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「処女を5000万円で売られそうに」「混浴で妊娠させられた子も…」京都の元舞妓(25)が明かす、“花街の闇”を告発した理由
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《この世から抹消されるかもしれんけど、これが舞妓の実態。当時16歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)。これが本当に伝統文化なのか今一度かんがえていただきたい》
元舞妓の桐貴清羽(きりたかきよは)さん(25)がTwitter(現X)にそう投稿したのは2022年6月のこと。京都の花街を彩る舞妓が未成年飲酒やセクハラに晒されているという告発は大きな波紋を呼び、社会問題に発展。当時の厚労大臣・後藤茂之氏は会見でこの件について触れ、「芸妓や舞妓の方々が適切な環境の下でご活動いただくことが重要」と話すまでに至った。
しかし、京都の五花街の保存を担う“おおきに財団”は「ツイートされた内容について、現在及び在籍していたとされる時期においても、そのような行為は一切なかった」と桐貴さんの主張を完全否定。疑惑は闇の中に葬られた。
あれから2年半。花街は今、どうなっているのか――。
元舞妓の桐貴清羽(きりたかきよは)さん(25)がTwitter(現X)にそう投稿したのは2022年6月のこと。京都の花街を彩る舞妓が未成年飲酒やセクハラに晒されているという告発は大きな波紋を呼び、社会問題に発展。当時の厚労大臣・後藤茂之氏は会見でこの件について触れ、「芸妓や舞妓の方々が適切な環境の下でご活動いただくことが重要」と話すまでに至った。
しかし、京都の五花街の保存を担う“おおきに財団”は「ツイートされた内容について、現在及び在籍していたとされる時期においても、そのような行為は一切なかった」と桐貴さんの主張を完全否定。疑惑は闇の中に葬られた。
あれから2年半。花街は今、どうなっているのか――。
桐貴さんの舞妓時代の実体験をもとにしたコミックエッセイ『京都花街はこの世の地獄~元舞妓が語る古都の闇~』(竹書房)の発売を記念し、告発後に明らかになった舞妓のさらなる闇、そして花街の変化について聞いた。
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――桐貴さんが告発した未成年飲酒やセクハラといった舞妓の実態は世間に大きな衝撃を与えました。
桐貴清羽さん(以下、桐貴) 舞妓さんといえば、美しい舞踊や唄で宴席に花を添える存在。日本が誇る伝統芸能の担い手になりたいという思いで舞妓の世界に飛び込みましたが、実態は華やかなイメージからはかけ離れたものでした。
――桐貴さんは約8カ月の仕込み、見習い期間を経て、2015年11月に当時16歳で舞妓デビューしました。
桐貴 デビューして初めてのお座敷でお客さんからお酒を勧められた時は、本当に驚きました。未成年なので断ろうとすると、「俺の酒が飲めないのか」と言われ、先輩の舞妓からも「空気読みよし」と睨まれる。拒否することはできませんでした。お座敷はセクハラの温床で、着物の身八口や裾に手を入れられることは日常茶飯事。舞妓が三点倒立をしてみせる「しゃちほこ」と呼ばれる宴会芸では、着物の裾を広げて中を覗き見られることもありました。
「お客さんに処女を捧げることになる」という危機感
――一連の投稿の中には、《旦那さん制度、まだあります。花街の中の人公認になるので花街結婚という方が早い。私は5000万円で処女を売られそうになった》というものもありました。これはどういう状況だったのですか?
