4日目 午前11時 ~最後の希望~
宗谷岬で出会った同年代の若き旅人たち。
もっと彼らと交流していたかったのですが、これから自転車の郵送手続き、札幌へ帰るための特急券手配などを行わなくてはなりません。
名残惜しいですが彼らに別れを告げ、一足先に稚内の市街地へ戻る事にしました。
バイバイみんな!無事に帰ってね!
さて。さっきから「自転車を郵送する」なんて言っていますが、正直なところ
方法がよく分からない。
ネットで調べてみても「しっかり梱包しないと受け付けてもらえない!」とか、「私は2000円で送ってもらった」「私は2万円かかった」(!!!)などなど情報が錯綜しているんですね。
正直、自転車の送り方もよくわからないままここまで来てしまったので、これからホントにどうなるか分からない(笑)。
「送れない」なんてことは無いと思われますが、さすがに無計画すぎてバカとしか言えませんね(^_^;)
なお、さっきの大学3年チャリダー達や、昨日のスーパーカブの旅人の意見は
「そのまま乗り捨てて帰って新しいの買えば?そっちの方が安いんじゃない!?」でしたが、
そんなこと出来るか!!
4日間も過酷な長距離走行に耐えて、一緒に400キロを走破してくれた我が相棒。
5年間も乗っているので愛着もあります。
タイヤも交換したばかりでまだまだ走れるのに、ここに捨てて行くなんて事は僕には出来ません!!
札幌で再開して、
また一緒にサイクリングしようじゃないか!
午後1時。
ということで稚内の街へ戻り、某宅配会社の営業所へ向かいました。
Yahoo知恵袋で「2000円で送ってもらった」の情報があったのが、この宅配会社でした。
しかし。
思わぬことに、受付のおばちゃんは「普通のママチャリはちょっとね…。大きさオーバーしてしまうので…。」とのこと。
少し粘ってみましたが、「残念ながら」と言うことで断られてしまいました。
マジかよ…(汗)。
ココで送ってもらう気満々だったのですが、まさかの展開です。変な汗が出てきました(^_^;)
どうしよう…。
とりあえず「稚内駅」方面へさらに戻り、別の宅配会社の営業所へ。
しかし、自転車運送サービスは5~6年前に終了してしまったとのことで、こちらでも断られてしまいました。
「郵便局へ行けばなんとかなるのでは?」との指摘をいただき、駅前の小さな郵便局へ。
しかし、こちらも「梱包されていない普通の自転車は不可ですね…」とのこと。
ヤバい…。送れないのか…。
絶望しながら、駐車場に止めたチャリ君を眺めました。
まさか…。君を見られるのも今日が最後か…?
「乗り捨てていく」というのはさすがに非常識なので、周辺でリサイクルショップを見つけて売ろうかな、という考えが頭をよぎります。
…いや、待て。
今回の旅はすべてが順調で、予想以上に楽しい素敵な思い出となった。
ここで自転車を見捨てて帰ってしまったら未練が一生残るに違いない。
せっかく宗谷岬にゴールしたのに、最後の最後でそんなのは絶対にイヤだ。
周辺に宅配会社が無いかを調べると、最後の希望がまだ残っていました。
「ヤマト運輸」さんです。
郵便局の駐車場で、祈る気持ちで電話してみます。
「自転車の郵送は出来ますかね~?」と聞くと。なんと。
「大丈夫ですよ~!ちょっと高いんですが…」とのこと!
よかったぁ~!
ヤマト運輸さんありがとう!
「南稚内駅」方面へ戻り、さっそくヤマトの営業所へ。
チャリ君は「家財道具」扱いで札幌に郵送されることになりました。
新品のママチャリが1台買える料金でしたが、そんなこともう気にしません!
少々手こずりましたが、とりあえず良かった。
ここまで本当にありがとう、我がママチャリ君。
また札幌で会おうぜ♪
午後3時半。
帰りの特急を調べると、出発まであと数時間あるらしい…。
特にすることも無いので、ヤマトの営業所から稚内駅まで歩きました。
疲れた。
やはり僕には自転車が無いとダメだ。
早くチャリ君と再開したいです。
まずは特急の切符を購入。
駅員さんに聞かれて思いましたが、「片道」という響き…なんだか切ないですね(笑)。
北の果ての街「稚内」。もう訪れる機会も無さそうです…。
出発までの時間、2階の休憩スペースでメモ整理しながらくつろぐ。
なお、駅構内のPCコーナーではロシアの方々が談笑しておりました。
16:51発 札幌行き特急「スーパー宗谷4号」
乗車料金:9930円、乗車時間:5時間5分。
特急なのにこの乗車時間。旅はまだまだ終わらない。
「さすが広大な北海道!」と思うのと同時に、よくこの距離をママチャリで走破したなぁ…と。
なお、まさかの4両編成で自由席は1番前の車両のみ。
急いで車内に入りましたが、観光シーズンは終わっているためかガラガラでした。
いよいよ発車♪
特急なんて数年ぶりに乗るので、この稚内→札幌までの帰路が地味に楽しみでした。
しかも、この列車が走る「宗谷本線」は味のある古い駅舎や「秘境駅」がたくさんあり、マニアには人気の路線。
僕もずっと乗ってみたいと思っていたんですが、ついに初体験です!
