血圧を下げる「ACE阻害薬」で脳内麻薬が増え幸せになれると判明!
血圧が下がるだけでなく、幸せにもなるようです。
米国ミネソタ大学(UMTC)の研究によれば、日本でも広く使われている血圧を下げる薬「ACE阻害薬」に、マウスの脳内麻薬の効果をブーストする効果が発見された、とのこと。
3/14/2022
同様の仕組みは人にも存在すると見られ、降圧剤(ACE阻害薬)の服用で、うつ状態から回復した事例が報告されています。
(※日本で使用されているACE阻害薬の具体的な名称は後述)
しかし、血管をリラックスさせて血圧を下げる薬が、なぜ脳内麻薬の効果をブーストしたのでしょうか?
研究の詳細は、2022年2月24日付で科学雑誌『Science』に掲載されています。
目次
- 血圧を下げる薬で「脳内麻薬」が増える
- 血圧の薬で「マウスの社交性」が向上した
血圧を下げる薬で「脳内麻薬」が増える
<img width="900" height="506" src="https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/03/f2ac49f188307c4ed9c3f4bccc31a6c5-900x506.jpg" class="attachment-mobile-full size-mobile-full" alt="1枚目の画像">Credit:オルガノン . 田辺三菱製薬 . アルフレッサファーマ . ナゾロジー編
高血圧は多くの人々にとって身近な病気です。
そのため薬の開発も盛んで、体のさまざまな部位に作用する降圧剤が存在します。
中でも血管をリラックスさせる効果がある「ACE阻害薬」は安全性が高く、多くの人々に処方されていました。
血管がリラックスして「ガバガバ」になると、少ない負荷(血圧)で全身に血を届けられるようになるからです。
【※日本ではレニベース(エナラプリル)・タナトリル(イミダプリル)・エースコール(テモカプリル)などの薬名で処方されています】
しかし近年の研究により、「ACE阻害薬」を投与された患者において、うつ病が改善したとする報告が行われるようになってきました。
マウスを強制的にうつ状態にする慢性社会的敗北ストレス実験でも、「ACE阻害薬」の投与によってマウスのうつが緩和することが判明しています。
【※これまでの研究で、脳の報酬系(快楽の発生源)に「ACE阻害薬」のターゲットとなるACEが豊富に存在すること自体は知られていましたが、何をしているかは不明でした】
そこで今回、ミネソタ大学の研究者たちは「ACE阻害薬」がどのように脳に作用するかを調査。
具体的には、マウスから摘出した脳を新鮮なうちにスライスし、「ACE阻害薬」に脳細胞がどのように反応するかを調べていきました。
その結果、脳において「ACE阻害薬」は、血管をリラックスさせる本来の機能とはまた別に、脳内麻薬「エンケファリン(MERF)」の分解を防いでいることが判明したのです。
エンケファリンは、モルヒネやアヘンと同じように、脳内のモルヒネ受容体(オピオイド受容体)に結合して、鎮痛効果をはじめとした精神作用を与える上、麻薬と違って依存性がありません。
つまり、降圧剤である「ACE阻害薬」を服用するだけで、脳内では依存性のない麻薬成分が増加し、苦しみを和らげ幸せにしてくれていたのです。
うつ状態の人間やマウスに「ACE阻害剤」を投与すると症状が緩和するのも、同様のエンケファリン濃度の増加による苦しみの緩和のためだと考えられます。
ところが「ACE阻害薬」が脳に与える恩恵はそれだけではありませんでした。
血圧の薬で「マウスの社交性」が向上した
本研究により、「ACE阻害薬」が脳内麻薬を増やす効果が確認できました。
しかしこれはスライスされた脳から得られた実験結果です。
(※脳を摘出する過程でマウスは死んでいます)
そこで次に、研究者たちは生きているマウスの全身に「ACE阻害薬」を投与する実験を行いました。
すると、マウスの社交性が向上し、他のマウスと積極的にかかわるようになったのです。
また、あらかじめ「ACE阻害薬」を摂取していると、強力な麻薬として知られる合成オピオイド(フェンタニル)に対する依存性を起こしにくくなることが判明します。
研究者たちが原因を調べたところ、「ACE阻害薬」は脳内麻薬「エンケファリン」の濃度を高める一方で、ドーパミンによって作動する快楽回路(報酬系)の働きを抑え込んでいることが明らかになりました。
