したくなかった。コロナ対策のビニールカーテンとマスクの二重の壁のせいで、声の小さいお客さんだと返答が聞き取れないのである。この日もこんなことがあった。 「レジ袋はご利用ですか?」 僕のその質問にお客さんは答えるのだが……。 「いりま……」
蚊の鳴くような声なので、そのあとが「す」なのか「せん」なのかわからなかった。
マスクをしているので唇の動きで読み取ることもできない。が、微かに首を横に動かしたように見えたのでおそらく「いりません」と答えたのだろうと判断。レジ袋不要のボタンをタッチして商品をそのまま渡した。お客さんはそのあとなにも言ってこなかったが、本当にそれで正解だったのかあまり自信はなかった。
もっとも聞き取りが難しいのはコーヒーのサイズである。以前、コーヒーの注文を受けたときのこと。 「ホットコーヒーのエ……」 「はい?」 サイズが聞き取れなかったので訊き返した。 「ホットコーヒーのエ……」 「はい?」 「ホットコーヒーのエ……」
僕は困り果ててしまった。ホットコーヒーのSなのか、Mなのか、それともLなのか、二度訊き返しても聞き取れない。さすがに三度訊き返すのも気が引けた。そこで3分の1の確率の一か八かでホットコーヒーのLのボタンをタッチした。すると、お客さんは少しキレ気味のはっきりとした口調でこう言う。 「ホットコーヒーのSです!」
はじめからその声量で言ってくれればよかったのに……。
セルフレジをご利用ください!
現在42歳、主に日雇い派遣の仕事などで生活する筆者・小林ていじ(撮影/藤井厚年)
レジ袋の有料化でお客さんへの質問が増えるので、今後このようなちょっとしたトラブルはさらに起こりやすくなりそうな予感がする。これを少しでも防ぐいちばんの方法は、できる限りお客さんにセルフレジを使ってもらうようにすることである。
その日のバイト終了後、別のコンビニに客として入った。そこの店員はレジを打ちながら約20秒おきに「キャッシュレスでお支払いのお客様はセルフレジをご利用ください!」とひたすら連呼していた。僕はその店員に深く共感を覚えた。うん、わかる。すごくわかるよ。セルフレジを使ってもらいたいよね……。
コンビニのセルフレジの使用率は徐々に上がってきているように感じる。が、それでも頑なにセルフレジを使おうとしないお客さんも一定数存在する。現金で支払いたいとか(セルフレジでは現金を使えないので)、セルフレジがすべて埋まっているなどの理由で有人レジのほうに来るのならば理解できる。
しかし、キャッシュレスでの支払いで、セルフレジが空いていて有人レジのほうは列ができているにも関わらず、それでも有人レジのほうに来るお客さんも少なくない。本当にいったいどういうつもりなのだろうか。
今の時期、セルフレジはコロナ対策としても有用である。だから、頼むからセルフレジを使ってくれ……。そう願わずにはいられないのである。