安行のお寺めぐりは、安行の地名や植木の開祖にゆかりのある「金剛寺」から始めた。
この寺には開祖の墓や記念碑のほか、小さいけれど趣が深い茅葺の山門がある。江戸初期にできたもので、川口市内でも最古の部類に属する。山門に向かって左手には樹齢400~500年とされるキャラボクが威容を誇っている。
金剛寺は「お灸の寺」としても知られる。幕末にこの寺の第19世住職海牛禅師が始めた「弘法の灸」で、今でもお灸をすえてもらいに訪れる人が多い。
お灸はまだ経験がないので、一度このような寺ですえて欲しいと思っている。季節には川口で一番長いという参道の紅葉も美しい。
次に金剛寺に近い、川口市で最古という「宝厳院(慈林薬師)」を訪ねた。本堂はコンクリート製に改築されているので堂々としている。
安行原の「密蔵院」は、約30本の早咲きの安行桜で有名。ソメイヨシノより早く咲き、花期も長い。花びらはソメイヨシノより小ぶりで、ピンクが濃い。
ここの山門は、薩摩藩島津家の江戸屋敷の門を移築したもので、その山門の前を中心に各所に咲き、シーズンには多くの人でにぎわう。
安行桜は、「沖田桜」とも呼ばれる。昭和20年初頭、この桜を安行で見つけて育てた沖田雄司氏の名にちなんでいる。
密蔵院のホームページ上の沖田氏とのインタビューによると、この桜は、ソメイヨシノより1週間から10日開花するのに、花期が長いので、ソメイヨシノと一緒に見られる。
「安行大寒桜」と呼ぶ人もいるが、「安行緋寒桜」の名で桜図鑑に掲載されたという。
桜にありがちな「天狗巣病」になりにくく、枯れ枝にならない。桜は切り口から腐りやすいので、「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言われているのに、この桜はいくら切ってもかまわない、というから面白い。
桜の時期には、日本全国ソメイヨシノ一色で、一斉に咲き、一斉に散る。この桜の画一ぶりにうんざりしているので、こんな一風変わった桜が安行にあるのは非常にうれしい。
本堂手前には四国88か所霊場の砂を埋めた砂踏参道があり、88か所巡礼のご利益があるとされる。庭園には、ヒイラギ(樹齢300年)やツゲ(同500年)などの古木もある。
最も親しまれている、四季の花が美しい「花の寺」興禅院ももちろん訪ねた。「野鳥の森」「ふるさとの森」で、「紅葉の森」としても知られる。
12月上旬にはこの院の山全体が紅葉で赤く染まる。参道にスダジイの大木が何本かそびえ立ち、境内に茂る木々が「野鳥の森」だ。
裏の雑木林の斜面林のふもとには、湧水がある。350年前にできた弁財天が祭られ、木道沿いに十三石仏が散在する。初夏はアジサイ、秋の彼岸にはマンジュシャゲが咲き、素晴らしい湿地の散歩道だ。
本堂左の墓地のスダジイの大木の根元にお地蔵様が抱えられているように見えるのも可愛い。
最後は、埼玉高速鉄道の戸塚安行駅に近い西福(さいふく)寺を訪ねた。ここには美しい三重塔があり、三代将軍の長女千代姫が奉建した。高さ23m、埼玉県では一番高い木造建築だ(写真)。
西立野にあるこの寺には西国(33か所)、坂東(33か所)、秩父(34か所)の百札所の観音像を納めてある百観音堂がある。
ここを参詣すれば、100の観音霊場を回っただけの功徳があるわけだから、江戸から近いこともあって、江戸時代からにぎわった。
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