つまり「ACE阻害薬」は、脳の報酬系の一方を活性化しつつもう一方を抑制するという、アッパー系とダウナー系の働きを合わせ持った働きをしていたのです。
このアップ・ダウンの組み合わせにより「ACE阻害薬」は、快楽回路(報酬系)に依存性を生じさせず働かせることを実現していました。
研究者たちは「ACE阻害薬」を改良することで、通常の血圧の人に対しても使える、依存性のない抗うつ薬や社会性を改善する効果のある薬を開発可能だと述べています。
(注意:ACE阻害薬に抗うつ作用が報告されているのは事実ですが、過剰摂取は極度の低血圧を引き起こし命の危険につながります。
また本研究で確認された社会性の向上はマウス実験によるものです。降圧剤をオーバードーズして合コンに行くなど絶対にしてはいけません)
2022/04/12(火)
4月12日、鈴木俊一財務相は閣議後記者会見で、前日に円相場が一時1ドル=125円台後半に急落したことについて、「為替の安定が重要で、急激に変動することは望ましくない」「日本経済への影響を注視したい」と語った。
新型コロナ対策でもそうだが、「注視したい」というのは、本当に便利な言葉だ。そう言うと、なにかしているような印象を与えるからだ。しかし、政治家がこう言ったときは、実際にはなにもしないことのほうが多い。
中略
■トルコもやっているトンデモ金利政策
インフレが進んでいるのに、中央銀行が金融緩和を続けている国が世界でもう1カ国ある。トルコだ。
エルドアン大統領は、「インフレは金利を下げれば治る」というトンデモ理論を掲げ、過去2年半の間に3人の中央銀行総裁を解任した。そうして、無理やり金融緩和を続けてきた。
インフレを抑えるためには、金利を上げる。これが金融政策の常識で、逆に金利を下げるなど、あってはならないこと。しかし、エルドアン大統領は、頑として聞き入れなかった。
そのため、トルコのインフレはいまも止まらず、ウクライナ戦争勃発後はさらに進行した。トルコリラは下がり続け、昨年後半には1トルコリラ=15円前後だったものが、いま8円台まで下げている。
このままでは、円も同じ道を行くのは間違いない。
■日本が金融緩和をやめない理由とは?
いま進んでいる円安は、けっして日本経済にプラスにならない「悪い円安」である。円安が進めば、輸入物価の上昇を通じて原油や穀物など原材料コストの増加を招く。それは、めぐりめぐって企業収益を悪化させ、家計の負担を増大させる。日本経済をさらに衰退させる。
それなのに、なぜ、財務省、日銀は、円安を放置し続けるのだろうか?
その理由をひと言で言ってしまえば、日本の場合、国債発行額が大きすぎて、金利を上げられないからだろう。金利を上げれば、利払い費が一気に膨張し、財政がもたなくなる。量的緩和の手仕舞いは、財政破綻を招きかねないのだ。
ここでうがった見方をすれば、日本の量的緩和は、景気刺激策ではなく、金利抑圧政策だったのである。日本はこれまで、国債の利払い費を抑えるために、量的緩和によって金利をゼロにしてきたと言える。
アベノミクスの第一の矢である量的緩和は、景気をよくするために放たれたのではなかった。
■「弁当男子」が激増する時代になる
これもずばり指摘する声が少ないが、いまの日本は、明らかにスタグフレーションである。
政府は、ガソリンの販売価格の上昇を抑える原資として1リットルあたり25円を上限とした補助金を石油元売りに支給することにしたが、あっという間に上限に達してしまった。政府主導の春闘で、給料は上がる見込みだが、物価上昇はそれを上回る。
この先の日本は、物価が上がるのに、株価も給料も上がらないという「暗黒時代」に突入する。
そうなると、サラリーマンはワンコイン(500円)弁当でランチをすませようとするが、そんな価格の弁当はコンビニでも売っていない。そのため、「弁当男子」が激増するだろう。
また、アフター5に行く激安居酒屋も、いずれドリンク1杯が500円を超えてしまうので、週に1回がせいぜいになる。しかも、コンビニや居酒屋にいた外国人店員はいなくなるので、なにもかもセルフサービスで行うしかなくなる。
現在、1ドル=130円になるのではないか? 130円が攻防ラインのようなことを言っている専門家が多い。
しかし、130円ですら通過点で、いずれ1ドル=150円になるだろう。そういう「超・円安」時代の入り口に、いま私たちは立っている。