出していない人からの「年賀状」、どう返すのが正しい? “元旦”とあってもOK?
元日、自宅に届いた「年賀状」を読むのは楽しいものですが、自分が出していなかった人から届いて、「しまった!」と焦った経験のある人は多いと思います。すぐに返信を出したいところですが、年末に用意していた「元旦」と印刷された年賀はがきを出してもいいのでしょうか。また、里帰りや旅行で留守にしていて、1月4日や5日になって、自宅に着いた年賀状を確認した人は、どう対応すべきなのでしょうか。
【写真】「お年玉付年賀はがき」販売開始セレモニーに出席した大竹しのぶさん、生見愛瑠さんを見る
日本礼法家元で、令和椿和文化協会会長の椿武愛子(つばき・むつこ)さんに聞きました。
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日本礼法家元で、令和椿和文化協会会長の椿武愛子(つばき・むつこ)さんに聞きました。
1月8日以降は「寒中お見舞い」
Q.自分が年賀状を出していなかった人から年賀状が届いたとき、返信はどのようにすればよいのでしょうか。
椿さん「まず、松の内、つまり、1月7日までに相手へ届きそうな場合について、ご説明します。松の内の間であれば、年末に用意していた年賀状があれば、それに書いて出してよろしいです。『元旦』と入っていても構いません。年末、押し迫った時期や年始に年賀状を出す人もいるので、あまり気にする必要はないでしょう。
気を付けないといけないのは、目上の人から年賀状が来て、自分が出していなかった場合です。ついつい、『遅れて申し訳ありません』『早々のごあいさつありがとうございます』などと書いてしまいがちですが、目上の人には特に、そのような言葉を添えてはいけません。『目上の人に年賀状をもらってから、自分の年賀状を送った』ことを相手に示す形になるからです。
通常通り、『謹賀新年』、あるいは『新年のおよろこびを申し上げます』といったあいさつ文で、ひと言、『旧年中は大変お世話になりました』などと添えるとよいでしょう。友人の年賀状であれば、『早々のごあいさつありがとうございます』といった言葉を添えてもいいですが、特に入れなくてもかまいません」
Q.年賀状が相手に届くのが1月8日以降になりそうなときは、どのようにすればよいのでしょうか。
椿さん「1月8日以降の場合は『寒中お見舞い』になります。松の内を過ぎて、節分の前までに届くように出す場合は寒中見舞いです。寒い時季なので、相手の体調を気遣うという意味です。その際は事情を正直に話しましょう。『旅行していたので遅くなりました』、あるいは『家族で不幸がありましたので、年始のあいさつができませんでした』などです。
そして、『早々の年始ごあいさつをいただきまして、ありがとうございました』といった言葉も添えましょう。身内の不幸が続いたり、入院したりといった事情があって、大幅に返信が遅くなる場合、立春(2月4日の場合が多い)を過ぎるようでしたら、『余寒見舞い』になります。なぜ、今まで出せなかったのか、事情を書いた方がよいです」
Q.返信に年賀はがきを使ってもいいのでしょうか。
椿さん「松の内までは使って構いません。1月8日以降は寒中見舞いになりますので、通常のはがきか、郵便局でも売っている『寒中見舞い』用のはがきにしましょう。使い残しの年賀はがきは郵便局に行けば、手数料は少し必要ですが、通常のはがきと交換してくれますので、交換してから、寒中見舞いを出せばよいと思います」
Q.会社に届いた年賀状(宛名は個人名)の場合、到着を確認するのが1月4日以降となることが多く、6日や7日という人もいると思います。自分が出していなかった取引先から年賀状が届いていた場合、どのように対応すべきでしょうか。
椿さん「会社に届いた場合も、基本的には自宅と同様です。1月4日に気付いたのであれば、すぐに返信を出せば、松の内に間に合います。ですから、会社で用意している年賀状が使えるなら、そこに個人名を書いて出せばよいです。出勤が6日や7日からで、松の内に間に合いそうにない場合は寒中見舞いとして、はがきを出しましょう。
『出勤が7日からで、ごあいさつが遅くなり、大変失礼いたしました』といった添え書きをするとよいでしょう。ただ、会社でのことですから、上司と相談して、対応を決めてもよいと思います」
Q.喪中の人に対して、喪中と知らずに年賀状を出してしまい、相手から、寒中見舞いとして、「喪中でした」といった連絡が届いて訃報を知った場合、返信は必要でしょうか。
椿さん「おつきあいの深さによっては返信することが必要な場合があります。その際は、お悔やみの気持ちを込めて、返信しましょう。ごく普通のはがきでよいです。時候のあいさつなどは不要です。文面としては、例えば、次のような内容を縦書きで、つづります。
突然のご不幸に驚きました
存じ上げなかったとはいえ年賀状を出してしまい
大変失礼いたしました
どうぞお心を落とされないように
ご自愛くださいませ
さらりとした内容でよいです。簡潔にお悔やみの気持ちを伝えましょう」
Q.そのほか、年明けに年賀状を出す場合、注意すべきことがあれば教えてください。