といっても、特急なのでほとんど通過するだけですが…。
特に訪問してみたい「雄信内(おのっぷない)」駅や「糠南(ぬかなん)」駅は車内から辛うじて確認。
いつか「宗谷本線・秘境駅の旅」というのもやってみたいと思っております。
車内からは、旅の最中ずっと見られなかった利尻富士のシルエットが遠くに見えました。
また、天塩川に沿って森の中を走っている際には「エゾシカ多発地帯を走行するので、急ブレーキに注意」なんていう驚きの自動アナウンスが。
不自然なブレーキ、警笛鳴らしまくりで「絶対いまエゾシカ横断中でしょ!」なんていう場面も何度かありました。
「旭川」に着いたころにはもう完全に真っ暗。外の景色もほとんど見えないのでつまらない。
疲労も溜まっていたので、いつの間にか寝ていました。
さすがに5時間の乗車はツライですね…。
午後10時36分、
札幌駅へ帰還。
中心街に建つ立派なビルの数々。キレイに舗装された駅前通り。地下街の人混み。
あぁ。わが故郷、札幌。
こんなに都会だったのか…。
いつものママチャリで400キロを走り抜けた4日間。
田園地帯を走り抜け、海沿いの寂しい風景の中をひたすら北へ、北へ。
雨に霞むダラダラした坂道の連続に苦労し、北の果ての完全無人地帯を何とか走破。
素敵な宿の人々、ありがたきセイコーマート、路肩の楽しいアート作品たちに心励まされ、ついに見た日本最北端の岬。
僕は今回の旅で、北海道の本当の魅力を知った。
「北海道には何もない~」なんて言いながら、ここ数年は新たな刺激を求めて本州へ飛んでばかりいた。
もちろん本州は未知の楽しさで溢れていたが、それを経験してしまったことによって、僕は北海道ならではの素晴らしさを完全に忘れていた。
「北海道には何もない~」か…。
何も無いからこそ北海道は美しい!
総走行距離:432.5キロメートル。
2014年夏、
「札幌→稚内 ママチャリ激走400キロ」
完結。
お読みいただきありがとうございました。
宗谷岬で出会った同年代の若き旅人たち。
もっと彼らと交流していたかったのですが、これから自転車の郵送手続き、札幌へ帰るための特急券手配などを行わなくてはなりません。
名残惜しいですが彼らに別れを告げ、一足先に稚内の市街地へ戻る事にしました。
バイバイみんな!無事に帰ってね!
さて。さっきから「自転車を郵送する」なんて言っていますが、正直なところ
方法がよく分からない。
ネットで調べてみても「しっかり梱包しないと受け付けてもらえない!」とか、「私は2000円で送ってもらった」「私は2万円かかった」(!!!)などなど情報が錯綜しているんですね。
正直、自転車の送り方もよくわからないままここまで来てしまったので、これからホントにどうなるか分からない(笑)。
「送れない」なんてことは無いと思われますが、さすがに無計画すぎてバカとしか言えませんね(^_^;)
なお、さっきの大学3年チャリダー達や、昨日のスーパーカブの旅人の意見は
「そのまま乗り捨てて帰って新しいの買えば?そっちの方が安いんじゃない!?」でしたが、
そんなこと出来るか!!
4日間も過酷な長距離走行に耐えて、一緒に400キロを走破してくれた我が相棒。
5年間も乗っているので愛着もあります。
タイヤも交換したばかりでまだまだ走れるのに、ここに捨てて行くなんて事は僕には出来ません!!
札幌で再開して、
また一緒にサイクリングしようじゃないか!
午後1時。
ということで稚内の街へ戻り、某宅配会社の営業所へ向かいました。
Yahoo知恵袋で「2000円で送ってもらった」の情報があったのが、この宅配会社でした。
しかし。
思わぬことに、受付のおばちゃんは「普通のママチャリはちょっとね…。大きさオーバーしてしまうので…。」とのこと。
少し粘ってみましたが、「残念ながら」と言うことで断られてしまいました。
マジかよ…(汗)。
ココで送ってもらう気満々だったのですが、まさかの展開です。変な汗が出てきました(^_^;)
どうしよう…。
とりあえず「稚内駅」方面へさらに戻り、別の宅配会社の営業所へ。
しかし、自転車運送サービスは5~6年前に終了してしまったとのことで、こちらでも断られてしまいました。
「郵便局へ行けばなんとかなるのでは?」との指摘をいただき、駅前の小さな郵便局へ。
しかし、こちらも「梱包されていない普通の自転車は不可ですね…」とのこと。
ヤバい…。送れないのか…。
絶望しながら、駐車場に止めたチャリ君を眺めました。
まさか…。君を見られるのも今日が最後か…?