桐貴 花街には、古くから客が舞妓や芸妓のパトロンとなる「旦那さん制度」が存在し、旦那さんとなった男性と舞妓は花街では夫婦として扱われます。私には3人の旦那さん候補がいて、置屋(舞妓の所属先)は3000万~5000万円という金額を提示していたと聞いています。
表向きは体の関係はないとされていますが、旦那さん候補のうちの一人からは、「僕は処女じゃないとダメなんだ。君は処女だよね」としつこく尋ねられました。このままではいつかお客さんに処女を捧げることになるという危機感から、一刻も早く舞妓を辞めなくてはと思うようになりました。
――そして16年の7月に退職。6年越しに告発しようと思ったきっかけはなんだったのでしょう。
桐貴 舞妓を辞めた直後は、告発なんて考えもしませんでした。置屋のお母さんや先輩から言われた、「いつか私たちの言葉が届きますように」という言葉が頭にこびりついて、「自分が悪いんだ」と思い込んでいたので……。けれども結婚して第一子を出産し、自分の人生を見つめ直したときに、自分の感情にもっと正直でいたいと思うようになったんです。あの時、私がおかしいと感じたことを、世に問うべきじゃないかと。その気持ちが高まって、気づけば後のことは何も考えず、投稿していました。
――花街は限られた人のみが遊ぶことのできる閉鎖的な場所。初めて明かされる実態に驚きの声が上がる一方で、桐貴さんの投稿を「全部ウソ」などと否定する声も多くありました。
桐貴 私のことを観光客が舞妓の衣装を着ただけの「変身舞妓」と言う人もいましたね。そうした発言をする人の中には、私が相談をした時に「わかるよ。大変だよね」と親身になってくれた花街関係者の方もいて、裏切られた気持ちにもなりました。一方で、XやインスタのDMには元舞妓さん、現役の芸妓さん、花街関係者などから、「私もこんな体験をした」という共感の声がたくさん寄せられました。そこで分かったのは、私の告発のさらにさらに上をいく、もっとひどいことが行われていたということでした。
――どんなことが行われていたのでしょう。
お客さんと混浴をする“お風呂入り”で妊娠した女性も…
桐貴 例えば、お客さんと舞妓が混浴をする“お風呂入り”という行為について、私が「1泊2日の温泉旅行で混浴を強いられそうになり、全力で逃げた」と告白した時は、「そんなことが行われているのは、〇〇町だけ」と言われたのですが、元舞妓さんからは「私の街でもありました」という声がいくつも寄せられました。
私と同様に旅行中に混浴を求められたという方もいれば、宿泊先のホテルの部屋まで送ってほしいと言われてついて行ったらシャワー室に誘導されたという方もいました。中には、混浴中に性行為を強要されて抵抗できなかった方、妊娠してしまったという方もいて……。
――舞妓さんが妊娠とは、にわかには信じがたい話ですが……。
桐貴 信じたくない話ですが、男性とのメッセージのやり取りといった証拠が確認できたお話もありました。私がお風呂入りをさせられそうになった時は、一緒にいた芸妓のお姉さんが優しい方で、体を張って阻止してくれました。けれども、もしそのお姉さんが「お風呂入りしよし」と言ったら、私たち舞妓は逆らえない。一歩間違えば、私も最悪の状況に陥っていたかもしれないと思うと、背筋が凍ります。
――漫画の中には、パトロンである旦那さんとの間に子どもを身ごもり、花街で出産し育てる女性も登場しますね。
桐貴 はい。一時的に仕事を休んで出産し、その後また舞妓として復帰するという女性もいれば、堕胎を迫られる女性もいます。いずれにせよ、男性側は置屋にまとまったお金を支払うことで解決するのです。旦那さん候補の男性との “お風呂入り”で性行為をしたものの、男性が身受けせずに逃げてしまったという話もありました。
――壮絶ですね。
桐貴 元舞妓の方から私に寄せられたエピソードは、個人の特定につながらないように十分に配慮して、漫画の中に使わせていただきました。街が変われば常識やルールが変わるのが京都の花街。元舞妓の皆さん、花街関係者に取材して証言をたくさん集めたことでかなりリアルに、詳細に舞妓の実態が描けたと思っています。
――告発から2年半以上が経ちましたが、その後、花街では未成年の飲酒やセクハラといった問題は改善されたのでしょうか。( 後編に続く )
撮影=細田忠/文藝春秋
〈 「16歳で浴びるほどのお酒を飲まされた」“花街の闇”を暴露した元舞妓(25)が語る、告発後の人生「殺してやる、と脅され…」 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春)