2017年4月末。もう1年前の探検記録となる。
私が激務のコールセンターで業務に追われているうちに、季節はぐるっと一周し、いつのまにかまた同じ時期になっていた。
この記録をもっと早く皆さんにお届けしたかった。
さて、とある山の頂上近くに、巨大な遊園地の残骸がそのまま残っている情報を耳にし、訪問してみる事にした。
正式には完全な廃墟ではなく、採算がとれず営業休止…の状況らしいのだが、詳しい状況は曖昧でよく分からない。
色あせた看板に導かれ、住宅街から山の頂上へ向かう細道へと入る。
ひとけの無い道路を延々と登っていくと、道の脇に「あと○○メートル」という看板がポツポツと現れてくるようになった。
私は自然と、過去に読んだ『山の牧場』という怪談話を思い出した。
特に幽霊などは出てこないのだが、主人公が山の中腹にある謎の廃墟へ迷い込むというストーリーだ。
あの話にも「あと○○メートル」と書かれた看板に導かれ、細い山道を車で登っていく描写がある。
いやがうえにも気分が高まる。
標高が上がるにつれて、道路上に雪や氷の山が多くなってきた。
雪解け水で道はドロドロ、折れた木の枝もあちこちに散乱している。
これ以上車で進むのは困難と判断し、車を乗り捨て徒歩で登ってゆくことにした。
シャーベット状態の残雪の上をザクザク歩いていくと、視界がひらけ、ローラーコースターの残骸と思しきレールが姿を現した。
周囲を見回してみると、その他にも色々な遊具がそのまま残されていて、想像以上に見ごたえがありそうだ。
恐らく、どの遊具も雪融けでようやく姿を現したといった感じだろう。
所々にいるキャラクター達は無人の空間で見ると少し気味が悪い。
傷んだプレハブ小屋を覗いて見ると、マスコットの生首が少し埃をかぶって放置されていた…。
何て素敵な光景だろう…。まさか道内で遊園地の残骸を見られるとは思わなかった。
まぁ、一応は休止中の状態との事なので、残留物はかなり多め。
しかしどの遊具もすっかり傷んでいるため、補修費用も馬鹿にならないだろう。容易に営業再開するのは困難と思われる。
いずれはこのまま解体の運命か…?
遊園地の真ん中には、ご覧の通り立派なメリーゴーランドも残る。
元々はネットやブルーシートでしっかり保護されていたようだが、今やすっかりほどけて放置状態だ。
…それにしても、朽ちたメリーゴーランドとは何とも独特な雰囲気を醸し出すものである。
これらだけでも充分に満足だが、「ホラーゾーン」「わくわく恐竜ランド」といった更に凄そうな場所への案内看板を見つけ、もう少し奥へと進んでみる事にする。
雪に埋もれた細道を苦労しながら進んで行くと、木造の小さなバラックがズラリと並んだ広場に出た。
小屋の脇には鳥かごや餌の袋が……。どうやら「ふれあい動物園」的なコーナーだったと思われる。
窓は木の板で目張りされ、容易に内部を覗く事ができない。
果たして、動物たちは…?ふいに緊張が走る。
バイオ○ザードに出てくるゾンビドーベルマンを思い出しつつ恐る恐る覗いてみたが…。
よかった、動物たちは無事に運び出されており、どの小屋も空っぽだった。
ふれあい動物園の広場から少し坂を登っていくと、最後のハイライトである「わくわく恐竜ランド」に辿り着いた。
カラフルな恐竜の巨大オブジェがいくつも置かれている。
…●●山の上にこんな楽園があったなんて知らなかった。
どの恐竜たちもかなりの大きさ。遊具と比較してみてもその大きさが分かるだろう。
ブラキオサウルスの頭が枯れ木の間から見えた時は、小さい時に読んだネッシーやらモケーレ・ムベンベやらのUMA捜索記を思い出させ、なにやら未開の地を歩く探検家の気分になれた。
夏場に来たらもっと気分が高まるに違いない。
これほど様々な恐竜たちがあちこちに居るなんて、子供たちは大喜びだったに違いない。
残念ながら、恐竜たちの中には雪の重みで胴体からボッキリ折れて、ハリボテが露わになっている個体もいた。
山の斜面のいちばん高い所には、ご覧の通り立派な観覧車が静かにそびえ立っていた。
山頂に向かう道路からも遠目に見る事ができるが、ここまで辿り着くのはなかなか難しい。
もちろん動いているはずもなく、ぶら下がるゴンドラだけが微かに揺れていた。
無人の遊園地というのは、何故こうも気味が悪いのだろう…。
この場所からは、山の麓に広がる街がずいぶん遠くまで見渡せる。
もう何時間1人でいるのか分からない。
さすがに少し怖くなり、私は麓の街を目指して、山の斜面を下り始めた。