「乗り捨てていく」というのはさすがに非常識なので、周辺でリサイクルショップを見つけて売ろうかな、という考えが頭をよぎります。
…いや、待て。
今回の旅はすべてが順調で、予想以上に楽しい素敵な思い出となった。
ここで自転車を見捨てて帰ってしまったら未練が一生残るに違いない。
せっかく宗谷岬にゴールしたのに、最後の最後でそんなのは絶対にイヤだ。
周辺に宅配会社が無いかを調べると、最後の希望がまだ残っていました。
「ヤマト運輸」さんです。
郵便局の駐車場で、祈る気持ちで電話してみます。
「自転車の郵送は出来ますかね~?」と聞くと。なんと。
「大丈夫ですよ~!ちょっと高いんですが…」とのこと!
よかったぁ~!
ヤマト運輸さんありがとう!
「南稚内駅」方面へ戻り、さっそくヤマトの営業所へ。
チャリ君は「家財道具」扱いで札幌に郵送されることになりました。
新品のママチャリが1台買える料金でしたが、そんなこともう気にしません!
少々手こずりましたが、とりあえず良かった。
ここまで本当にありがとう、我がママチャリ君。
また札幌で会おうぜ♪
午後3時半。
帰りの特急を調べると、出発まであと数時間あるらしい…。
特にすることも無いので、ヤマトの営業所から稚内駅まで歩きました。
疲れた。
やはり僕には自転車が無いとダメだ。
早くチャリ君と再開したいです。
まずは特急の切符を購入。
駅員さんに聞かれて思いましたが、「片道」という響き…なんだか切ないですね(笑)。
北の果ての街「稚内」。もう訪れる機会も無さそうです…。
出発までの時間、2階の休憩スペースでメモ整理しながらくつろぐ。
なお、駅構内のPCコーナーではロシアの方々が談笑しておりました。
16:51発 札幌行き特急「スーパー宗谷4号」
乗車料金:9930円、乗車時間:5時間5分。
特急なのにこの乗車時間。旅はまだまだ終わらない。
「さすが広大な北海道!」と思うのと同時に、よくこの距離をママチャリで走破したなぁ…と。
なお、まさかの4両編成で自由席は1番前の車両のみ。
急いで車内に入りましたが、観光シーズンは終わっているためかガラガラでした。
いよいよ発車♪
特急なんて数年ぶりに乗るので、この稚内→札幌までの帰路が地味に楽しみでした。
しかも、この列車が走る「宗谷本線」は味のある古い駅舎や「秘境駅」がたくさんあり、マニアには人気の路線。
僕もずっと乗ってみたいと思っていたんですが、ついに初体験です!
といっても、特急なのでほとんど通過するだけですが…。
特に訪問してみたい「雄信内(おのっぷない)」駅や「糠南(ぬかなん)」駅は車内から辛うじて確認。
いつか「宗谷本線・秘境駅の旅」というのもやってみたいと思っております。
車内からは、旅の最中ずっと見られなかった利尻富士のシルエットが遠くに見えました。
また、天塩川に沿って森の中を走っている際には「エゾシカ多発地帯を走行するので、急ブレーキに注意」なんていう驚きの自動アナウンスが。
不自然なブレーキ、警笛鳴らしまくりで「絶対いまエゾシカ横断中でしょ!」なんていう場面も何度かありました。
「旭川」に着いたころにはもう完全に真っ暗。外の景色もほとんど見えないのでつまらない。
疲労も溜まっていたので、いつの間にか寝ていました。
さすがに5時間の乗車はツライですね…。
午後10時36分、
札幌駅へ帰還。
中心街に建つ立派なビルの数々。キレイに舗装された駅前通り。地下街の人混み。
あぁ。わが故郷、札幌。
こんなに都会だったのか…。
いつものママチャリで400キロを走り抜けた4日間。
田園地帯を走り抜け、海沿いの寂しい風景の中をひたすら北へ、北へ。
雨に霞むダラダラした坂道の連続に苦労し、北の果ての完全無人地帯を何とか走破。
素敵な宿の人々、ありがたきセイコーマート、路肩の楽しいアート作品たちに心励まされ、ついに見た日本最北端の岬。
僕は今回の旅で、北海道の本当の魅力を知った。
「北海道には何もない~」なんて言いながら、ここ数年は新たな刺激を求めて本州へ飛んでばかりいた。
もちろん本州は未知の楽しさで溢れていたが、それを経験してしまったことによって、僕は北海道ならではの素晴らしさを完全に忘れていた。
「北海道には何もない~」か…。
何も無いからこそ北海道は美しい!
総走行距離:432.5キロメートル。
2014年夏、
「札幌→稚内 ママチャリ激走400キロ」
完結。
お読みいただきありがとうございました。