タイタニック潜水艇タイタンは前にも「行方不明」になっていた(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース
> タイタンに積まれた4日分(96時間)の酸素の残量は、日本時間の22日夕方にはゼロになる。奇跡の救出を信じて、必死の捜索が続く。
タイタニック潜水艇タイタンは前にも「行方不明」になっていた
6/22(木) 16:10配信
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<深海のタイタニック観光ツアーを体験したCBS記者も安全性に問題があることに気づいていたが、対策は取られなかった>
オーシャンゲート社が運営するタイタニック号観光ツアー中の潜水艇タイタン OceanGate Expeditions/REUTERS
大西洋の海底に眠る豪華客船タイタニック号の見学ツアーで消息を絶った潜水艇タイタンは、以前にも海上と連絡が取れなくなり、位置を確認できなくなったことがあった。昨年ツアーを体験したテレビの記者がこの問題を報告していたにもかかわらず、当時はほとんど注目されず、重大事故を招く結果となった。ソーシャルメディア上では、運航会社とメディアの責任を問う激しい批判の声が上がっている。
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タイタンは今月18日朝に通信が途絶え、位置を確認できなくなって4日経つ。懸命な捜索が続いているが、酸素は通常4日分しか搭載していない。

タイタンの船内
デービッド・ポーグ記者は昨年夏、CBSの番組のレポーターとして、深海探検専門のツアー会社、オーシャンゲートが所有し、運航するこの潜水艇に乗り込み、タイタニック号の残骸が眠る海底への潜航を体験した。 タイタンに乗り込んだポーグは潜水艇の頑丈さに疑問を持ち、その辺にある物で間に合わせる「急ごしらえの脆弱さ」があるのではないかとラッシュに問いただしたが、ラッシュはそれを真っ向から否定した。
記者の警告は生かされず ポーグはまた、乗客から聞いた話として、以前のツアーで通信が途絶え、2時間半にわたって海上と連絡が取れなくなったという体験談を伝えた。
ポーグが体験した時と同様、今回のツアーでも、タイタンを搭載した母船は、カナダ・ニューファウンドランド島から出航。米マサチューセッツ州ケープコッドから約1450キロの沖合で、タイタンを海中に投入した。だが今回は、海底まで半ばほど潜航した時点で通信が途絶え、母船はタイタンの位置を確認できなくなった。
タイタンには、乗員乗客5人が乗り込んでいる。乗員はオーシャンゲートのCEOであるストックトン・ラッシュ、フランス人操縦士のポール=アンリ・ナルジョレ、乗客はイギリスの億万長者で探検家のハミッシュ・ハーディング、パキスタンの実業家シャーザダ・ダウードとその息子のスールマンだ。 この5人の救出のタイムリミットが刻々と迫るなか、昨年11月に放映されたポーグ記者の体験レボートがなぜ事故防止に生かされなかったのか、ソーシャルメディア上で疑問の声が上がっている。
何度もあった通信途絶
「昨年夏の私の取材中にも、潜水艇は約5時間にわたって消息を絶ち、(緊急時に位置情報を発信する)ビーコンを搭載すべきだという話が出た」と、ポーグは6月19日にツイートした。 別のツイートでは、もう少し詳しく説明した。
「その日は私は潜水艇ではなく海上の母船の司令室にいた。母船から潜水艇に短いテキストを送ることはできたが、潜水艇の位置は確認できなかった。司令室内は静まり返り、異常に張り詰めた空気に包まれた。母船のインターネットは切断され、私たちはツイートできなくなった」
見逃された危険
ポーグはこの経験を通じて、潜水艇の安全性に大いに疑問を持ったと述べた。 あるユーザーは、「通信途絶のことはテレビで取り上げたのか」と、問いただした。「オーシャンゲートに運航停止を命じて捜査に入るべきだった」 こうした批判に対して、ポーグはこうツイートしている。
「確かに、危険な兆候は数々あった! だから番組でも、ポッドキャストでも、安全性と潜水艇の建造についてCEOを問い詰める一問一答に多くの尺を割いたのだが」
タイタンの安全性については、オーシャンゲートの元海洋事業の責任者が疑義を呈していたことが訴訟記録から明らかになっている。この元責任者は企業秘密の漏洩で同社から訴えられ、安全性の問題を指摘したために解雇されたと、逆に同社を訴えた(2 件の訴訟は2018年に和解で決着)。
ポーグは、タイタンには遭難時に捜索を容易にするビーコンが備え付けられていなかったと断言している。脱出用ポッドもなかった。これについて、本誌はメールで確認中だ。 タイタンに積まれた4日分(96時間)の酸素の残量は、日本時間の22日夕方にはゼロになる。奇跡の救出を信じて、必死の捜索が続く。
ジュリア・カーボナロ
>冷静に過去を振り返れば、1985年9月までは1ドル=200円台だった為替相場が、プラザ合意によるG5諸国(米英仏独日)の協調介入でドル以外の通貨の価値を上げることを決めた3カ月後には100円台となった。
6・28・2022