椿さん「これは年明けに限らず、年賀状を出す際に注意すべきことですが、目上の人には『賀正』『迎春』といった略語は避けて、敬意を示す『謹』や『恭』の字が入った『謹賀新年』や『恭賀新年』、あるいは『あけましておめでとうございます』といった言葉を使いましょう。友人や目下の人には『賀正』『迎春』といった簡略化された言葉でもよろしいでしょう。
筆記用具はボールペンは避け、万年筆や筆ペンを使いましょう。年賀状の由来は、新年に親戚や先生、仲人さんたちにあいさつ回りをしていたものが、『お年始に伺えないので』、代わりに手紙を送るようになったことといわれます。大切な新年のあいさつですから、受け取ったら、なるべく早くお返事をしたいですね」
椿さん「まず、松の内、つまり、1月7日までに相手へ届きそうな場合について、ご説明します。松の内の間であれば、年末に用意していた年賀状があれば、それに書いて出してよろしいです。『元旦』と入っていても構いません。年末、押し迫った時期や年始に年賀状を出す人もいるので、あまり気にする必要はないでしょう。
気を付けないといけないのは、目上の人から年賀状が来て、自分が出していなかった場合です。ついつい、『遅れて申し訳ありません』『早々のごあいさつありがとうございます』などと書いてしまいがちですが、目上の人には特に、そのような言葉を添えてはいけません。『目上の人に年賀状をもらってから、自分の年賀状を送った』ことを相手に示す形になるからです。
通常通り、『謹賀新年』、あるいは『新年のおよろこびを申し上げます』といったあいさつ文で、ひと言、『旧年中は大変お世話になりました』などと添えるとよいでしょう。友人の年賀状であれば、『早々のごあいさつありがとうございます』といった言葉を添えてもいいですが、特に入れなくてもかまいません」
Q.年賀状が相手に届くのが1月8日以降になりそうなときは、どのようにすればよいのでしょうか。
椿さん「1月8日以降の場合は『寒中お見舞い』になります。松の内を過ぎて、節分の前までに届くように出す場合は寒中見舞いです。寒い時季なので、相手の体調を気遣うという意味です。その際は事情を正直に話しましょう。『旅行していたので遅くなりました』、あるいは『家族で不幸がありましたので、年始のあいさつができませんでした』などです。
そして、『早々の年始ごあいさつをいただきまして、ありがとうございました』といった言葉も添えましょう。身内の不幸が続いたり、入院したりといった事情があって、大幅に返信が遅くなる場合、立春(2月4日の場合が多い)を過ぎるようでしたら、『余寒見舞い』になります。なぜ、今まで出せなかったのか、事情を書いた方がよいです」
Q.返信に年賀はがきを使ってもいいのでしょうか。
椿さん「松の内までは使って構いません。1月8日以降は寒中見舞いになりますので、通常のはがきか、郵便局でも売っている『寒中見舞い』用のはがきにしましょう。使い残しの年賀はがきは郵便局に行けば、手数料は少し必要ですが、通常のはがきと交換してくれますので、交換してから、寒中見舞いを出せばよいと思います」
Q.会社に届いた年賀状(宛名は個人名)の場合、到着を確認するのが1月4日以降となることが多く、6日や7日という人もいると思います。自分が出していなかった取引先から年賀状が届いていた場合、どのように対応すべきでしょうか。
椿さん「会社に届いた場合も、基本的には自宅と同様です。1月4日に気付いたのであれば、すぐに返信を出せば、松の内に間に合います。ですから、会社で用意している年賀状が使えるなら、そこに個人名を書いて出せばよいです。出勤が6日や7日からで、松の内に間に合いそうにない場合は寒中見舞いとして、はがきを出しましょう。
『出勤が7日からで、ごあいさつが遅くなり、大変失礼いたしました』といった添え書きをするとよいでしょう。ただ、会社でのことですから、上司と相談して、対応を決めてもよいと思います」
Q.喪中の人に対して、喪中と知らずに年賀状を出してしまい、相手から、寒中見舞いとして、「喪中でした」といった連絡が届いて訃報を知った場合、返信は必要でしょうか。
椿さん「おつきあいの深さによっては返信することが必要な場合があります。その際は、お悔やみの気持ちを込めて、返信しましょう。ごく普通のはがきでよいです。時候のあいさつなどは不要です。文面としては、例えば、次のような内容を縦書きで、つづります。
突然のご不幸に驚きました
存じ上げなかったとはいえ年賀状を出してしまい
大変失礼いたしました
どうぞお心を落とされないように
ご自愛くださいませ
さらりとした内容でよいです。簡潔にお悔やみの気持ちを伝えましょう」
Q.そのほか、年明けに年賀状を出す場合、注意すべきことがあれば教えてください。
椿さん「これは年明けに限らず、年賀状を出す際に注意すべきことですが、目上の人には『賀正』『迎春』といった略語は避けて、敬意を示す『謹』や『恭』の字が入った『謹賀新年』や『恭賀新年』、あるいは『あけましておめでとうございます』といった言葉を使いましょう。友人や目下の人には『賀正』『迎春』といった簡略化された言葉でもよろしいでしょう。
筆記用具はボールペンは避け、万年筆や筆ペンを使いましょう。年賀状の由来は、新年に親戚や先生、仲人さんたちにあいさつ回りをしていたものが、『お年始に伺えないので』、代わりに手紙を送るようになったことといわれます。大切な新年のあいさつですから、受け取ったら、なるべく早くお返事をしたいですね」
オトナンサー編集部