2024年11月1日、千歳市の「千歳アウトレットモール・レラ」が大規模商業施設としての営業を終了した。
数年前から空きテナントが増え続けており閑散としていた。「競合施設の増加などを理由に運営終了」というニュースが1月に報じられて以降、残る各店は賃貸借契約の満了とともに徐々に撤退。
正式な営業終了日がアナウンスされないまま、ここ半年ほどは開店休業状態といってもよく、ほぼ空きテナントの無人アウトレットモールという異様な状況が続いていたが、ついに19年の歴史に幕を閉じることとなった。
2005年オープン。道内初の大規模アウトレット施設という事で好調な滑り出しを見せ、翌06年には早くも増床。
全盛期は150近いテナントが並び、新千歳空港に近い事もあって道内外の客でにぎわいを見せていた。
しかし2010年に、北広島市に「三井アウトレットパーク札幌北広島」がオープン。
札幌からアクセス抜群の全天候型・屋内アウトレットモールという強敵の出現で追い風は向かい風へと変わる(※皮肉にも千歳の「レラ」はアイヌ語で「風」の意)。
極寒の千歳市で屋外型アウトレットという形式も厳しかったのかもしれない。またコロナ禍による客足の減少も大きく影響した。
2024年の4月に訪問した時の様子である。
前月に、当時入居していた60テナントのうちの20近くが賃貸契約終了で撤退したばかり。
開店している店舗よりも目張りされた空きテナントの方が圧倒的に多い。
ほぼ廃墟状態のモール内にはほとんど人がおらず、営業時間中とはとても思えない異様すぎる光景だ。
(ド平日の真っ昼間を狙って訪れたのは少し性格が悪かったかもしれない)
店舗一覧を見ると目も当てられぬスカスカ具合は一目瞭然だろう。
インフォメーションボードを用いて、閉店情報ではなく逆に営業している店舗を案内するスタイル。なぜか靴屋さんばかり残っている。
比較的人の気配があったのはフードコート。というのも、アジア系の観光客と思しき集団がツアーガイドに連れられて入店していったのだ。
どうやら北海道ツアーの食事処として利用されているらしい。
新千歳空港に近く、JR南千歳駅から徒歩3分という立地(過去には空港からのシャトルバスもあった)は、全盛期にも海外観光客のツアースケジュールに組み込みやすかったと聞く。
現在も、モール内には飛行機までの時間調整のような海外の方々があちこちに歩いていた。見るものが無くて呆然としているが……。
2~3年ほど前は4、5店舗が並び繁盛していた「千歳ラーメン博覧会」のエリアもいつの間にか全店が撤退し、閉鎖されていた。
千歳のすぐ隣の苫小牧市在住の私にとって、実はレラは地味に重宝していた場所であった。
2018年に札幌から苫小牧に越して以降、洋服やコートを探し訪れること数回。
ファッションに興味が無く、滅多に洋服を新調しない私にとっては、様々な店舗が見られいっぺんに購入できるアウトレットモールは実に快適な場所であったのだ。
最後に訪れた時も「だいぶ店舗が減っちゃったなぁ」とは思っていたが、まさか数年で閉店に追い込まれるとは思わなかった。
加えて、このレラには一風変わった思い出がある。
苫小牧へ引っ越す前の2017年の夏あたりだったか、ここレラでホラー系脱出ゲームのイベントがあると聞いて、当時の上司や仕事仲間たちと数人で訪問したのだ。
閉店後のモール全体が舞台になっていて、あちこちを徘徊するゾンビから逃げながら謎解きをして脱出するという大規模なもの。
消灯されたフードコートでゾンビに追い掛け回されたり、屋外のスピーカーから避難指示のサイレンが流れたりと、すさまじい非日常体験で大いに楽しませてもらったのを覚えている(脱出ゲームの成績は散々だったが)。
ああいうイベントを少し活用して集客に繋げられなかったものか。
モールの中心部にある「アトリウム」やキッズコーナーもご覧のひとけの無さ。
それでも無人のゲームコーナーでは、クレーンゲームなど全ての筐体の電源が入れられていた。
自分以外誰もいない屋内に張られていたイメージ画、現状とあまりに掛け離れており悲しくなる。
生い茂る草木に埋もれ行く屋外のオブジェ。
かつては剪定されていたと思われる。
なお、今回の大型商業施設終了は、小売店の総面積が1000平方メートルを下回ったことによるもの(大規模小売店舗立地法)。
敷地内には飲食店など未だ4店舗が残り、営業は続けるという。
半導体メーカー「ラピダス」や関連企業の進出が注目されている千歳市だが、レラ跡地の活用法はまだ未定だ。
(2024年訪問)