■ 日本が円買い介入を始めても円安は止められない

ごく最近、米国の大手ヘッジファンドのトップから「日本はなぜ円安を受け入れないのか?」と質問された。同時に彼は、「日米金利差が理由と言うが、それでは過去の円相場を説明できないではないか」として説明を求めてきた。
【写真】1985年のプラザ合意。この後、円相場は円高に大きく触れた。日本には、プラザ合意以降の円高バブルを終わらせるチャンスが到来している
この議論の顛末は最後に書くとして、参院選が始まって物価高が一つの争点となりつつある中、物価高の原因である円安問題を冷静に考える必要がある。つまり、「円安は悪なのか」であり、「円安の原因は日米金利差なのか」である。
本件は、日本銀行黒田総裁の「家計は値上げ許容度が高まっている」との発言が炎上したこともあり、日本国内外での注目度が高まっている。
しかし、過去の円相場の動きと日銀の為替介入等を振り返れば、今の円安は、インフレ対策で必死の米国がドル高を望んでいる以上、財務省財務官や日銀総裁が問題だと考えて円買い介入を始めても(および利上げを始めても)、止められるというものでもないことは明白である。
では、逆に円安を止める必要はあるのだろうか。物価上昇に対して打つ手とは何なのだろうか。本稿ではこれを考えてみたい。
■ 日米金利差と為替水準に相関はない
まず理解すべきは、日米金利差と為替水準に明確な相関はないということだ。
円相場の動く原因として「日米金利差」があるのは事実ながら、一般には為替トレーダー(ドル/円を売買して利鞘を稼ぐ人のこと)が自分たちのポジションを作る際、または利益を確定する際の理由として使うことが多い。メディアで一般的に使われるのは、インタビュー相手が為替トレーダーであることが多いからだと言われている。
しかし、それは円相場が上がったり下がったりするからであって、一本調子のトレンドの際に「日米金利差」を理由として使い続けることには無理があり、実際にもそうはしない。
また、経済理論として「金利と為替の二つを同時にコントロールすることは不可能」という考え方はあるが、例えば「日米金利差が1%開くと3円の円安が進む」というような相関があることを裏付ける理論はない。
さらに、1カ月ほど前に129円となった頃には、「日米金利差を考えれば130円程度が限界」という言葉がまことしやかにささやかれていた。それにもかかわらず、それから現在までに7円の円安が進んだことを考えれば、そこには何の根拠もなかったことが分かる。
加えて、冷静に過去を振り返れば、1985年9月までは1ドル=200円台だった為替相場が、プラザ合意によるG5諸国(米英仏独日)の協調介入でドル以外の通貨の価値を上げることを決めた3カ月後には100円台となった。
このように、米国の実質的な保護国として生きる日本の円相場は、米国発のイベントによって、連続性のない動きをしてきたという歴史がある。
つまり、円相場を見る際には、「日米金利差」などのように誰もが信じている話、あるいは米株の暴落のように市場を信じ込ませやすい話題は少なくないものの、別の動きの(しかも、それは金融・為替理論とは異なる経済分野の)話があることを忘れてはならない。