完。
私が激務のコールセンターで業務に追われているうちに、季節はぐるっと一周し、いつのまにかまた同じ時期になっていた。
この記録をもっと早く皆さんにお届けしたかった。
さて、とある山の頂上近くに、巨大な遊園地の残骸がそのまま残っている情報を耳にし、訪問してみる事にした。
正式には完全な廃墟ではなく、採算がとれず営業休止…の状況らしいのだが、詳しい状況は曖昧でよく分からない。
色あせた看板に導かれ、住宅街から山の頂上へ向かう細道へと入る。
ひとけの無い道路を延々と登っていくと、道の脇に「あと○○メートル」という看板がポツポツと現れてくるようになった。
私は自然と、過去に読んだ『山の牧場』という怪談話を思い出した。
特に幽霊などは出てこないのだが、主人公が山の中腹にある謎の廃墟へ迷い込むというストーリーだ。
あの話にも「あと○○メートル」と書かれた看板に導かれ、細い山道を車で登っていく描写がある。
いやがうえにも気分が高まる。
標高が上がるにつれて、道路上に雪や氷の山が多くなってきた。
雪解け水で道はドロドロ、折れた木の枝もあちこちに散乱している。
これ以上車で進むのは困難と判断し、車を乗り捨て徒歩で登ってゆくことにした。
シャーベット状態の残雪の上をザクザク歩いていくと、視界がひらけ、ローラーコースターの残骸と思しきレールが姿を現した。
周囲を見回してみると、その他にも色々な遊具がそのまま残されていて、想像以上に見ごたえがありそうだ。
恐らく、どの遊具も雪融けでようやく姿を現したといった感じだろう。
所々にいるキャラクター達は無人の空間で見ると少し気味が悪い。
傷んだプレハブ小屋を覗いて見ると、マスコットの生首が少し埃をかぶって放置されていた…。
何て素敵な光景だろう…。まさか道内で遊園地の残骸を見られるとは思わなかった。
まぁ、一応は休止中の状態との事なので、残留物はかなり多め。
しかしどの遊具もすっかり傷んでいるため、補修費用も馬鹿にならないだろう。容易に営業再開するのは困難と思われる。
いずれはこのまま解体の運命か…?
遊園地の真ん中には、ご覧の通り立派なメリーゴーランドも残る。
元々はネットやブルーシートでしっかり保護されていたようだが、今やすっかりほどけて放置状態だ。
…それにしても、朽ちたメリーゴーランドとは何とも独特な雰囲気を醸し出すものである。
これらだけでも充分に満足だが、「ホラーゾーン」「わくわく恐竜ランド」といった更に凄そうな場所への案内看板を見つけ、もう少し奥へと進んでみる事にする。
雪に埋もれた細道を苦労しながら進んで行くと、木造の小さなバラックがズラリと並んだ広場に出た。
小屋の脇には鳥かごや餌の袋が……。どうやら「ふれあい動物園」的なコーナーだったと思われる。
窓は木の板で目張りされ、容易に内部を覗く事ができない。
果たして、動物たちは…?ふいに緊張が走る。
バイオ○ザードに出てくるゾンビドーベルマンを思い出しつつ恐る恐る覗いてみたが…。
よかった、動物たちは無事に運び出されており、どの小屋も空っぽだった。
ふれあい動物園の広場から少し坂を登っていくと、最後のハイライトである「わくわく恐竜ランド」に辿り着いた。
カラフルな恐竜の巨大オブジェがいくつも置かれている。
…●●山の上にこんな楽園があったなんて知らなかった。
どの恐竜たちもかなりの大きさ。遊具と比較してみてもその大きさが分かるだろう。
ブラキオサウルスの頭が枯れ木の間から見えた時は、小さい時に読んだネッシーやらモケーレ・ムベンベやらのUMA捜索記を思い出させ、なにやら未開の地を歩く探検家の気分になれた。
夏場に来たらもっと気分が高まるに違いない。
これほど様々な恐竜たちがあちこちに居るなんて、子供たちは大喜びだったに違いない。
残念ながら、恐竜たちの中には雪の重みで胴体からボッキリ折れて、ハリボテが露わになっている個体もいた。
山の斜面のいちばん高い所には、ご覧の通り立派な観覧車が静かにそびえ立っていた。
山頂に向かう道路からも遠目に見る事ができるが、ここまで辿り着くのはなかなか難しい。
もちろん動いているはずもなく、ぶら下がるゴンドラだけが微かに揺れていた。
無人の遊園地というのは、何故こうも気味が悪いのだろう…。
この場所からは、山の麓に広がる街がずいぶん遠くまで見渡せる。
もう何時間1人でいるのか分からない。
さすがに少し怖くなり、私は麓の街を目指して、山の斜面を下り始めた。
完。